2019年11月13日9時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
食べ物などをのどに詰まらせて窒息して亡くなる人は年間9千人を超える。
息が止まれば一刻を争う。
心肺蘇生と同じように、救命には、のどに詰まった異物をいかに早く取り除けるかが重要になる。
観光名所の浅草寺に近い浅草ビューホテル(東京都台東区)。
昨秋の昼ごろ、1階ラウンジでサンドイッチを食べていた女性(84)がのどを詰まらせ、一緒にいた長女がフロントに助けを求めた。
従業員はすぐに119番通報。
総務課の赤澤マネージャー(36)が駆けつけた。
赤澤さんは救命講習の講師になれる応急手当普及員の資格を持ち、地域の消防団にも所属する。
女性の顔は蒼白(そうはく)で、テーブルに突っ伏してのどから「くぅー」と音を出し、苦しんでいた。
赤澤さんは、長女に状況を聞きながら、のどに詰まった物を取り出すために、女性の背中の肩甲骨の間を手のひらの付け根で強くたたく「背部叩打(こうだ)法」を開始。
続けて、腹部を手で圧迫する「腹部突き上げ法」を繰り返した。
【救急隊到着前の気道確保を】
だが、窒息はなおらず、女性は5分ほどすると意識を失った。
全身の力が抜け、それまで固く閉じていた口の力が緩んだ。
赤澤さんはすぐに手袋を付け、手を口の中に入れ、のどにへばりついていたパンのかけらを指でかき出した。
女性の顔にみるみると血色が戻った。
119番通報から10分後、救急隊が到着。
女性は隊員の声に受け答えできるほど回復していた。
運ばれた医療機関で検査を受け、問題はなかったという。
年をとると、かむ力やのみ込む力が衰えて、食べ物をのどに詰まらせるリスクが高まる。
日本医科大病院など8施設のデータによると、気道が塞がっている状態が5分以内では、死亡は6%。
6~10分だと、死亡または意識が戻らない状態が、合わせて42%に上った。
救急隊の現場到着時間は2017年で平均8・6分。
10年前より1分36秒延びている。
救急隊の到着を待っていては、助けられないケースもある。
日本医科大学高度救命救急センターの五十嵐豊助教(救急医学)らが、08~14年に同センターに運ばれた食べ物による窒息患者155人を調べた。
救急隊の到着前に詰まった気道が再び通っていれば、7割が重い障害を残さずに回復していた。
到着後では3割、病院に搬送後では1割だった。
五十嵐助教は「死亡や重い障害を防ぐには、周りの人の積極的な助けが重要だ」と指摘する。
【子どもは豆類に注意】
腹部突き上げ法をすると、内臓の損傷や肋骨(ろっこつ)骨折が起きることもある。
実施したことを到着した救急隊に伝えたり、速やかに医師の診察を受けてもらったりすることが重要だ。
一方、日本蘇生協議会の指針では、異物が取り出せずに患者が意識を失えば、すぐに心肺蘇生を始めるべきだとしている。
目で見て気道に固形の異物が認められる場合は、指で取り出してもいいとしている。
五十嵐助教によると、中には掃除機で取り出せた事例もあり、「どのような方法がよいのか、医学的な根拠は少ない。何が有効なのかデータを集めて検証する必要がある」と指摘する。
異物による窒息は、乳幼児でも起きている。
日本小児呼吸器学会の気道異物ワーキンググループが昨年、15歳以下の子どもを対象にした全国調査結果の論文を発表した。
事故時に患者がとっていた行動は、食べ物を口に入れた状態でふざける、むせる、転ぶという回答が目立った。
気道に入った食べ物は、ピーナツ(40%)が最多で、節分の豆を含む枝豆・豆類(25%)、アーモンド・ナッツ(11%)が続いた。
調査グループの今井丈英・山口小児クリニック院長は「事故が起きなくても、ひやりとした場面を経験している家族の人は少なくない。どのような食事や行動が事故につながりやすいか、リスクを知ることが予防には大切だ」と話している。
https://www.asahi.com/articles/ASMBZ52H1MBZULBJ009.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。