2021年4月19日16時45分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
乗客106人と運転士が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故の遺族や弁護士らが、企業の刑事責任を問える「組織罰」の創設を訴えるブックレットを4月中にも発刊する。
専門家が法制度案を解説しているほか、さまざまな事故で肉親を失った遺族らが思いを寄せている。
現行の司法制度では、列車や航空機の事故は業務上過失致死傷罪が適用される。
処罰対象は個人のみで、組織の刑事責任を問われることはない。
こうしたなか、福知山線脱線事故をはじめ各地で起きた事故の遺族らが、組織罰の導入を求める声を上げている。
ブックレット「組織罰はなぜ必要か」はA5判で88ページ(1320円)。
脱線事故で長女(当時23歳)を亡くした大森さん(72)が代表の「組織罰を実現する会」が編集した。
12年に9人が死亡した中央自動車道笹子トンネル(山梨県大月市)の天井板崩落事故、16年に15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故の遺族も思いをつづっている。
こうした事故を巡っては、加害組織の幹部が処罰されないケースが相次ぐ。
脱線事故ではJR西日本の歴代4社長が起訴されたが無罪が確定。
笹子トンネル事故も、中日本高速道路元社長ら10人が書類送検されたものの不起訴となった。
大森さんは、「大きな事故ほど多くの要因と関係者が存在する。だからといって免責すれば誰も残らない。責任を問われないから、事前の安全対策が十分になされない」と訴える。
脱線事故で弟(当時41歳)を亡くした埼玉県吉川市の小学校教諭、渡辺さん(63)もブックレットに手記を寄せた一人だ。
時間がたつにつれ、「(ブレーキのかけ遅れや速度超過をした)運転士1人の責任にしていいのか」と疑問が膨らんだ。
「トップは頭を下げるが、本当の意味では責任を取っていない」。
事前の安全対策を促すには、組織罰の創設が必要だと感じるようになったという。
今も弟の妻は電車に乗れず、母親は「なぜ先に死んだの」と弟の話を繰り返す。
「遺族の苦しい思いを他の人にしてほしくない」と、どんな小さな事故でも原因や再発防止策を詳細に説明するようJR西に求めてきた。
「これが弟に対する気持ち。忘れていないよという証し」。
回答に誠実さは感じているが、心の底では許していない。
JR西が安全を第一とした経営をしているか、見つめ続けると心に決めている。
https://mainichi.jp/articles/20210419/k00/00m/040/136000c
4月22日18時11分にNHK山梨からは、1200部印刷されるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
平成24年に大月市の中央自動車道の笹子トンネルで起きた事故や、平成17年に起きたJR福知山線の脱線事故の遺族などで作る団体は、法律に、企業の刑事責任を問う「組織罰」を設けるよう求めていて、22日、団体の主張をまとめた書籍を出版すると発表しました。
書籍は、弁護士や大学教授が、現在の刑法では事故を起こした会社など、法人の罪を問うことはできないとして、新たな法律の制定が必要だと訴え、理由を詳しく解説しています。
また、事故の遺族らが手記を寄せ、「命が奪われたにもかかわらず、企業の責任が問われないのは納得できない」と、心境をつづっています。
JR福知山線の脱線事故の遺族で団体の代表を務める大森さんは、「組織罰によって事故の再発防止につなげたい。書籍を通じて組織罰への理解が広まってほしい」と話していました。
また、笹子トンネル事故の遺族で、団体の副代表を務める松本さんは、「企業が安全管理を怠って大きな事故を起こせば、社会から退場すべきだ。書籍を、考える手がかりにしてほしい」と話していました。
書籍「組織罰はなぜ必要か」は1200部印刷され、今月25日から販売されるということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20210422/1040012901.html
(ブログ者コメント)
組織罰については、本ブログでも何回か情報提供している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。