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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2020713日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。

第1報は下記参照。

https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10834/

 

 

(2020年10月1日 修正2;追記)

 

20209242025分にYAHOOニュース(LIMO)から、今回の事例発生メカニズムを鍾乳石に喩えるなどした下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。

 

今年76日、大分県臼杵市の高齢者施設で、湯冷ましの水が入っているやかんにスポーツドリンクの粉を溶かして作った清涼飲料水を飲んだ入所者13人に、吐き気や嘔吐の症状が出たとのニュースが流れました。

 

原因物質は後述のように推定されていますが、そもそもの原因は、毎日同じやかんで長期にわたって(10年以上と報道)お湯を沸かしたこと、そしてスポーツドリンクをそのやかんで作ってしまったことにあります。

 

この時どのような化学反応が起こっているのかに関しては、ほとんど知られていません。

 

そこで本稿では、今回の事故発生の理由と、それに関連する科学(化学)について、できるだけ化学式を用いず言葉で紐解きたいと思います。

 

 

【水を温めた時の化学反応。水あかはどうしてできるのか?】

 

まず、少し長くなりますが、水あかとは何かを明らかにしましょう。

 

意外かもしれませんが、この話は、鍾乳洞の形成や日常の洗濯とも密接に関係しています。

 

水道水に含まれる代表的なミネラルはカルシウム(その他にナトリウム、マグネシウム、カリウムなど)です。

 

カルシウムイオン(Ca2+)として存在しますが、正確には炭酸水素カルシウム(CaHCO32)として水に溶けています。

 

鍾乳洞ができるのは岩石中の炭酸カルシウム(CaCO3)の隙間に、二酸化炭素(CO2、炭酸ガス)を含んだ水が流れ、炭酸水素カルシウムとなって岩石が溶けるからです(反応1)。

 

もちろん、これには長い年月が必要です。

 

鍾乳洞に入ると、天井から垂れ下がる鍾乳石のツララをよく見かけます。

 

これは、岩石が溶けるのとは逆反応、すなわち炭酸水素カルシウムを含んだ水が天井から滴下する間に、二酸化炭素が空気中に放出されると元の炭酸カルシウムに戻るからです(反応2)。

 

長い年月をかけて、これが繰り返されると石のツララが成長します。

 

水道水を温めた時の化学反応は、反応2に相当しますので、水に溶けない石ができることになります。

 

同じやかんや電気式ポットを使って長期間お湯を沸かしていると底に石が溜まります。

これが水あかの正体です。

 

この水あかを出す反応2では、水中のカルシウム濃度が減少するわけですから、水はより軟水になります。

 

一方、カルシウムなどの濃度が高い硬水は洗濯には適さない水です。

 

理由は、石けんがカルシウムなどと反応して水に溶けない沈殿物(石けんカス)を作り、洗浄力が落ちるからです(最近は石けんカス生成を抑える洗剤もある)。

 

つまり、加熱した水を使った方が洗濯の効率が上がるわけで、「洗濯にはお風呂の残り湯を使え」と昔から言われているのはこのためです。

 

このように、洗濯でもやかんの水あかができるのと同じ反応が見られます。

 

 

【水あかを溶かすには】

 

工場などで水が通っている細い蛇管の内部に溜まった水あかを掃除するのには、古くからリン酸のような酸性物質が使われてきました(塩酸や硫酸は強い酸で管を腐食させるため使われない)。

 

これと同じで、家庭でやかんや電気式ポットの内部に溜まった水あかを溶かすには、台所にある酸性物質のお酢やレモン(クエン酸)を使います(反応3)。

これは、れっきとした化学反応です。

 

ちなみに、地球環境問題で話題になる酸性雨が、石仏の顔がぼけるほど溶かすことはよく知られたことです。

これは、水あかを酸性物質を用いて溶かすことと同じ反応です。

 

 

【やかんの水あか中毒の原因物質と、そもそもの原因】

 

今回のやかんの水あか中毒のそもそもの原因は、水の煮沸(反応2)と水あかを溶かす(反応3)ことが偶然にも重なってしまったことにあります。

 

しかし、水あかが溜まるのは防ぎようがありません。

 

問題なのは、反応3、すなわち水あかを溶かしてしまったこと、そして飲んでしまったことです。

 

科学(化学)的知識があれば(そうは言っても難しいことですが)この事故は防げたかもしれません。

 

大分県食品・生活衛生課によれば、今回の“やかん食中毒”の直接の原因は、やかんの内部に付着していた水あかに、水道水に含まれる微量の銅が長期間にわたって蓄積し、それが酸性のスポーツ飲料と反応して溶け出したことだといいます。

 

ちなみに、飲まれたスポーツドリンクを調べたところ、1リットルあたり200ミリグラムの銅が検出されたとのこと。

 

水道水の水質基準では銅は1mg以下となっているので、かなり高濃度であったことは間違いありません。

 

ただし、銅以外の原因物質がなかったのかは不明で、詳細な分析が必要な気がします。

 

 

【酸性飲料は入れ物に注意】

 

この事故を受け、厚生労働省は、やかんや水筒など金属製の容器でスポーツ飲料などを飲む際には注意するようツイッターなどで呼びかけました。

 

金属製の容器(やかんや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶けだすことも考えられるので、スポーツ飲料、炭酸飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、ビタミンCやクエン酸を含んだ清涼飲料水などを入れる場合には注意が必要です。

 

容器内部にさびや傷がないかの確認はもとより、長時間入れたままにしないよう気をつけること。

 

また、上述のようにお酢・レモン(クエン酸)でやかんなどの水あかを時折掃除することも大切です。

 

ポカリスエットを製造・販売している大塚製薬の友人は、「金属製容器でポカリスエットを保存することは、基本的に推奨していない。スポーツ飲料対応の水筒ならOK」と話してくれました。

 

最近の水筒の内部はフッ素樹脂でコーティング加工されているものが多く、安心して使えることを売りものにしていますが、一方で、そのコーティング樹脂は人体に悪影響を与えないのかという心配もあります。

 

これらについては別の機会に述べたいと思います。

 

今回のやかんの水あか中毒事故は、かなり稀なケースかもしれません。

 

しかし、少しでも科学(化学)的な発想を持ち合わせれば、防ぐことができた可能性はあったように感じます。

 

これだけ身の回りに化学物質を含む製品が存在していることを考えると、身の回りの生活と科学(化学)の距離を縮めなければならないと痛感します。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8d6c3a1550693e0aaa5859c1f2b4a6a76f6df395

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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