2021年4月23日9時6分にYAHOOニュース(日刊ゲンダイ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ヘビは江戸時代までは「長虫(ながむし)」と呼ばれていたことをご存じだろうか。
日本ではヘビがそれだけ身近な存在だったということだろうが、日本に生息するヘビの中で、毒があるのはマムシ、ヤマカガシ、ハブの3種類だ。
ヤマカガシは数が減ってほとんど見られなくなったが、ハブは沖縄と奄美に生息し、マムシは九州から北海道まで広く分布している。
最近はハイキングやキャンプ、登山ブームで野山に出かける人も多いが、その前に毒ヘビの知識も知っておきたい。
長浜バイオ大学(医療情報学)の永田宏教授に聞いた。
ヘビに噛まれて亡くなる人は、2019年に5人と近年では年間数人程度で、そのほぼすべてがマムシによるものだ。
毒ヘビというとハブを連想する人が多いだろうが、最近は2014年に奄美諸島で1例あっただけで、沖縄県はずっとゼロが続いている。
マムシに噛まれる事故(マムシ咬傷)は、今ごろから9月いっぱいがシーズンで、年間1000~2000件と推定されている。
2014年に全国の救急病院・診療所9433施設を対象にしたアンケート調査(回答率47・2%)では、975例が報告され、致死率は0・8%だった。
「噛まれるのは手(指や手の甲など)と足(足首より下)に集中しており、体幹が噛まれることはめったにありません。
畑や里山での農作業中に噛まれるケースが多いのですが、マムシを捕ろうとして返り討ちに遭う人もいます。
マムシはいまでも精力剤や漢方薬の原料として売れますし、自家製のマムシ酒をつくる人もいます」
ちなみにマムシには、赤褐色のいわゆる赤マムシと、黒褐色の黒マムシがいるが、種としてはまったく同じだ。
噛まれた直後はあまり痛みを感じない場合が多いようで、「何かに噛まれたようだ」という人もいるほど。
しかし30分から1時間後には、創の周辺が腫れあがり(腫脹)、激しい痛みが襲ってくる。
■横紋筋融解症や急性腎不全を発症するケースも
「マムシ咬傷では、とくに腫脹の程度から重症度を5段階に分類しています。
最も軽いグレードⅠは、噛まれた周辺が赤く腫れる程度です。
救急搬送されてくる患者の多くはこの段階です。
しかしグレードにかかわらず、原則として全員がそのまま入院となります。
というのも、搬送時は比較的軽症でも、時間を追うごとに重症化することが多いからです」
腫脹が手首ないし足首までにとどまっていればグレードⅡ。
とはいえ、たとえば手を噛まれたとすると、スキー用の手袋をはめたくらいに腫れあがる。
しかも噛まれた部位は、内出血を起こして青紫色に変色することも多く、かなり衝撃的な見た目になるという。
さらにグレードⅢでは、肘ないし膝関節まで腫脹が広がる。
グレードⅣは一肢全体、つまり噛まれた側の腕または脚全体が腫れる状態。
そして最も重いグレードVでは、腫脹が体幹にまで達する。
右手を噛まれたとすると、腫れが右肩を超えて肩甲骨辺りにまで達するという。
「腫脹がひどいと筋肉にかかる内圧が上がり、血行不全から壊死に至る(コンパートメント症候群)ことがあるため、予防的に皮膚を切開するケースもあります(減張切開)。
腫脹のピークは、噛まれてから24~48時間後。
それを過ぎると少しずつ腫れが引いていきますが、完全に引くまでには2週間から1カ月程度を要します」
重症化すると筋肉が溶けて(横紋筋融解症)、いわゆる血尿が出る場合がある。
「人によっては急性腎不全を起こすこともあります。
また播種性血管内凝固症候群(DIC)といって、血小板の数が減り、消化管から出血が起こり、吐血することもまれですが報告されています。
マムシ毒には血小板を凝集させる成分が含まれているため、正常な血小板が急激に減ってしまい、出血しやすくなるのです。
重症化の割合は、患者の2%前後とされています」
噛まれたときの応急処置として、創より上流(心臓側)をベルトやタオルなどで縛って、毒の回りをできるだけ遅らせること。
アウトドア用のポイズン・リムーバーで毒を吸い出すのも効果的と言われているが、口で吸い出すのはやめたほうがいいだろう。
まずは、なにより急いで病院に搬送することだ。
以前は「少々時間がかかっても慌てず安静を保って搬送するように」と言われていたが、いまは「走ってでも病院に急げ」に変わってきているという。
毒が広がるまでに30分から1時間かかるので、それまでに救急を受診し、初期治療を受けられれば、重症化のリスクを下げることができる。
万一、ゴルフ場などで噛まれたときは、とにかく病院に急ぐことが肝心だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1fb0c6a5fe23c4e52657e0e27320191a48dde089
(ブログ者コメント)
〇マムシに噛まれた場合は走ってでも病院に行ったほうがよいという件は、本ブログで過去にも紹介スミ。
今回は、より詳しい情報を得られたので紹介する。
『[プチ昔の報道] 2015年7月12日報道 マムシにかまれた場合の対応;病院に行くまで時間がかかる場所なら、応急処置後、走って助けを求めに行くほうが良いとの調査結果』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5059/
〇関連情報調査結果、縛る場合は緩めにという、以下の情報も見つかった。
(2015年02月14日発行 Web医事新報) P.65
【Q】
マムシ,ヤマカガシにかまれたときの対処法について。
【A】
[1]かまれた部位よりも中枢部を縛るべきか否か
現在では,局所の組織損傷を起こすような毒蛇による咬症では,緊縛によって蛇毒を局所にとどめることで損傷を大きくする危険性が高くなるため,緊縛は勧められていない。
また,患者は細いひもなどで完全に血流が止まるほど強く縛りすぎていることが多く,そのことによる悪影響も考えられる。
ただし,神経毒は吸収が速く,呼吸麻痺の危険があるため毒の吸収を遅らせる必要がある。
その場合,包帯などで骨折時のように患部の前後を含めて広く巻いて固定するクレープバンデージ法が勧められている。
マムシ咬症でも、医療機関に行くまでかなり時間がかかる場合にはこの方法が勧められるが,腫脹の広がりにより圧迫が強くなるため,ときどきチェックして調節する必要がある。
ヤマカガシ咬症でも,短時間で医療機関まで行けるようであれば,縛る必要はない。
・・・
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=3670
(宇部市医師会外科医会)
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マムシに咬まれた場合、まず噛まれた傷口より心臓側を布などで軽く縛り安静にして下さい。
これは毒が全身に回るのを遅らせるためです。
あわてて走ったりすると毒が全身に回りやすくなります。
次に、傷口から血を絞り出すようにして毒を体外に出します。
水があれば血を絞り出しながら洗浄して下さい。
口で毒を吸い出す方法は、口付近に傷があるときには禁忌です。
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http://www.yamaguchi.med.or.jp/g-med/ube/consultation/014.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。