2017年1月29日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
風力発電の風車の羽根に野鳥がぶつかる「バードストライク」は、餌につられた「よそ見」が原因の可能性があるとする観察結果を、NPO法人「バードリサーチ」(東京都府中市)などのチームが発表した。
高速で回転する羽根が見えないためという指摘もあったが、避けて飛ぶ鳥もいて、原因が分かっていなかった。
チームの担当者は、「鳥の餌場では風力発電所の建設を避けるなどすれば、被害を軽減できるかもしれない」と指摘する。
バードストライクを巡っては、日本野鳥の会の調査で、2001年からの14年間に、確認されただけでもオジロワシなど6種42羽の絶滅危惧種を含む約300羽が死んでいる。
環境影響評価(アセスメント)法で、建設前に希少な野鳥への影響を調べて衝突を回避するよう対策などを講じなければならないが、効果的な方法がこれまで見つかっていない。
チームは14~16年の3年間、オジロワシが集中する北海道根室市と小平(おびら)町内の海岸近くで飛ぶオジロワシをビデオ撮影し、死んだサケなどの餌をまいた時とそうでない時とで、オジロワシの視線がどう変化するか観察した。
その結果、302羽のデータから、成鳥では餌があると下を向いて飛ぶ時間の平均割合は18.3%で、餌が無い時の6%と比べ約3倍大きかった。
若鳥もそれぞれ23.9%と8.7%で、成鳥とほぼ同じだった。
また、最長で連続44秒間も下を向いて飛んだケースもあった。
チームは、「オジロワシなど野鳥は、獲物探しに夢中になって、風車の羽根に気付きにくいのではないか」と推定している。
出典
『バードストライク 風車に鳥衝突、よそ見原因か 餌につられ、視線下に NPO調査』
http://mainichi.jp/articles/20170129/ddm/041/040/076000c
(ブログ者コメント)
〇同じNPOから、以下のニュースもネット配信されていた。
・・・
食物を置いたり,除去したりした時に,上空を飛んでいるオジロワシとオオワシをビデオ録画し,視線方向を記録したのです。
すると,食物があると,ワシはそればかり見て,前を見ずに飛ぶことが多くなりました。
さらに食物にほかのワシやカラス類が集まることで,他個体と追いかけあって飛ぶことも増えました。
ワシの視野は意外と狭く,下を向いて飛ぶと前が見えないことが知られています。
また,他個体と追いかけあっていた時に風車に衝突した事例も記録されています。
したがって,風車の近くに食物があることで,バードストライクのリスクが高まると言えそうです。
・・・
(バードリサーチニュース 2016年10月07日)
『食物の存在はワシ類のバードストライクリスクを高くする?』
https://db3.bird-research.jp/news/201610-no1/
〇環境省は、風力発電を立地する上でバードストライクにも配慮すべきだと、「手引き」にまとめている。
以下は解説の一部。
・・・
風力発電施設の立地を検討していく上でバードストライクに関する知見等は十分とはいえず、絶滅危惧IB類に分類されるオジロワシの死因については、判明している限り風力発電施設へのバードストライクが最も多く、海ワシ類に関する知見を収集することは希少種保全上重要となっています。
・・・
(環境省HP)
『風力発電施設に係るバードストライク防止策』
http://www.env.go.jp/nature/yasei/sg_windplant/birdstrike.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。