2021年4月19日3時24分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡崎城西高校(愛知県岡崎市)のチアリーディング部の練習中に下半身不随の大けがをしたのは、安全対策が不十分なまま、習熟度に見合わない危険性の高い練習をさせられたためとして、元女子部員(18)が同校を運営する学校法人を相手取り、将来にわたる介護費など約1億8300万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した。
元女子部員は入部4カ月目で、部の顧問ら監督者の不在中に大技の練習をして事故に遭った。
提訴は2月15日付。
訴状によると、元女子部員は1年生だった2018年7月、低い場所での宙返りも完全に習得できていないにもかかわらず、より高度な技術が必要な、2人の先輩に両足を握られて肩の高さまで持ち上げられた状態から前方宙返りをして飛び降りる練習を体育館でした際、前方のマットに首から落ちた。
その結果、脊髄(せきずい)損傷などで下半身が動かなくなり、排せつも自力でできなくなるなど後遺症が残ったとしている。
部の男性顧問は部活に姿を見せることは少なく、外部の女性コーチが技術指導をしていたが、事故時は2人とも不在だった。
けがを避けるために技の練習で必要な補助者もなく、マットを敷くだけだったという。
元女子部員側は「顧問とコーチは、練習による危険から生徒を保護すべき注意義務をおこたり、習熟度に見合わない練習をさせ、事故に至った」などと主張している。
事故後、弁護士や専門家も参加して同校が作成した事故調査報告書では、顧問は安全指導を含む全指導を外部コーチに一任していたとの認識を示す一方、コーチは「自身は責任者ではない」と考えていたとし、「責任者不在状態のもと、安全指導が徹底されず日々の練習をしていた」と指摘している。
事故後、同校を指導した日本チアリーディング協会(東京都)の担当者は、取材に「危険のある競技なので、安全を最優先に考えるよう、指導者講習会などでも伝えている。本件のような練習は、通常ではあり得ない」と話している。
学校内の事故に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「顧問らが見ることが難しければ、危険性の低い練習にすべきだった。極めてずさんな管理のもとで起きた事故」と指摘している。
元女子部員の両親は「学校側からきちんとした説明がなく、事の重大さを分かっているのか疑問。残念でならない」と話している。
一方、学校法人の担当者は「責任を痛感し反省している。裁判所に公正な判断を仰ぎたい」と答えた。
第1回口頭弁論が21日に開かれる。
https://mainichi.jp/articles/20210418/k00/00m/040/183000c
4月22日6時35分にYAHOOニュース(ABEMA TIMES)からは、顧問は指導をほとんど行っていなかった、コーチは部員全員に安全意識を浸透させる立場ではないと思っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、チアリーディング部は教諭が顧問を務めていたものの、具体的な技術指導や安全指導はほとんど行っておらず、学外コーチに一任していた。
一方、学外コーチは立ち会える時間の中で指導は行うものの、部員全員に安全意識を浸透させる立場ではないとの認識を持っていたという。
安城学園は事故の責任については認め、賠償額について争う方針だ。
【“一部の犠牲”で成立してきた部活動「子供がリスク背負う構図を変えて」】
教員の負担軽減などを理由に、2017年に制度化された「部活動指導員」。
学外コーチは、どこまで部員たちの責任を負うべきなのだろうか。
教育社会学者で、部活動や教員の長時間労働の問題に詳しい名古屋大学の内田良(うちだ りょう)准教授は、「状況にあわせて練習方法や練習量を変えていく必要がある」と指摘する。
「この事故は、外部コーチも顧問もいない中で危険な練習をやったことが問題だ。もし顧問やコーチがその場にいないのであれば、通常の筋力トレーニング、近くを走るなど、もっと安全な練習や危険性の低い練習をすればよかった」
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/1cd2a00a6c31b6d476f027492880ba818973cff1
4月22日8時53分に毎日新聞からは、学校側は元部員にも責任ありと主張している、練習メニューは先輩が作っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「当時15歳であるから、ある程度の危険予見は可能」。
請求棄却を求めた学校側の主張は、元部員側の責任を追及するものだった。
専門家からは、本来、子どもの健康を保証すべき学校側の姿勢に疑問を呈する声も。
・・・
活発だった元部員は小学生の時からチアダンスを始め、アクロバティックな技が加わるチアリーディング部にあこがれた。
2018年4月、同部が全国大会の出場経験もある強豪として知られる同校に入学した。
練習はほぼ毎日あり、朝練、昼練、夕練と続く。
父親(55)は、「帰宅は午後9時を過ぎることもあり、毎日疲れている様子だった」と語る。
同部では、当時部員だった姉(19)も事故の数カ月前に脳しんとうで救急搬送されていたという。
指導者不在の時間も多く、練習メニューは先輩が作っていた。
母親(48)は、「先輩が『やるよ』と言えば従わざるを得ない状況だったのだろう」と話す。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd70a7713617b1a71e978c2e5448a3a197cfc21d
4月22日9時6分にYAHOOニュース(日刊ゲンダイ)からは、学校側の落ち度を判断する3つのポイントなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
この事故の状況からは、その安全意識がまったく見えてこない。
顧問とコーチが不在では、元女子部員側が注意義務違反を指摘するのは当然。
新入部員で未熟な元女子部員に習熟度の合わない練習をさせ、大ケガに至ったという主張も合理的だろう。
【死亡は10年間で1025件】
日本スポーツ振興センターは、部活や体育の授業、休憩時間、登下校などで起きた事故を熱中症などの病気も含めて集計。
その2014~16年度分の322万件を産業技術総合研究所が分析している。
それによると、1年間の平均件数は小学校と中学校で各37万件、高校で26万件。
場所別では、校舎内が21万件だが、運動場や体育館、校庭、プールなど運動する校舎外が68万件に上る。
中高では、運動部の部活が半数を超え、部員が多いバスケットボールやサッカー、野球、バレーボールで事故が目立ち、重症例は柔道やラグビーなどボディーコンタクトが激しい種目に多いという。
大事に至らないケースがほとんどだが、死亡事故も16年度までの10年間に1025件報告されている。
それだけに、岡崎の元チア部員のような後遺症に悩まされるリスクもゼロではないのだ。
【学校側の落ち度を判断する3要素】
自分の子どもが被害者になったら、親は顧問の教師や学校に法的責任を問えるのか。
弁護士の山口宏氏が言う。
「部活動中の事故を判断する場合、顧問や学校の落ち度を判断するポイントは、
①練習内容が危険性の高いものかどうか
②日ごろから生徒に練習内容の危険性と安全対策を指導していたかどうか
③生徒の判断能力はどうか
が争点になります。
たとえば、顧問が不在がちだとしても、『オレがいないときはAの練習はやるな』といった指導がなされていて、その練習が事故の引き金を引いた場合は、顧問が安全義務を怠ったとは必ずしもいえないでしょう。
今回のケースも、顧問の安全指導の在り方は大きなポイントになりそうです」
一般に、高校生なら、ある程度判断能力があるだろう。
しかし、顧問が禁じていたことでも、上級生が「やろう」と言ったりすると、なかなか「やめましょう」とは言いにくいだろう。
上級生と被害者の関係において、どんな判断がなされたかが重要だという。
【高めに見積もる逸失利益に司法判断は?】
・・・
【自転車とバイクの衝突で…】
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/beb3d5aabb87c0ceccb484bf8114df927b58295e
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。