2024年12月8日18時52分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
シカの食害対策には、ワイヤメッシュ(溶接金網)を使った立体柵が効果的――。
岩手県盛岡農業改良普及センターが盛岡市藪川の牧草地で行っている実証実験で、そんな結果が導き出された。
柵に高さだけでなく奥行きを持たせることで、シカに「跳び越えるのは困難」と認識させるのが狙いで、専門家も「視覚的な効果を使った画期的なアイデアだ」と注目している。
■牧草収穫量10倍に
同センターが試作した立体柵は高さ、奥行きともに1メートル。
L字型に折り曲げたワイヤメッシュを組み合わせて四角状にし、結束バンドでつなぎ合わせた。
昨年11月、同市藪川にある牧草地の外周約500メートルに設置したところ、今年6月に刈り取った牧草の収穫量は昨年の2倍に。
9月の刈り取りでは10倍に増えた。
市内で酪農業を営む男性(38)は、この牧草地で刈り取ったイネ科の多年草「チモシー」などを、飼育する乳牛約40頭のエサとしてきた。
しかし、近年は収穫量が半分になり、エサの量を減らしたり、輸入品に頼ったりしてしのいでいたという。
男性は数年前に刈り取り作業を行った際、動物に食われて長さが短い牧草があることに気付いた。
周囲に落ちているフンの形状から、「シカの仕業だ」と確信。
県が立体柵を設置してからは、牧草の収穫量の増加だけでなく、長さもかつての30~60センチから倍近くに伸び、「他の畜産農家にもおすすめしたい。ノウハウを持った行政の支援があるとありがたい」と語る。
■設置後は侵入ゼロ
県によると、昨年度のシカによる農業被害額は前年度比約3090万円減の約2億4320万円だったが、そのうち飼料作物の被害額は約8240万円に上り、作物別では唯一増加した。
立体柵の誕生は3年前。
県農業普及技術課の中森さん(男性、58歳)が発案した。
電気柵などの平面な柵による対策は知られていたが、跳躍力のあるシカに「跳び越えられない」と認識させるには、奥行きを確保することが重要だと考えたという。
効果は目に見えて表れている。
県が昨年10~11月の24日間にわたり男性の牧草地に監視用のセンサーカメラを設置したところ、シカの侵入は23回確認されたが、立体柵を設置した後の19日間はゼロに。
映像には、シカが柵を跳び越えようとして諦める様子も記録されていた。
■増殖抑える効果も
ただ、その後に一部の柵で壊された形跡も確認されたことから、同センターは今年11月、藪川地区の別の牧草地に高さを1・2メートルに伸ばした立体柵を設置し、さらなる効果の検証を進めている。
中森さんは「安価に設置でき、太陽光などの熱を吸収しやすいので、春の訪れと同時に周りの雪が解けやすいメリットもある」と語る。
シカの食害に詳しい県立博物館の鈴木学芸員は「シカ対策の平面柵では、通常1・7メートル前後の高さが必要だが、1メートルの高さでも効果を発揮する今回の立体柵は画期的だ。牧草の食害を防ぐことはシカの増殖を抑えることにもつながる」と期待を寄せている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241204-OYT1T50082/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。