2019年11月1日10時50分にNHK島根から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県東部の宍道湖で、ウナギやワカサギの漁獲量が20年余り前から激減したのは、周辺の水田で殺虫剤として使われる農薬が、間接的な原因となっている可能性があると、国内の研究者グループが発表しました。
これは、産業技術総合研究所の山室真澄特定フェローらの研究チームが、アメリカの科学雑誌「サイエンス」で、日本時間の1日、発表しました。
それによりますと、コメの栽培で殺虫剤として利用されている、ネオニコチノイド系の農薬が国内で使われるようになった平成5年以降、宍道湖では、ウナギやワカサギの漁獲量が、それぞれ4分の1と、10分の1に激減しているということです。
これについて研究チームが、ウナギやワカサギのエサとなるユスリカの幼虫と、動物プランクトンについて調べた結果、同様に農薬の導入直後から激減していたということです。
このため、研究チームでは「付近の水田から流れ出した農薬によって、エサとなる生物が激減した結果、食物連鎖が破壊され、ウナギやワカサギも激減したとみられる」として、ネオニコチノイド系の農薬が、間接的にウナギやワカサギを激減させていた可能性があると指摘しています。
これまでウナギとワカサギの漁獲量が減少した理由としては、環境の変化などが原因として指摘されてきましたが、山室さんは「今回の研究をきっかけに、行政などには農薬の使い方を話し合ってもらいたい」と話しています。
(以下は音声情報)
シラウオは、餌が植物プランクトンなので、漁獲量は減っていない。
(以下は取材記者の解説)
・宍道湖漁協は、「対応は内容を精査した上で検討したい。これをきっかけに環境改善の議論を深めたい。」と話している。
・県環境政策課は、「漁獲量減少の原因がいろいろ考えられる中、論文が指摘する可能性を真摯に受け止め、関係機関と情報を共有しながら国の動向などを注視したい。」と話している。
・この問題は、漁業者と農家が対立しかねないだけに、関係者は慎重
な対応を迫られている。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20191101/4030003926.html
11月1日12時0分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
島根県の宍道湖(しんじこ)でウナギやワカサギが1990年代に激減したのは、周辺の水田などでネオニコチノイド系の農薬を使ったことが原因の可能性が高いとする論文を、産業技術総合研究所などの研究チームが10月31日付の米科学誌サイエンスに発表した。
この農薬はミツバチを大量死させることなどが知られていたが、川や湖の生態系にも影響を与えている可能性を示したのは初めてという。
産総研特定フェローの山室真澄・東京大学教授らの調査では、92年にネオニコ系農薬が国内で初めて登録され、実際に使われるようになった93年5月の田植えの時期を境に、宍道湖の動物プランクトンの量が激減。
81~92年と比べ、93~2004年は平均で83%減になったという。
この結果、動物プランクトンをえさにするワカサギは平均年240トンほど漁獲量があったのが94年以降、ほとんどとれなくなった。
ウナギの漁獲量も平均年42トンから10・8トンに減った。
国内の湖沼での漁獲量は減少傾向にあり、原因として植物プランクトンが減ったことや魚を食べる外来種が増えたことが指摘されてきた。
しかし、宍道湖では植物プランクトンの量は変わらず、海水と淡水が混じる汽水域では淡水性の外来種も生息できないため、ネオニコ系農薬で動物プランクトンが減ったことの影響以外は考えにくいという。
ネオニコ系農薬は有機リン系の農薬に代わり、水田でのカメムシなどの防除やゴキブリの駆除、ペットのノミ取りなどで広く使われるようになった。
しかし、発がん性やミツバチの大量死との関係が指摘され、海外では規制が強化されつつある。
山室さんは「ネオニコ系農薬が水田内にとどまらず、川や湖の生態系にも影響を及ぼしている可能性を示した。同じようなことはほかの川や湖でも起きている可能性がある」と話した。
https://www.asahi.com/articles/ASMB04G7SMB0ULZU00K.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の3コマ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。