2017年6月4日9時37分に西日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地域防災の担い手となる消防団に外国人が入団するケースが、九州でも出始めている。
人口減少などで団員のなり手が減る地域は入団を歓迎しており、外国人向けの救命講習で通訳を務めるなど、活躍の場を広げている。
一方、消防団員は非常勤特別職の地方公務員。
延焼を防ぐために家屋を壊すなど、「公権力」の行使が認められており、「日本国籍以外」の団員の受け入れをためらう自治体もある。
5月中旬、宮崎市消防団女性分団の研修会に、集団行動や救助用ロープの取り扱いを学ぶバレトさん(52)の姿があった。
コロンビア出身の元空軍整備士。
1995年に宮崎大に留学し、市内で外国語指導助手として働く。
2008年の中国・四川大地震に胸を痛め、「子どもたちを助けたい」と、翌年に入団した。
女性分団は消火活動に加わらないが、企業や学校の防災訓練に出張する。
「地域の人と助け合うのは素晴らしいこと。互いの国のことも理解できる」とバレトさん。
外国人の救命講習で通訳も務める。
分団長の日高さん(50)は、「技術も語学もできるので非常に助かる」と話す。
全国の消防団員数は約85万6000人。
総務省消防庁は外国人団員の数を把握していないが、共同通信が昨年、全国の市町村を対象に行った調査では、回答した自治体の約1割が受け入れており、その数は計200人を超えた。
鹿児島県には、いちき串木野市でフィリピン人男性、霧島市でイラン人男性が活動するなど、7人の団員がいる。
熊本地震では、熊本県南阿蘇村に住むカナダ人男性が消防団員として救援活動に携わった。
一方、3万2600人余りの外国人が暮らす福岡市や、約1万2300人がいる北九州市は、事実上、外国人団員を受け入れていない。
福岡市消防局は、「団員には、警戒区域の指定や立ち入り制限など、市民に命令、強制する公権力が与えられているため」と説明する。
地方公務員法では、公務員の採用に国籍は条件でないものの、外国籍公務員の管理職登用の是非が争われた裁判では、「公権力」を行使する公務員について「日本国籍が必要」との判決が確定している。
ただ、外国人の消防団員について、消防庁は「違法とは明確に言えない」とし、市町村の判断に委ねているのが現状だ。
高齢化や人口減少が深刻な地域は、消防団員のなり手不足に頭を痛めている。
いちき串木野市の担当者は、「地域に長く暮らし、やる気もある外国人の参加は助かっている」。
現場では日本人の班長などが外国人団員に命令しており、「公権力の行使に当たらないのでは」という立場だ。
【近藤敦・名城大教授(憲法)の話】
消防団員が公権力を行使する場面は非常に限定的で、問題が起こるとは考えにくい。
地域に暮らす外国人の防災意識を高める意味で、キーパーソンになり得る人材を生かさない手はない。
地方自治と多文化共生を進める総務省の外局でもある消防庁がメッセージを発信すれば、より広がるだろう。
自治体も、横並びではなく、各自の判断で参加を促してもよいのではないか。
【ワードBOX】消防団員
市町村が採用試験を行う地方公務員の消防署員に対し、消防団員は非常勤特別職の地方公務員。
会社員や自営業者、学生、主婦らが本業の傍ら、居住か勤務している地域で入団する。
平時は火災予防の広報活動などに取り組み、災害時は消防署の指揮下で消火や救助の活動に当たる。
出典
『外国人消防団員に是非、九州の各自治体 なり手不足解消に一肌⇔公権力行使には日本籍』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/333163/
(ブログ者コメント)
本件、過去にもいくつかの関連記事が報じられていた。
以下、タイトルとURLのみ紹介する。
(2016年8月9日(火) 東奥日報;共同通信)
『外国人消防団員、2百人超/地域の新戦力、全国で/法律上位置付け課題』
http://www.toonippo.co.jp/tokushu/scramble/20160809016475.asp
(2016年4月14日 6時0分 日本経済新聞)
『災害支援、国籍超える 滋賀に外国人だけの消防団(ひと最前線) 異国での不安 減らしたい』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC06H3W_Y6A400C1AA2P00/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。