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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20221281129分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、シールを貼り付けた注意看板の写真付きでネット配信されていた。

ため池での水難事故を防ごうと、香川県丸亀市は転落対策シールを作製した。

シールは市内のため池に設置された注意喚起の看板に貼り、ため池の危険性を住民らに改めて認識してもらう。

シールには赤い文字で大きく、「ため池は落ちるとはい上がることができません」と記載。

シールに描かれたQRコードをスマートフォンで読み込むと、現役の水難救助隊員でもため池の斜面を上がれない様子の動画(水難学会撮影)を視聴できる。

また、転落した場合は浮いて助けを待つことや、周囲の人は飛び込んで助けようとせず、119番通報するといった注意も書かれている。

市によると、1月中には21カ所の池の看板にシールを貼り終える予定という。

昨年5月に綾歌町のため池で釣り中の親子が亡くなる事故が起きたのを受け、市は管理者から申し出があったため池に「あぶない!」と書かれた看板計68枚を設置。

しかし、以前からのデザインのままで目立たないことから、「危険性をもっと伝えるべきだ」との声があがっていたという。

https://www.asahi.com/articles/ASQ1W6R3GQ1TPTLC00F.html 

 

1311016分にYAHOOニュース(水難学会会長の寄稿文?)からは、他の池でも使えるよう、シールには池の名称とため池管理番号を入れられるようにしているなど、下記趣旨の記事が複数枚の写真付きでネット配信されていた。

昨年5月に父子がため池に落ちて死亡した丸亀市に、ため池の怖さを動画で伝える看板の第1号が設置されました。
QR
コードで動画につなぐデジタルトランスフォーメーション(DX)
全国に広がるか、楽しみです。

 

【丸亀市のため池水難事故】

うどん好きなら誰もが知っている丸亀市。
昨年5月に父子がため池に落ちて死亡しました。
詳細は筆者記事
ため池に落ちると、なぜ命を落とすのかをご覧ください。

筆者は129日に事故の調査に、改めて現地を訪れました。

ちょうど冬の今頃は「かいぼり」の時期にあたり、水はすべて抜かれていました。
かいぼりにあわせて、現在、ため池の補修工事が行われています。

1は水抜き前後の事故現場の様子を比較した写真です。

(a)の写真だけ見ていると、水面があるせいか、斜面を落下するという危険性をあまり感じることができません。

でも、実際に矢印に従ってため池に落ちる例は後を絶ちません。

ところが(b)を見ると、黄丸の箇所がたいへん危険だということに気づきます。

実際にここに立ったら、そのまま矢印に従って斜面を滑って転がり落ち、ため池の底で身体を地面に強打して大けがをするような予感に襲われます。

1から、水を張ったため池だと、水面の下の様子など知る由もないということを思い知らされます。

 

【丸亀市の取り組み】

筆者は昨年9月から、丸亀市の神田さん(丸亀市議)と隣町の綾川町の住民で事故現場の近くにお住まいの川崎さんと、ため池水難事故の防止策について意見交換を行ってきました。

今回、せっかくの丸亀市訪問の機会となりましたので、神田さんの発案で設置された、水難事故防止のための看板を案内していただきました。

カバー写真がその看板になります。
神田さんに早速、説明していただきました。

看板そのものは、これまでに設置されているものですが、そこに図2のようなシールを張りました。

神田さん、「QRコードで動画につながるところがポイントです。」

なるほど、早速試してみると、つながりました。
ため池転落の実験の様子を示す動画や、小学生が「ういてまて」教室で背浮きにチャレンジする動画などが紹介されます。
ため池事故の危険性について説明する動画を再生すると、スマートフォンがしゃべりだすという仕組みです。

神田さんは、「全国のどこの池でも使えるように、池の名称とため池管理番号を入れられるようにしました」と、このシールが全国のため池に広がってほしいとの想いを語りました。

そのほかとして、ため池に落ちたら「落ち着いて、浮いて待つ」、まわりの人は「飛び込まずに、119番通報」と、きちんと要点を伝えています。

そして、右端に「落ちても大丈夫、と思う方はこちら」と、やや挑発的にQRコードに誘導しています。

デジタルの力で人がため池に近づかないようにする。
しかも、シール1枚のコストで。

これは、まさにDXです。
「こんな簡単なことがDXか?」と思えるところが、デジタルでコストを抑えられている点です。

神田さんは、「ぜひ地域の皆さんが、QRコードで動画を再生し、その場で学んで気づいてほしい」と強調します。

学校や地域活動でそういった癖を付けられるように教育・啓蒙することで、DXが進んでいくのではないでしょうか。

 

【看板活用の重要性が増してきた】

日本の3本の指に入るくらいため池で有名な香川県。

近年で言えば、実は県内のため池での水死はきわめて少ないのです。

綾川町の川崎さんは、「地元ではため池と生活が昔から密接につながっていて、例えば昭和の時代なら子供たちがため池で遊んでいると「コラー!」と怒鳴り声がやってきて、こっぴどく怒られた」と教えてくれました。
「あそこのため池で釣りをすると怒られる」という警報が子供の間で飛び交うほどだったそうです。

怒鳴り声も、子供の間の情報共有も、アナログ的な声による事故防止だったわけです。

それが有効に働いている時代はそれでよかったのです。

川崎さん、「ため池に様々な所から釣り人が来るようになって、注意がしづらくなりました。」

やはり、怖いのはトラブルです。

注意したことによるトラブルは、この令和の時代においては気を付けなければならないことになりました。
逆上されて、注意した方が襲われたら、たまったものではありません。

昨今の物騒な逆上事件を考えれば、事故防止には、やはり注意喚起する看板に頼らざるを得ないわけです。

でも神田さんは、「地元に住み続けて40年、看板が何も進化していないことに気が付いた」そうです。

「丸亀市は、看板向けQRコード付きシールの普及に積極的に乗り出した」と神田さん。

自治体が費用負担するにしても、ため池の管理者がシール添付に了解しなければ普及しません。

丸亀市ではため池管理者の把握が進んでいて、了解を得やすい環境が整っているため、シールの普及に乗り出したそうです。

 

【さいごに】

しゃべる看板は、丸亀市土器町にある聖池(ひじりいけ)で見ることができます。

カバー写真の聖池では、池の水が抜かれている様子がわかります。

現場で説明をいただいた丸亀市役所の担当者の方によれば、水が張ってあるのは3月から11月。
今の時期は池の水を抜き、水底を天日に干し、補修工事を行っています。

今回紹介した看板向けQRコード付きシールが全国のため池水難事故の防止につながることを期待しています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20220131-00279627

 

(ブログ者コメント)

丸亀市綾歌町のため池事故は本ブログでも紹介スミ。

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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