2016年2月17日20時56分にNHK北海道NEWS WEBから、『屋根の雪下ろし再考を』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道内で屋根の雪下ろしによる事故が相次ぐなか、建物と雪の関係に詳しい専門家は、「北海道の住宅は雪下ろしを前提につくられていない」と指摘し、不要不急の雪下ろしをしないよう呼びかけている。
道内では、この冬も旭川市や北見市でお年寄りが亡くなるなど、屋根の雪下ろし中の事故が相次いでいる。
また、去年までの5シーズンでは、道内全体で1200人以上が、屋根の雪下ろしにともなって死亡したり、けがをしたりしている。
この屋根の雪下ろしについて、長年、建物と雪の関係を研究している北海道科学大学の千葉隆弘准教授は、「北海道の住宅は雪下ろしを前提としてつくられていない」として、危険性を指摘している。
千葉准教授によると、道内のほとんどの住宅では、屋根の建材として寒さに強い金属の板が使われているが、金属の板は雪が乗ると非常に滑りやすくなるため、この上に乗って雪下ろしをするのは極めて危険だという。
一方で、道内の住宅は、建てる際に雪の重さが考慮されていて、屋根のすぐ下に太いはりを取り付けたり、屋根と基礎をつなぐ柱を何本も配置したりするなど、頑丈につくられているという。
どの程度の雪に耐えられるかについては、建築基準法で、市町村ごとに基準となる数値が定められていて、すべての住宅に適用されてはいないが、建築現場では、この基準が一定程度、目安にされているという。
千葉准教授は、こうした北海道の住宅の特徴を知ったうえで、不要不急の雪下ろしをしないよう呼びかけている。
そのうえで、屋根に大量に雪が積もり、重みでふすまやドアの開け閉めがしにくくなるなどの現象がみられた場合は、雪下ろしを検討してもいいとしているが、その場合でも、専門の業者に依頼するなど、極力、自分ではやるべきではないと指摘している。
千葉准教授は、「雪が積もったから雪下ろしをするという習慣を見直し、本当に必要か考えることで事故を1件でも減らしてほしい」と話している。
(以下は、活字化されていない主な情報)
○5シーズンで死亡50人、けが1186人。
○千葉氏談)雪下ろしの習慣について考え直すべき。率直に言うと、(道民は雪下ろしを)やりすぎというところがある。
○その一つとして千葉氏が指摘するのが屋根の材質。全体の95%、最近建てられたものは、ほぼ100%が鉄板。鉄板には表面を守る塗料が塗られており、滑りやすくなっている。雪が降った状態だと、滑りやすさはスケートリンクを歩くのと同等。
○住宅が雪に耐えられる性能は、思っているよりはある。ただ、構造計算していない住宅や古い住宅など、どのぐらいの雪に耐えられるか不明なものもある。
○1級建築士の男性は、異常気象のような、まとめて降る大雪がない限り、基本的に雪下ろしは年に1回するかしないか、と説明している。
○雪で住宅が変形したとしても、雪を除去すれば住宅は元に戻る。ダメージはほとんどない。
○雪下ろしは非常に専門性が高い作業。正しい知識が必要。一般の人には非常に難しい。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160217/5816871.html
(ブログ者コメント)
○この冬も、北国では雪下ろし中の事故が相次いでいる。
個人として行っていた際の事故は掲載を割愛してきたが、業として行っていた際の事故は、旭川市での学校事例1件を掲載している。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5645/
○屋根に積もった雪の評価については、過去に下記情報なども本ブログで紹介している。
2015年3月20日掲載
2015年3月13日報道 雪氷防災センターが雪が積もった屋根に雨が降った場合の屋根への負荷増加度を調べる実験を実施、分析結果は新しい設計基準の指針として国交省に提言予定
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4708/
千葉氏の研究では、そういった点も考慮されているのだろうか?
○本ブログでは、原則、約1週間遅れで報道記事を掲載している。
しかし、本報道は6分強の放映で、活字化されていない情報もかなりあるため、2日後の掲載とした。
NHK北海道NEWS WEBにつき、2月23日(火)ごろまでは元記事にアクセス可能。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。