2017年12月7日12時2分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸・三宮の高層マンション「アパタワーズ神戸三宮」(20階建て)の住民らでつくる管理組合が、「外壁タイルが剥がれ落ちたり下地から浮いたりしたのは、建築時の施工不良が原因」と、施主のアパホーム(金沢市)や建築下請け会社など計3社を相手取り、補修工事費用など約2億4000万円の損害賠償を求める訴えを7日、大阪地裁に起こした。
訴状などによると、同マンションは2005年9月に完成。
15年3月に14階バルコニーのタイルが幅約1.5mにわたって剥がれ、4階ベランダに落下した。
管理組合から補修を委託された建築会社が調査(今年6月)したところ、外壁の14.86%が、タイルの剥落や、剥がれやすい「浮き」の状態で、建物南側では割合は35.75%にも上ったという。
一方、アパホーム側は「経年劣化」と住民らに説明し、補修工事を求めても応じていないという。
神戸新聞社の取材に、「対応を協議しており、コメントは差し控えたい」としている。
同マンションは07年5月に耐震強度偽装が発覚。
神戸市の調査で、建物全体の10数%に当たる約500の部材で鉄筋の量が足りないなどの強度不足が分かり、14年4月に耐震補強工事が完了した。
出典
『外壁はく離のマンション 住民が提訴』
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010797121.shtml
12月7日12時49分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた
タイルの一部は公道にも落ちた。
施工側からは「経年劣化」などと説明を受けたというが、タイルの下地が滑らかで、吸着力を高める「目荒らし」などの必要な処理がされていなかったと主張している。
アパホームは取材に、「タイルは剝落当時、速やかに安全対策を講じさせていただいた。現在、施工後10年以上が経過し、経年劣化もあり、施工不良との因果関係は未確定で、責任割合を協議中でした」と説明。
提訴については、「訴状が届いておらず、コメントを差し控えたい」としている。
出典
『20階建ての外壁タイル落下 住民がアパホームなど提訴』
http://www.asahi.com/articles/ASKD73H7PKD7PIHB005.html
(ブログ者コメント)
本事例と直接の関係はないが、たまたま最近、外壁タイルの剥落に関する記事(写真や図解付き)を目にしていたので、参考までに抜粋して紹介する。
(2017年11月30日 毎日新聞東京版)
見た目の高級感や耐久性から、分譲マンションは外壁をタイル張り仕上げにしていることが多い。
だが、タイルが剥がれ落ち、その対応に悩むケースも少なくない。
管理組合はどうすればいいのか。
マンションの外壁には、タイル張りと吹き付け塗装がある。
タイル張りは、コンクリート外壁を磁器材などタイルで覆う工法。
見た目が美しく重厚な仕上がりになり、コンクリートの劣化防止など耐久性が高まることから、多くのマンションで採用されている。
代表的な施工方法の「湿式工法」の一つは、コンクリートに下地モルタル、張り付けモルタルの順に塗り、タイルを強く押し込んで張り付ける。
異なる材料をサンドイッチ状にはさみ込むため、温湿度の変化を受けると、材料ごとに伸縮が異なって「ひずみ差」が生まれ、経年劣化で剥がれやすい性質がある。
実際、海外で使われることは少なく、スイスなどは禁止している。
また、かつては熟練職人が担っていたが、1980年代から効率重視で、精度が低下したという指摘もある。
タイル剥離は事故につながる。
89年には北九州市の10階建て団地の外壁タイルが落ち、3人が死傷。
2015年には広島市の9階建てマンションで約1500枚が落ちていることが確認され、民家や車を傷つける被害もあった。
被害に至らなくても、浮き・剥離が起きるのは珍しくない。
国交省は毎秋、全国の一定条件の建物についてタイル張りなど外壁の落下状況を調査している。
16年は2万1620棟が対象で、報告のあった1万6200棟の1割超にあたる1790棟が「落下のおそれがある」と回答した。
また、落下事故防止のため、国交省は08年、マンションを含む「特殊建築物」について、10年ごとの打診検査を義務化した。
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不具合があれば、管理組合は管理会社や分譲会社に相談するのが普通だろうが、建築コンサルタント会社の土屋さんは、「多くの場合、経年劣化とされてしまうが、施工に問題があることも少なくない」という。
タイルの押し付けが弱く、タイル裏とモルタルの間に空間があり、接着力が低下したようなケースだ。
施工に基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合は、施工業者の不法行為責任を問うことができる。
時効は20年で、瑕疵の立証責任は買い主側にある。
外壁タイルは認められにくかったが、11年の最高裁判決は、タイルの剥離は通行人や住人に被害を及ぼす可能性があり、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵にあたる」とした。
事実上、施工業者が完成後20年は剥離防止義務を負うと考えることができる。
外壁タイルの不具合をめぐり、施工業者を相手取り起こす損害賠償請求訴訟は、建築関係訴訟の中でも解決困難とされる。
専門家でも、施工上の不良を特定するのが難しいためだ。
このため、外壁全体のどれくらいの割合に浮き・剥離があれば施工不良とみなせるかを判定する考え方がある。
大阪地裁で建築関係訴訟を担当する高嶋卓判事は、1級建築士ら民事調停委員らと作る勉強会の成果として、今夏、法律専門誌「判例タイムズ」で、施工不良の判定目安として、
▽施工後の浮き・剥落が5年以内に発生
▽5年超~10年3%以上
▽10年超~15年5%以上
▽15年超~20年10%以上
という数値を示した。
今後、指標として意識される可能性がある。
出典
『くらしナビ・ライフスタイル マンション外壁、タイル剥離も』
https://mainichi.jp/articles/20171130/ddm/013/040/015000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。