2020年10月9日7時13分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本原子力研究開発機構は七日夜、東海村の原子力科学研究所(原科研)にある核融合炉物理実験棟(FNS棟)の消火栓ポンプ室で火災があり、請負会社の四十代の男性作業員が顔と両腕に軽いやけどを負ったと発表した。
現場は放射線管理区域外で、作業員らの被ばくや放射性物質の漏えいなどはなかった。
原科研によると、七日午後四時半ごろ、消火栓の定期点検を終えた作業員ら五人が、消火水槽に小さな穴が開いているのを発見。
補修シートを貼り付けるため、有機溶剤のクリーナーでさびの油分を除去し、ヒートガンで熱風を当てて乾燥させていたところ、小規模な爆発が起きた。
溶剤が揮発したガスが室内にたまり、熱風で異常燃焼を起こしたとみられる。
東海消防署が午後六時ごろ、鎮火を確認した。
有機溶剤を使った室内でヒートガンを用いるのは、作業手順として認められていなかった。
県庁で記者会見した原科研工務第一課の山本マネージャーは、火災発生について謝罪した上で、「原因を突き止め、こうしたことが二度と起こらないよう適切な対策を取る」と述べた。
今回、原科研から立地・周辺自治体への第一報は大幅に遅れた。
原子力安全協定に基づく各自治体への通報時刻は、県が午後六時十七分、東海村が六時十六分、那珂市が六時二十六分、ひたちなか市が六時三十二分、常陸太田市が六時三十分、日立市が六時三十三分。
最も遅い日立市は爆発から約二時間後だった。
原科研によると、火や煙、臭いがなかったため、当初は火災と認識せず、消防署が現場で火災と判断するまで各自治体に通報していなかった。
県の高田原子力安全対策監は、県庁での記者会見で「若干遅い。早急に通報するよう指導する」と苦言。
日立市も、担当者が電話で第一報を受けた際に注意したという。
FNS棟では一九八一年から、加速した重水素をトリチウム(三重水素)に当てて核融合反応を起こし、それに伴い発生する中性子を使って核融合炉開発に必要な構造材などの特性を調べる実験をしてきた。
原科研の核融合研究は、二〇一六年に発足した量子科学技術研究開発機構の那珂核融合研究所(那珂市)に移管。
FNS棟は同年で使用を終えており、二〇年度中に原子力規制委員会に廃止措置を申請予定だ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/60713?rct=ibaraki
10月8日7時0分にNHK茨城からは、油分除去用のスプレーを吹き付けた後に熱風をあてたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力機構と県によりますと、40代の男性の作業員が水槽についた油をとるために引火性のガスを含むスプレーを吹き付けたあと、熱風をあてたところ、火災が起きたということです。
消火の必要はなくおさまったということですが、この作業員は顔と両腕に軽いやけどをしました。
本来は、熱風で乾かしたあとにスプレーをかけることになっていたということです。
また、機構は当初、火や煙が出なかったと判断し、ただちに地元の消防に通報せず、通報したのはおよそ50分後でした。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20201008/1070010959.html
10月7日付で研究所のHPには、補修個所に洗浄液を吹き付け、ヒートガンで乾燥させていたなど、事故の状況が以下のように掲載されていた。
1. 状況
16時30分頃 FNS棟消火栓ポンプ室において、屋内消火栓の定期点検終了後、消火栓呼水槽にピンホールを発見。
補修のために補修シートを貼付するために補修部にパーツクリーナー液(引火性ガス)を吹き付け、錆を脱脂させた。
ヒートガンを用いて塗布面を乾燥させていたところ、小規模な爆発(滞留したガスの異常燃焼)が発生し、熱波により請負作業員1名が負傷した。
負傷者は出血なし、意識あり。
17時19分頃 負傷者を村内の病院に運んだが、当該病院の判断を受けて東海消防署に連絡し、救急車による搬送を依頼した。(119番通報)別の病院に搬送。
17時52分頃 公設消防車1台(3名)入構。
18時00分頃 公設消防により「鎮火」が確認された。
18時05分頃 公設消防により「火災」と判断された。
18時08分頃 病院に到着。
19時35分頃 負傷者処置終了。顔及び両腕火傷(軽傷)。
https://www.jaea.go.jp/02/press2020/p20100701/
(ブログ者コメント)
〇静電気の可能性なきにしもあらずだが、熱風が着火源になった
とすれば珍しい事例だ。
〇ネットで調べたところ、600℃といった高温に設定できるヒートガンもあるという
今回爆発したのは揮発した有機溶剤だったのか?
それとも噴射剤としてのLPG?だったのか?
機種や成分などの詳細は不明だが、いずれにせよ、熱風が着火源だったとすれば、ヒートガンの熱風によって発火点以上に熱せられ・・・といった可能性が考えられる。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。