2017年8月1日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡、大分両県で35人が死亡、6人が行方不明となっている九州北部豪雨。
猛烈な雨になった7月5日午後5時過ぎ、福岡県朝倉市杷木(はき)林田のSさん(46)は、両親と祖母がいる赤谷川沿いの自宅に向かった。
しかし、既に橋が川に沈んで進めなかった。
約2時間後、山道を遠回りして自宅手前約100mまで近付いたが、家は既に濁流にのまれていた。
両親と祖母は死亡した。
この日、朝倉市では、午後2時25分ごろに「赤谷川が越水している」との通報が市災害警戒本部に飛び込んでいた。
赤谷川を管理する福岡県は水位計を設置しておらず、ある市職員は、「川の状況を把握するすべがなかった」と唇をかんだ。
朝倉市と同県東峰村で、堤防が壊れるなどした県管理18河川のうち、赤谷川など17河川に水位計がなかった。
県河川課は、「(通信機能などを備える)水位計は1台数千万円かかり、どこにでもつけるわけにはいかなかった」と説明する。
水位計がない都道府県管理の河川は、過去にも大きな被害をもたらしている。
昨年8月の台風10号で、岩手県岩泉町では県管理の小本川が氾濫し、認知症高齢者グループホームの利用者9人が犠牲となった。
ホームから約4km下流には水位計があったが、上流部にはなかった。
小本川の氾濫を受けた内閣府の有識者検討会は、昨年12月、「国や都道府県は、水位計などの効果的な配置を検討しなければならない」と報告書で提言した。
ところが国交省河川環境課は、「水位計は重要だが、都道府県に設置を求めるまでには至っていない」のが現状だ。
全国の都道府県管理の2万1004河川のうち、7割以上に水位計が設置されていないことが、都道府県への取材で分かった。
国管理の109水系の本流にはすべて設置されているのに対し、都道府県管理の中小河川で設置が進んでいない実態が浮かび上がった。
7月の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市と東峰村、大分県日田市で各県管理の32河川が氾濫するなどして、甚大な被害が出た。
うち30河川で自治体が水位計を設置していなかったため、毎日新聞が同月下旬、47都道府県に、管理する河川数や水位計設置数などを聞いた。
その結果、都道府県が管理する計2万1004河川に対し、設置台数は計4986台だった。
1河川に複数の水位計を設置しているケースもあるが、1河川に1台設置と想定して設置河川数の最大値をとった場合でも、その設置率は2割強。
7割以上の河川が未設置と推計される。
多くの自治体が、「水位計の必要性は認識している」としながらも、未設置の理由として、通信機能がある水位計が高額であることや管理コストなどがかかることを挙げた。
一方、東京都と埼玉県では設置台数が河川数を上回るなど、大都市圏で設置が進んでいる傾向もうかがえた。
九州大大学院の矢野真一郎教授(河川工学)は、「山間部の中小河川は後回しにされてきた。災害が起きてから設置が進むことが多いが、豪雨はどこで発生するか分からず、災害前から設置を進めていくべきだ」と指摘する。
出典
『九州豪雨 福岡・朝倉市、「越水」把握遅れ』
https://mainichi.jp/articles/20170801/ddm/041/040/132000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
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