2019年8月25日17時10分に福井新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
4人が死亡したT繊維(福井県永平寺町)の工場火災時に停電で作動しなかった電動シャッターについて、関係法令に非常時の安全対策義務を明記した条文はなく法の“盲点”となっていることが、厚労省福井労働局への取材で分かった。
同局は、福井県内企業の多くで非常時の対策が取られていない可能性があるとして、避難経路の確認や手動ドアの併設などの対策を取るよう指導し、8月21日、製造業などに自主点検表を送付した。
電動シャッターは外気遮断などの目的で工場の資材搬入口や従業員通用口に設置され、ボタン式やセンサー式がある。
T繊維では、全焼した2つの工場棟を結ぶ3つの通路に、いずれもセンサー式のビニール製シートシャッターがあった。
火災後、同社は「シャッターの一部は閉じたままの状態だった。故障はしていなかったが、おそらく停電で動かなかった」との認識を示している。
「労安法など関係法令に、電動シャッターの停電時などの安全対策義務を明記した条文はない。法の盲点だった」。
福井労働局の地方産業安全専門官は打ち明ける。
「平常時は、問題なくシャッターを通れるため企業側も見逃しがち。T繊維の火災を受け、今後は『壁』として対策を取らないといけない」と続けた。
同局は、T繊維火災など、県内での死亡労働災害の急増を受け、7、8月を「労災防止緊急対策強化期間」と定め、業界団体に対し、事故防止に向けた安全対策の徹底を要請。
電動シャッター関連の対策も強く求めている。
具体的には、
▽電動シャッター全てが閉まった状態での避難経路の確認
▽シャッター横に手動式ドアを設置する
▽人がはい出られるくらいの隙間を常時開けておく
など。
21日には、製造業を中心に、設置状況や対策の有無の確認を依頼する自主点検表を送付した。
火災を受け、一部の企業では対策に乗り出している。
本社工場の2カ所に電動シャッターを設けているKメッキ工業(福井市)は、シャッターを閉め切り状態にする夜間でも、従業員が手動でシャッターを開けられるよう、高さ約3mにある電動ロック解除のレバーにひもを取り付けた。
K専務は、「T繊維の火災は、とても人ごとではない。焦ったら普段できることもできなくなる」として、非常時の対応について社員に周知を図っている。
【T繊維火災】
6月20日午後2時ごろ出火、永平寺町松岡石舟のいずれも平屋建ての工場3棟と、技能実習生の寮を兼ねた3階建て事務所1棟を全焼し、約7時間15分後に鎮火した。
ベトナム人実習生1人を含む従業員の男女4人が死亡、4人が軽傷を負った。
焼失面積は延べ約3460m2。
警察や消防庁消防研究センターなどが出火原因を調べている。
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/920796
(ブログ者コメント)
永平寺町の火災事例は、本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。