2022年1月30日20時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震では、高層の建物ほど揺れが大きくなる「長周期地震動」の発生が想定されている。
どんな被害をもたらすのか。
備えは十分だろうか。
千葉県を震源とする強い地震が昨年10月7日夜、首都圏を襲った。
東京23区で震度5強を観測したのは東日本大震災以来だった。
【高層階と低層階で揺れ大違い】
足立区に接する埼玉県草加市にある鉄筋コンクリート15階建てマンション(築24年)の最上階。
会社役員浅葉さん(男性、50歳)は食事中に揺れに見舞われた。
テーブルにつかまったが、手を離せば横に飛ばされそうだった。
揺れは1分以上に感じた。
重さ数十キロの給水器が床に落ちてばらばらになり、台所では棚の調味料などが床に散らばった。
「(2011年の)東日本大震災に匹敵する揺れだった。首都直下地震かも」。
近くの別のマンション5階に住む母とは、1時間後に連絡がついた。
母は寝ていて地震にすら気づかず、室内の被害もなかった。
近くの戸建てやマンションの低層階に住む同僚らも、自宅の被害は軽微だった。
「同じ市内なのに、どうしてこんなに揺れの感じ方が違うのか」。
浅葉さんは不思議がる。
この地震では、東京23区や千葉県北西部などで長周期地震動が観測された。
気象庁は大きさを4段階で評価しており、草加市をふくむ埼玉県南部では最も低い「階級1」だった。
長周期地震動とは、1往復する時間(周期)が長い横揺れを指す。
高層ビルは揺れやすく、高層階の方がより大きく、長く揺れる傾向があるとされる。
【大規模火災、10分もの揺れも】
過去には被害も出ている。
03年9月の十勝沖地震では、震源から約250キロ離れた北海道苫小牧市内の石油タンクで火災が発生。
東日本大震災では、震源から約800キロ離れた高さ256メートルの大阪府咲洲(さきしま)庁舎で揺れが約10分続き、天井や壁など360カ所が損傷した。
16年4月の熊本地震の余震では、観測を始めた13年以降で初めて最大の階級4が記録されている。
内閣府の有識者検討会は15年12月、南海トラフ巨大地震が起きた際の長周期地震動の推計結果をまとめた。
最大級の地震の場合、本州から九州の広い範囲で階級4の長周期地震動が発生。
東京や大阪などの100~300メートルの超高層ビルでは最大2~6メートルの幅の横揺れがあると指摘された。
国土交通省は有識者検討会の推計結果を受け、翌16年6月、揺れが大きい東京、大阪、名古屋の3都市圏と静岡県の高さ60メートルを超える高層ビルについて対策を求めた。
新築する建物は、想定される揺れの長さを「60秒以上」から「500秒以上」に変更するなど、設計基準を厳しく見直すとともに、既存の建物もこの新基準にあわせた補強が望ましいとして、助成をするという内容だ。
【一人ひとりの備えも】
長周期地震動の対策とはどのようなものなのか。
工学院大学の久田嘉章教授(地震工学)によると、代表的なものの一つは制振ダンパーだ。
壁や柱などの間に入れる筒のような形の装置で、地震の揺れを受けることでダンパーが伸び縮みし、揺れを吸収する仕組みだ。
ただ、ダンパーは高層ビルの複数階にバランスよく設置しなければ効果を発揮しないという特徴がある。
一つのフロアだけで済むのがおもりだ。
地震が起こると、ビルの揺れと反対方向におもりが振れることで、揺れを相殺させる。
新宿三井ビルディング(55階建て、東京都新宿区)の屋上には、約300トンの振り子式のおもりが6基並べられている。
ただ、こうした備えは、あくまで建物の主要な構造の「軀体(くたい)」の揺れの増大を抑えるもので、久田教授は「各自で備えておかないといけないことはたくさんある」と言う。
各戸の家具の転倒防止や火事の防止はもちろんのこと、ドアが開かなくなった時に備えてバールを準備しておくことも必要だ。
久田教授は、「長周期地震動には、建築上の対策だけでなく、命を守り、けがを防ぐための一人ひとりの対策も重要だ」と力を込める。
https://digital.asahi.com/articles/ASQ1Z5R1RQ1CUTIL014.html
(ブログ者コメント)
草加市のHPによれば、市の震度は5弱。
結構、揺れたはずだ。
しかし、その揺れに対し、マンション5階に住んでいて気づかなかった人がいたとは・・・。
人それぞれだ。
http://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1002/060/PAGE000000000000070923.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。