2017年6月4日12時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「階段は、上りより下りの方が怖い」。
そんなお年寄りの声に応え、福岡市営地下鉄で下りエスカレーターが増えている。
超高齢化社会をみすえ、他都市の駅でも対応が始まっている。
福岡市営地下鉄は、2005年開業の七隈線では、全駅に上下のエスカレーターがある。
だが、空港線と箱崎線の計19駅では、博多などの主要5駅を除くと、これまでエスカレーターが2基以上ある場合も、すべて上りだった。
エレベーターは各駅にあるものの、待ち時間が長く、旅行者らで混雑しやすい。
市は、お年寄りらから寄せられる「下りのエスカレーターがほしい」という要望を受け、15年12月に赤坂駅(福岡市中央区)で、試験的に2基のうち1基を下りに切り替えた。
モニター123人への調査では、「利便性が向上したか」という問いに56%が「そう思う」と答え、「思わない」は6%。エスカレーターの一部を下りに切り替えることについては、76%が「よいと思う」と回答した。
市は今年2~3月、大濠公園駅(中央区)や祇園駅(博多区)など5駅で、上りエスカレーターが2基あれば1基を、4基あれば2基を下りにした。
祇園駅のホームで男性会社員(40)に尋ねると、「上りの方が便利だけど、ひざが悪い人は下りがつらいだろう。2つあるなら、上りと下り両方あった方がいい」と話した。
市交通局施設課の横谷課長は、「高齢化社会が進み、下りがつらい人は増えてくる。スーツケースを引く外国のお客様も増えており、ユニバーサルデザインの観点からも時代に即していきたい」と、他の駅でも順次、切り替える予定だ。
下りエスカレーターを望む声は、他都市の事業者にも届いている。
仙台市営地下鉄は、14年度から下りエスカレーターを増設。
費用は1カ所あたり数千万円といい、すでに4駅で工事を終えた。
東京メトロでも、15年に大手町駅(東京都千代田区)に下りエスカレーターを増設。
今後も進める方針という。
一方、都営地下鉄を運行する東京都交通局の担当者は、「電車の間隔が短く、利用客がホームにたまると危ないので、早く改札に上げることが必要。上下ともあるのは理想だが、スペース的に難しい」と話す。
福岡市営地下鉄でも、ヤフオクドームに近い駅はドームでイベントなどが開催される日には乗客がホームに集中するため、上りのままにする方針という。
整形外科医でもある中島勧・東大病院医療安全対策センター長によると、70歳以上の約半数が変形性膝(しつ)関節症を患っており、発症すると階段を下る時にひざが痛む人が多いという。
「転んでも、上りは手を付けるが、下りは大けがにつながる。下りエスカレーターが増えれば、お年寄りも気軽に外出できるのではないか」と話している。
出典
『駅に下りエスカレーター続々 高齢者「下り階段は怖い」』
http://www.asahi.com/articles/ASK4D5J2PK4DTIPE028.html
(ブログ者コメント)
関連情報を探したところ、解説としては以下の記事が分かりやすかった。
(2009年2月3日 東京大学政策ビジョン研究センター)
『上りより下り、高齢者のエスカレータ』
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それでは、バリアフリーの対象である障害者や高齢者にとって、階段の上りと下りのどちらが移動の障害になっているのでしょうか。
わかりやすい例を挙げてみます。
健常者が階段を上っている時に足を踏み外すと、すねを階段の角にぶつけて痛くなるか、前の段についた手が汚れる場合が多いでしょう。
しかし、階段を下っている時に足を踏み外したら、どうなるでしょうか。
通常は、階段を滑り落ちたり、転落して大けがをしたりする危険性があります。
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高齢者の多くがかかる「変形性膝関節症」という疾患では、上り階段は何とか上れるが、下りは痛みが強くてどうしても下りられないという症状が出ることが多いことが、整形外科領域では常識とされています。
また、年をとってバランス機能や視力が低下した場合にも、下りの階段に恐怖感を感じることは容易に想像がつきます。
そのような疾患にかかると、駅の階段を上ることはできても、下ることが困難になる場合が多くなり、上りのエスカレーターしか設置されてない駅は利用しにくくなるのです。
・・・・
http://pari.u-tokyo.ac.jp/publications/column09.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。