2022年5月1日19時10分にYAHOOニュース(Hint Pot)から、下記趣旨の記事が該当する花の写真付きでネット配信されていた。
昨今のアウトドアブームを受けて、メディアでは「食べられる野草」を紹介する記事が増えています。
食べられるものが意外と多いことに驚く一方、身近な植物に含まれている有毒な物質には注意が必要です。
茨城県の兼業農家として、少量多品種の米と野菜作りに取り組むこばやしさん。
植物や自然に囲まれながら2児を育てるこばやしさんに、春から梅雨時期にかけて気をつけている有毒植物6種類を教えていただきました。
また、実際に野草を食べて大変な目に遭った……というエッセイ漫画も併せてご紹介します。
◇ ◇ ◇
■身近な有毒植物は200種 誤食や誤飲に注意
初夏目前はタケノコや山菜がおいしい季節です。
我が家の裏山では木々が芽吹き、スズメバチの後ろ姿も見られるようになってきました。
東京から茨城県にある配偶者の実家に移住して約6年。
兼業農家である実家は、庭や裏山に四季折々の花が多種多様に咲き並びます。
祖父母によると、それらはこの土地の先代が各々に庭に植えてきたもの。
つまり私は、その一つひとつの花の品種や植わっている経緯を知らずに住み始めたということです。
子どもや犬と散歩をすると、子どもは気になった花や葉っぱを何でも拾ったり、口にしてみたりします。
さらに、犬が道端に生えている葉っぱをむしゃむしゃ噛むことも。
そこで、それぞれの草花を改めて調べると、これもあれも実は有毒だったと目を丸くすることが多々あります。
植物の中には、食用や薬用になるものがある一方、毒成分を持つものも多くあります。
日本には有毒植物が身近なものだけでも200種類ほど(※1)。
消費者庁によると、有毒植物による食中毒は毎年春、特に4~5月に多く発生するそうです。
有毒植物を食用と勘違いして食してしまったり、花瓶に差していたところ子どもなどが誤ってその水を飲んでしまったりと、さまざまなケースがあります。
いずれも嘔吐や下痢などの中毒症状を発症する恐れがあるため、購入や採取した際は扱いに注意することが事故防止につながるそうです。
■春から梅雨にかけて注意すべき植物 代表格はスイセン
それでは、私が日頃から注意している6種をご紹介します。
万が一、有毒な草花を誤って食べたり、生けた花瓶の水を誤って飲んだりして具合が悪くなった時は、すぐに医師の診察を受けましょう。
誤って食中毒になった場合は、確認しやすくするために、できれば実物を持っていく、もしくは写真に残しておくと良いですよ。
【スイセン(ヒガンバナ科)】
特徴:全草が有毒。
園芸品として色や形の異なる多くの種類がある多年草。
野生化したものもある。
食中毒の事例が絶えない代表例は、スイセンをニラと間違えて口にしてしまうことです。
他にも、葉の部分をノビル(※)やアサツキ、根の球根部分を玉ネギやノビルなどと間違える事例が挙げられます。
スイセンとニラは、花が咲いていなければ見分けられないほど葉の形状が酷似しています。
その一方で、違いは葉を揉んだ際の匂い。
また、スイセンの葉はニラよりも厚めでしっかりとしている印象もあります。
どちらも多年草のため、一度植えると毎年勝手に生え続けてくる性質も。
そのため我が家の場合は、どちらも義父母よりも前の先代が植えたものです。
(※)ノビル……ユリ科ネギ属で、葉が小ネギのようで根がぷっくり膨らんだもの。野草。
「よく見れば間違えるわけがない」……そう考えている人も少なくないでしょう。
しかし、実際にスイセンの葉を食べてしまったという体験談を読むと、本当に見分けがつきにくく、誰にでも起こり得る事故であることがよく分かります。
そんな体験談を漫画に描いたのは、コミックエッセイ「結婚してから同じ布団で寝てません」(オーバーラップ刊)の著者、小池ぬーみんさん。
職業が猟師という配偶者さんと2匹の猫との田舎暮らしを漫画で綴り、人気を集めています。
小池さんはある時、配偶者さんの提案で野草料理に挑戦。
配偶者さんから説明を受けて庭に生えたノビルを収穫したところ、実はそれがスイセンでした。
スパゲティに加えて食べると味に違和感を覚えますが、山菜を口にしたのが初めてだったため間違いに気づかず。そのまましばらく食べてしまいます。
その後、2人とも嘔吐が止まらなくなり、病院に駆け込みました。
この漫画からも分かるように、普段から自然と接している人でも、花が枯れたスイセンとノビルを見分けるのは難しいもの。
また、少量食べただけでもつらい症状に見舞われるのです。
■これから見頃を迎えるアジサイや仕込みが始まる青梅にも注意
次にご紹介する植物も、普段からよく見慣れているものばかりです。
中には花瓶の水を飲んでも中毒を起こすことがあるといわれるものも。
【スズラン(ユリ科)】
特徴:全草が有毒。
初夏に花咲く高山などに自生する多年草で、庭に園芸用に植えられていることもある。
スズランを差した花瓶の水を飲んでも、中毒を起こすことがあるそうです。
背丈が低く、気軽に摘んで家に飾れる花の一つですが、子どもの手が届かない場所に置きましょう。
我が家でも徹底しています。
【アジサイ(アジサイ科)】
特徴:全株が有毒。
全国各地の公園・寺院・庭などに植えられている落葉低木。
6月から7月にかけて、ピンクや青、紫などの花を咲かせるアジサイ。
小さな花が集まって咲く花姿はとても可憐ですが、過去に刺身のツマのように料理に添えられたものを食べて、食中毒が発生した事例があるそうです。
万が一そのような場面に出くわしたら、口にすることを避けましょう。
【イチョウ(イチョウ科)】
特徴:全株(特に葉や種子)が有毒。
街路樹や公園樹として植わっている。
我が家の庭にも植木鉢に植えたものがあり、春になって若葉がついてきました。
葉の形がかわいらしいので、子どもが口にしないように注意が必要です。
また、秋に生る銀杏の実(種子)には経口中毒量があるそうです。
中毒リスクを低減するには、「年(歳)の数以上は食べない」という昔からの言い伝えを目安として覚えておくと良いでしょう。
【ウメ(バラ科)】
特徴:未熟果が有毒。
公園や民家の庭先などに観賞用や食用にも植わっていることが多い落葉高木。
梅雨になると梅酒や梅干しなどの加工向けに、未熟果の青梅や完熟梅がスーパーマーケットなどにも出回ります。
この未熟果は有毒のため要注意です。
香りが良いので、子どもなどが拾ってかじってしまわないようにしましょう。
【レンゲツツジ(ツツジ科)】
特徴:全草が有毒。
高原などに自生する落葉低木。
園芸樹でもある。
春、葉が出た後、赤色や黄色などのロート状鐘形の花が咲く。
子どもがツツジの花のミツを吸うことを知っている場合は要注意。
レンゲツツジは我が家の近くで見かけない品種ですが、区別がつかない場合は口にしないことが最善です。
■ヒガンバナは田んぼのモグラ除けに? 毒を利用した祖先たち
最後に、昔からその土地で生き続けている多年草であり、有毒な草花の代表格として注意したいヒガンバナについて。
ヒガンバナはその名の通り、秋のお彼岸の頃に花を咲かせます。
北海道や東北を除く日本全国の土手、道端や民家でもよく見かけますが、有毒なことはあまり知られていません。
昔の人々がヒガンバナを植えた目的の一つは、田んぼの畔を崩すモグラ除けのためだったという説があるそうです。
確かに、原木シイタケを育てている我が家の裏山には、モグラが掘ったであろう穴がボコボコあり、これでは田んぼの水があらゆる箇所からだだ漏れになってしまうだろうと想像できます。
そこにヒガンバナを植えた先代は、有毒性を知った上のことだったでしょう。
しかし、時を経て今、そうした特性や経緯を知らない私や子どもたちが手に取ることには、危険も潜んでいます。
採取が許可されている野山から花や山菜を家に持ち帰り、飾ったり食べたりすることは、自然がくれる暮らしの小さな楽しみですよね。
だからこそ、害や危険性なども知った上で、生活に取り入れることが大切だと実感します。
コロナ禍3年目の初夏。近場の公園はもちろん、森や山へ出かける人が今年も多いと思われます。
知らない草花を手に取る前に、一度立ち止まってスマートフォンや図鑑などで調べてみましょう。
自身の安全を守るとともに、自然の新しい一面に触れる手助けになると思います。
【参考】
※1東京都福祉保健局「食品衛生の窓」間違えやすい有毒植物
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/dokusou/index.html
厚生労働省「自然族のリスクプロファイル」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/poison/index.html
消費者庁「家庭菜園等における有毒植物による食中毒に御注意ください」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/160413kouhyou_1.pdf
農林水産省「知らない野草、山菜は採らない、食べない!」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/rinsanbutsu/natural_toxins.htm
【消費者向けパンフレット】有毒な植物と食べられる植物間違えないように気をつけて!(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)
http://www.nihs.go.jp/dsi/section_s3/toxins/toxicplantsA4.pdf
「人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑」土橋豊(淡交社)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a60cc7097bab72c0905c2b0fc1de451b54b399b6
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。