2023年8月9日17時51分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本製鉄の東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)の周辺で有害物質シアンが検出されるなどした問題で、県は8日、一連の事案を分析した評価書を公表した。
原因に「コンプライアンス意識の欠如」など3点を挙げ、日本製鉄に意識改革や社員教育の見直しを求めている。
【評価書、組織的な隠蔽の有無については保留】
シアン流出は2022年6月、製鉄所周辺の川や水路で水が赤く着色し、数十匹の魚が死んだことで発覚した。
その後の日本製鉄の調査で、
〈1〉基準値を超えるシアンが検出されても、再測定で「不検出」となった結果だけを県と君津、木更津、富津の3市に報告
〈2〉高い数値が出ても開示しない
といった不適切な事例が判明。
17年8月からの5年間だけでも、不適切な報告は59回に上った。
日本製鉄は昨年9月、再発防止策をまとめた報告書を策定。
県は6回にわたって有識者会議を開き、報告書の妥当性や事案の原因を検証。
評価書の作成を進めていた。
評価書は、問題の原因として、
〈1〉有害物質に関するずさんなリスク管理など、不十分な環境保全対策
〈2〉コンプライアンス意識の欠如。水質汚濁防止法、県や3市と交わした協定に対する認識不足
〈3〉組織内外の連携不足
の3点を指摘した。
具体的には、水質検査の不適切な報告を例に挙げ、
〈1〉日本製鉄が報告を不要とする誤った認識を持っていた
〈2〉法令を確認する環境部門が機能していなかった
〈3〉水質測定を関連会社にほとんど委託していた
などと指摘。
「コンプライアンス意識が浸透していなかった」と断定した。
県は、日本製鉄が報告書で示した対策を不十分だと批判。
評価書で、抜本的な意識改革や、関連会社を含めた継続的な社員教育の見直しを求めた。
さらに、事業所内の排水に関わるリスクを把握し、事故や故障を前提とした対策を行うよう要求した。
◇
評価書は、一連の問題を水質検査の不適切な報告を含めた6事案に分け、原因を明らかにした。
評価書によると、製鉄の過程で出るガスから硫黄分を除去する「脱硫液」の保管タンクで、マンホールが破損。
脱硫液が事業所外に流出し、着色水の問題が起きた。
マンホールの内側には、腐食を防ぐ処理が実施されていなかったと推定されるという。
着色水の問題に関連して報告書は、脱硫液にシアンが含まれていることを日本製鉄が知らなかったことも問題視した。
着色水が流出した際、日本製鉄は問題の大きさを正しく認識できなかったという。
22年7月には、着色水が流出した排水口とは別の排水口から、シアンや基準を超える窒素が検出された。
評価書では、水質汚濁防止法に基づく届け出とは異なるルートで排水をしていたと指摘。
仮設ポンプが脱落して高濃度のシアンを含む泥を巻き上げた結果、排水口での検出につながったとの見方を示した。
一方で、組織的な隠蔽があったかどうかについては、評価書で結論を出すことはできなかった。
千葉海上保安部から捜査を受けていることを理由に、日本製鉄側が有識者会議の質問に回答しなかったためだという。
【知事「ずさんなリスク管理」と苦言、指導文書交付】
県と君津、木更津、富津の3市は8日、日本製鉄に指導文書を交付した。
水質汚濁防止法や、県などと交わした協定に違反する点が多く見つかったと指摘。
法律や協定の順守を求めた。
また、対策に取り組んだうえで、進捗状況をホームページなどで積極的に公表するよう勧告した。
県庁では8日、熊谷知事が東日本製鉄所の野見山所長に、指導文書を手渡した。
その後、報道陣の取材に応じ、「有害物質に対するずさんなリスク管理があった」と苦言を呈し、「社を挙げて対策を着実に実施していただきたい」と注文した。
野見山所長は報道陣に、「地元の方には大変ご迷惑をおかけした。再発防止をしっかりやっていく」と謝罪した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230809-OYT1T50138/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。