2020年2月4日付で河北新報から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
3日午前0時50分ごろ、建設中の電源開発(Jパワー)大間原発(青森県大間町奥戸(おこっぺ))の車庫に配備していた化学消防車から出火、車両の後ろ部分が燃えた。
けが人はいない。
同原発内での火災は初めて。
青森県警大間署は、事件性は低いとみて、詳しい原因を調べている。
大間署とJパワーによると、消防車のタンク底部の水を凍らせないための電熱線ヒーター付近が激しく燃えていた。
車庫内に人はおらず、火災報知機で現場に駆け付けた守衛が消防に通報した。
化学消防車は昨年5月に配備し、10月に点検と訓練を実施した後は、使っていなかった。
12月からヒーターの電源を入れていた。
車庫は、建設中の原子炉建屋から南に約200メートル離れている。
事務棟の脇にあり、消防車のほか、放射線量を測るモニタリングカーや普通車が置いてあった。
大間原発は稼働前で、放射性物質漏れなどの心配はない。
原発の建設工事は2008年5月に着工した。
東京電力福島第1原発事故後に本格工事を中断している。
進捗(しんちょく)率は37.6%。
Jパワーは26年度の運転開始を目指し、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査を受けている。
同社の担当者は「審査への影響はない」と話している。
大間原発は、全炉心にプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使える世界初の原発。
核兵器の原料にもなるプルトニウムを過剰に抱えたくない日本にとって、まとまったプルトニウム消費が期待できる唯一の施設となっている。
◎危機管理 課題浮き彫り
3日未明に青森県大間町に建設中の大間原発で発生した車両火災は、出火元の電源開発(Jパワー)だけでなく、町役場の安全対策の課題を浮き彫りにした。
「何も聞いていない」。
金沢満春町長が火災発生を知ったのは、午前7時40分ごろのマスコミからの問い合わせがきっかけだった。
Jパワーが午前2時ごろに町の担当者に連絡したものの、上司に報告されないままだった。
町は、「まだ原発が動いておらず、ルールができていなかった。事例を踏まえ、今後の対応を検討しなければならない」と弁明した。
大間原発の敷地に取り囲まれる場所に住み、反対運動を続ける熊谷さん(女性、65歳)は、「たとえ、どんな状況でも、Jパワーは火事を起こしてはいけない。安全に対して危機感を持ってもらいたい」と語った。
大間のマグロ漁師にとっても原発の安全性は死活問題。
今年の東京・豊洲の初競りで1億9320万円の値が付いたクロマグロを釣り上げた山本さん(男性、57歳)は、「原発が稼働しているときだったら大変なことになっていた」と胸をなで下ろした。
Jパワーの広報担当者は、「二度と同じようなことが起こらないよう、安全対策をしっかり行い、事故のない発電所にしていきたい」と述べた。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202002/20200204_23016.html
2月3日17時23分にNHK青森からは、車の後方を中心に燃えたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前1時ごろ、大間町にある建設中の大間原子力発電所で、車庫にとめていた化学消防車1台から火が出ました。
火はおよそ2時間後に消し止められ、消防車の左後方部分を中心に半焼しましたが、車庫にあったほかの車などに燃え移ることはなく、けがをした人もいないということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20200203/6080007385.html
(2020年2月19日 修正1 ;追記)
2020年2月18日に河北新報からは、ポリプロ製の水タンクの凍結防止用ヒーター電源を水が入っていないのに入れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
電源開発(Jパワー)は17日、水タンク内の凍結防止ヒーターが出火原因だとする内部調査の結果を発表した。
同社は、タンク内の凍結防止ヒーターの固定が緩み、タンク側面か底面に接触して発火したと推定した。
タンクに水がほとんど入っていない状態でヒーターの電源を入れたという。
タンクはポリプロピレン製だった。
昨年10月に消防車の点検をした後、タンク内の水をほぼ全て抜き、12月末から残留水が凍らないようにヒーターをつけていた。
今後、水抜きの妥当性を検討する。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202002/20200218_23011.html
2月17日19時0分にNHK青森からは、通常はタンクの水温が15℃になるとヒーターは自動で切れるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
電源開発によりますと、消防車の後方には、タンクに入れた水が凍結するのを防ぐためにヒーターが取りつけられていて、ヒーターの周辺の焼け方が特に激しかったということです。
このヒーターは、タンクに水が十分に入っている状態では、水温が15度になると自動で切れる機能がありますが、当時、タンクには水が入っていなかったということです。
火事が起きる前にヒーターの電源を入れた社員は、「タンクに水が残っていると思った」と話しているということで、電源開発は、水が入っていない状態でヒーターを動かしたことで火災が起きた可能性があるとみて、さらに原因を調べることにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20200217/6080007524.html
(ブログ者コメント)
以下は、電源開発の説明資料。
https://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/pdf/ohmanews200217-2.pdf
(2020年3月5日 修正2 ;追記)
2020年3月4日20時7分にNHK青森からは、消防車納入時にヒーターの説明書がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月3日、大間原子力発電所で化学消防車1台が半焼した火災で、事業者の電源開発は原因と再発防止策をまとめました。
それによりますと、消防車のタンクと配管には、中に入った水が凍結するのを防ぐため、それぞれにヒーターが取りつけられていて、ヒータの電源を入れると両方が作動しますが、社員が仕組みを認識していなかったとしています。
火災が起きたとき、タンクの水は抜かれていましたが、配管には水が残っていると思った社員の1人がヒーターの電源を入れたところ、タンクのヒーターも作動してタンク内部の金属製の棒が高温となり、周囲のプラスチックを溶かしたことが火災の原因だとしています。
社員がヒーターの仕組みを認識していなかった理由については、消防車が納入された際にヒーターの説明書がなかったためなどとしています。
そのうえで、再発防止策について、製品が納入される際は説明書の有無や内容を確認し、納入後には維持管理の手順を定めるなどとしています。
電源開発は、「今回の火災を踏まえ、火災リスクを含む原子力安全に対する社員の意識向上に努めて参ります」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20200304/6080007713.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。