2017年8月22日18時46分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、北海道を相次いで襲った台風では、道内の川にかかる橋のうち少なくとも50の橋が落ちるなどの被害が出た。
専門家の調査で、橋の被害を拡大させた新たな原因が明らかになった。
十勝の清水町を流れるペケレベツ川は、台風被害からまもなく1年がたつが、土地はえぐられてむきだしのままだ。
今も被害のあとが生々しく残っている。
去年の台風では、川にかかる橋でワゴン車が流され、乗っていた70代の男性の行方が分からないままになっている。
川岸では、住宅が流されて壊れた。
何が大きな被害を引き起こしたのか。
河川の防災に詳しい北海道大学の清水康行教授は、被害が大きかった地域で原因を調べている。
これまでの調査で、大雨で川の水が増えて川岸を削る「洗掘」と呼ばれる現象が起きていたことが判明した。
大量の雨が原因で「洗掘」が多発して、被害の拡大につながったことが分かっている。
清水教授は、「狭い橋の下を流れた小さい川でも、水が橋の裏側を回って橋が落ちたりしている」と話している。
なぜ「洗掘」による被害が拡大したのか。
清水教授は何度も現地を訪れて被害状況を調べ、その原因に迫ることにした。
調査を行っている河川の1つ芽室川は、ペケレベツ川と同じように大きな被害が出た。
ドローンで撮影された映像を見ると、川底がV字形に深くえぐられている。
清水教授の解析では、長さおよそ9kmにわたり、10mから15mほどの深さで川底が削られたことがわかった。
清水教授は、「驚きました。30年くらいの流量のデータを調べたら、ほとんどそういうことなかった。何もなかったのが一瞬にして、こういうことが起きてしまった」と話していた。
清水教授は、水とともに下流に流れ出た大量の土砂が被害を拡大させたと推測。
どのようにして被害を拡大させたのか、ペケレベツ川の衛星画像と測量データを組み合わせ検証した。
氾濫前の、もともとの被災前の川で計算。
まずは水だけの場合。
川の氾濫が発生し、水があふれるものの、川岸をえぐり形を変えてしまうほどの勢いがないことが分かった。
ところが、これに土砂が加わると、川の流れが下流で左右に激しく蛇行し、川をえぐる力を生んだ。
実際にペケレベツ川で起きたのと同じように、川の流れが大きく変わってしまった。
清水教授は、上流の川底から削られた土砂が下流に堆積し、本来の川の流れが狭まり、強くなった水の勢いによって川岸が削られて「洗掘」の被害を大きくしたと指摘する。
清水教授は、「川全体を調査した結果、大規模な土砂移動があり、上流からの浸食をした土砂が下流に来て堆積して、それによって蛇行が引き起こされていろいろな被害が生じています」と話している。
清水教授は、こうした土砂流出による被害拡大のリスクは全国の河川に潜んでいると指摘。
川底の土砂流出をどのようにして防ぐのかなど、新たな治水対策を考える時期に来ていると言う。
清水教授は、「こうした被害は北海道だけとは言えません。日本は特に山が急で、急に平地になりますから、大量に土砂が出てきて平地にたまる、それがまた被害を助長します。日本各地で、どこでも起こりうることだと思います。特に人命に関わるような被害が予想される場所は、優先的に整備していくべきです」と話していた。
専門家によると、道内では本州などに比べ夏に降る雨が少なかったため、川底に土砂が堆積した状態になっているという。
このぶん、大雨が降った時のリスクが高いという指摘もある。
対策としては、出来るだけ土砂が流れ出ないようにすることが必要だ。
例えば、砂防ダムの整備、川の底を固める「護床」の工事、そして川底を階段状にして傾斜を緩やかにするなど、ハード面での対策が考えられる。
こうした対策を行うには、課題も多くある。
砂防ダムの建設には、数億円の経費がかかる。
また、工事によって環境を変えすぎると、魚が遡上できなくなるなど、環境保全との両立も必要だ。
ハード面だけでなく、川沿いの集落にいち早く避難を呼びかけるなど、地域が一体となって身を守る行動を取ることが必要だ。
出典
『川底の土砂流出で橋の被害拡大』
http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20170822/3088531.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。