2017年8月23日21時2分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、北海道を相次いで襲った台風の被害から、まもなく1年。
台風が去ったあと、堤防の近くでは砂と水が噴き出す「噴砂」と呼ばれる現象が確認されたが、この噴砂には堤防の決壊につながりかねない危険が潜んでいることが明らかになってきた。
去年8月、北海道を襲った台風で北見市などを流れる常呂川は各地で氾濫し、大きな被害をもたらした。
その台風が去ったあと、北見工業大学の川尻峻三助教らが現地を調査したところ、堤防が決壊しなかった場所でも、「噴砂」と呼ばれる現象が起きていたことが確認された。
噴砂が起きると地表には砂と水が吹き出し、そのあとには円盤状に盛り上がった砂が残る。
調査の結果、常呂川沿いの4kmの範囲では、大小合わせて50か所以上もの噴砂が見つかった。
この噴砂は、堤防の安全性に関わりかねない危険な現象だと言う。
川尻助教が噴砂のできるメカニズムを再現した実験では、川側の水を増やしていくと、水の圧力で堤防の下の砂の中に水の通り道ができた。
実際の堤防でも、川の水位が上がって圧力が増すと、堤防の下の柔らかい地層を浸食して水の通り道が作られ、畑や家などがある側に水と砂が噴き出す噴砂が起きるという。
さらに、浸食で空洞ができた箇所では、支えを失った地面が崩れて堤防が崩壊し、水が流れ込むおそれもある。
川尻助教は、「堤防が川の水位より高かったとしても、噴砂をきっかけに堤防がダメージを受けると、越水する現象が起こってしまう」と指摘している。
実際に、5年前の九州北部豪雨では福岡県内を流れる矢部川の堤防が決壊し、市街地に水が流れ込んだ。
国は、噴砂が起きた常呂川で、堤防の脇に鉄の板を打ち込んで水の通り道をなくす応急工事を進めている。
しかし、工事には1kmの区間で4億円の費用がかかり、流域すべてに打ち込むのは財政的に厳しいため、工事は限られている。
川尻助教は、堤防のすぐ脇にできる噴砂はダメージを与えるおそれが大きいため、こうした箇所から対応することが重要だと指摘している。
また、効率的な対策を行うには、危険度が高い噴砂の周辺で優先的に土を盛ったり、川底を削って川の水位を低くしたりすることが有効ではないかと話している。
出典
『“噴砂”現象に潜む危険性は』
http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20170823/5905871.html
(ブログ者コメント)
以下は、同様な現象が起きていたらしい過去事例。
2016年10月6日掲載
2016年9月28日報道 宮崎県で台風16号通過時に「パイピング現象」が発生、延岡市では川の水が堤防下を通って地表に噴き出し、都城市では高台の畑に降った水が下の道路に噴き出した
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6349/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。