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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2024122719分にYAHOOニュース(SlowNews)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

汚染源がないはずの場所が、PFOAPFASの一種である有機フッ素化合物)に汚染されたのはなぜなのか。

 【写真】岡山と200キロ離れた大阪で検出された「特殊な4種類のPFAS」とは

これまで汚染源は、PFOAを含む泡消火剤を使っていた基地やフッ素樹脂などを製造していた工場と考えられてきた。

それがいま、まったくの死角だった汚染の「拡散ルート」が浮かびつつある。

 

■死角だった「活性炭」という汚染拡散ルート

突然のメッセージが送られてきたのは、昨年1031日朝のことだった。

<はじめまして。私は岡山県吉備中央町で牛を飼いチーズを作って暮らしている者です>

送り主は吉田さん(69)。
全国的なブランドとして知られる牧場の経営者だった。

牧場のある円城地区に送られる水道水から過去3年で8001400ナノグラム(1リットルあたり)のPFOAが検出され、水源となる河平ダムの上流にある沢からも最大で3,700ナノグラムが検出されたという。

町から水道水の飲用禁止が知らされた夜、Googleマップの画像で地域一帯を調べていた息子が、吉田さんもとに近づいてきて、iPadの画面を見せた。

「河平ダムの上のほうに、変なものがたくさんある」

たしかに、積み上げられた黒っぽいものが見える。

二人はすぐに車を走らせた。

まもなく、林を切り拓いた一角にフレコンバックのようなものが大量に置かれているのを見つけた。

翌朝、再び足を運び、太陽の下でもあらためて確認した。

沢のすぐ上流の資材置き場に山積みになったフレコンバックには、活性炭が入っていた。

<土地所有者(注:のちに借用者と判明)は地元活性炭製造会社で、排水処理に使用した活性炭の再生業務もしています>

国内で例のない高濃度の飲み水汚染を引き起こしたのは、地元企業・M工業が引き受けた、使用済みの活性炭かもしれない、というのだ。

そうであれば、汚染を取り除くために使われたはずの活性炭がM工業に引き取られた後、なんらかの理由で放置され、新たに汚染を拡散していたことになる。

使用済み活性炭が汚染源になるというのは、まったくの死角だった。

PFASは、使用済み活性炭をはじめとした廃棄物処理の規制の網から漏れている。

このため、岡山に限らず、規制の空白をつく形で汚染がどこで広がっていても不思議ではない。

そもそも、M工業に運び込まれる前に使っていたのはだれなのか。

排出元は責任を問われないままなのか。

使用済み活性炭による汚染の拡散という構造的な問題が浮かび上がった。

ちなみに、吉田さんがつくっていたチーズや牛乳は、検査会社に出したところ、「検出下限値未満」とされた。

 

■追い詰められた地元企業と住民は

使用済み活性炭を野積みにしていた地元のM工業は今年6月、町から2億円超ともいわれる損害賠償を求められた。

今後、さらに土壌浄化費用など億単位の支払いを迫られれば潰れかねない。

そのことに危機感を抱いたのは、M工業だけではなかった。

住民の中からも、不安の声が上がった。

もしM工業が潰れてしまえば、汚染の原因となった使用済炭がどこからきたのか明らかにされず、だれも責任を取らない事態になりかねない。

活性炭の処理を引き受けた会社だけでなく、PFOA除去のために活性炭を使った排出元も責任を負うべきではないか。

「円城浄水場のPFAS問題有志の会」のメンバーでもある吉田さんは代表の小倉さんとともに、M工業の幹部と面談した。

じつは、M工業もまた、排出元企業を特定したいとの意向をもっていた。

ただ、野積みにしていた活性炭は大量にあり、どの企業から引き取ったものかを特定するのは容易ではない。

そこで、M業は、PFAS研究を続ける原田浩二・京大准教授に連絡を取った。

野積みにしていた使用済み活性炭のうち、手元に残していた一部を調べてもらうことにしたのだ。

 

■残していた活性炭を調べて浮かび上がった「希少な4種類のPFAS

吉備中央町の円城浄水場の飲み水からは、記録の残る過去3年間、国の目標値である50ナノグラムの1628倍にあたるPFOAが検出されていた。

ということは、活性炭にもきわめて高い濃度で吸着していたと考えられる。

原田准教授は、まずはM工業から提供を受けた活性炭を調べた。

すると、きわめて高い濃度のPFOAと希少な4種類のPFASが含まれていた。

検出された4種類は7H-PFHpA8H-PFOA9H-PFNA10H-PFDAで、「ハイドロPFASH-PFAS)」と呼ばれる。

それぞれ一般的なPFASの一部がフッ素から水素に置き換わったものだという。

これらと一致するPFASが検出されれば、活性炭の出元が特定できるかもしれない。

活性炭が日常的に使われているのはどこなのか。

考えられるものの一つのは浄水場だろう。

だが、浄水場に流れ込む川の水にはさまざまな物質が含まれており、PFOAだけが突出して検出されるとは考えづらい。

PFOAが主に使われてきたのは工場だ。

なかでも、PFOAを使用するだけでなく製造もしていた工場が疑われる。

ある調査によれば、日本には43府県の200を超える自治体にPFASを製造または使用している企業がある。

その中でも代表的なのが、AGC(旧旭硝子)、ダイキン工業、三井・ケマーズフロロプロダックツ(旧三井・デュポンフロロケミカル)の3社だ。

2015年までのPFOA全廃」という協定を結んだ世界の化学メーカー8社に含まれている。

このうち、ダイキン工業の淀川製作所(大阪府摂津市)と、旧三井・デュポンフロロケミカルの清水工場(静岡市)の近くから採取された地下水を、原田准教授は調べた。

旧三井・デュポンフロロケミカルの清水工場は、これまでもスローニュースで「デュポン・ファイル」として周辺の汚染実態を報道してきたところだ。

しかし工場近くで採取された地下水からは、M工業から提供を受けた活性炭から検出されたものと同じ組成(物質の構成)のPFASは検出されなかった。

一方、ダイキン工業の淀川製作所近くのサンプルからは、問題の使用済み活性炭に含まれていたのと同じ、PFOA4種類の「H-PFAS」が検出された。

ほかに、PFOAの代替物質であるPFHpAPFNAPFDAも含まれていた。

活性炭と水(地下水)では吸着率が異なり単位も違うため単純に比べることはできないが、いずれも高濃度だった。

この「H-PFAS」は、経済産業省傘下の産業技術総合研究所が開発したPFAS一斉分析法の対象となる39物質に含まれておらず、米環境保護庁(EPA)が示す分析法でも対象になっていない。

これまで環境中でほとんど検出されたことのない「H-PFAS」が岡山・吉備中央町にあった使用済み活性炭と、200キロ離れた大阪・摂津ダイキン工場近くの地下水からそれぞれ検出され、その組成も一致したことになる。

ダイキン工業は取材に対し、汚染された地下水を汲み上げた後、活性炭を使って除去してきたことは認めているものの、M工業に活性炭の再生を委託した事実はないと、否定する回答を寄せている。

「弊社がPFOAの除去処理に使用した活性炭については、専門の処理業者を通じて焼却処理を依頼しており、弊社が確認する限り、使用済活性炭の再生を委託した事実はありません。吉備中央町での事案と弊社とを結びつけたり、関係性を匂わせたりするような取材・報道は、お控えください」

回答にある、「焼却処理を依頼した専門の処理業者」がどこなのか、ダイキン工業は明らかにしていない。

 

■検出された希少なPFASに関する特許も

さらに、原田准教授は今回検出された「H-PFAS」についての研究論文を検索したところ、ダイキン工業が過去にいくつもの特許を出願していたことがわかった。

たとえば、7H-PFHpAについては、1994年に半導体のエッチング剤の用途で特許を出願している。

2012年には、H-PFASを水から除去する方法についての特許を出願していた。

特許庁による「公開特許公報」によると、・・・

 

■専門家「稀な物質の組み合わせの検出、偶然とは考えづらい」

今回の活性炭と地下水の成分分析結果をどう見ればいいのか。

原田准教授はこう話す。

PFASの中でもきわめて稀な物質の組み合わせが、大阪と岡山でともに検出されたのは偶然とは考えづらい。
ダイキンの工場で使われていたPFAS類が活性炭に吸着したまま岡山に運ばれた蓋然性は高いだろう」

M工業の町や住民に対しての説明では、こうした活性炭は野積みを始めた2008年ごろより前から引き受けていたが、PFOAなどが含まれているとは知らされておらず、有害物質を漏出させている認識はなかった、と釈明しているという。

本来、汚染を取り除くために使われた活性炭が逆に、2次汚染を引き起こした可能性があることに対し、業界としてどう取り組むのか。

M工業の主要取引先であるクラレと大阪ガスケミカルなど4社が加盟する「日本無機薬品協会」(東京都中央区)は、「M工業は加盟社ではなく、詳細を把握していない」としたうえで、こう答えた。

「協会としては法令順守の啓蒙等、会員企業に対し引き続き適宜適切な情報提供を行ってまいります」

協会で活性炭部会の部会長を務める大阪ガスケミカルは、M工業だけでなくダイキン工業とも取引があることを認めているが、その詳細については明らかにしていない。

岡山・吉備中央町での汚染を受けて、環境省は現在、PFASを含んだ活性炭の使用や廃棄の実態について調査している。

廃棄物対策課の担当者は、 「聞き取りやアンケートで活性炭の使用や廃棄の実態把握に務めている」 というものの、個別事案について排出元を調べる予定はないという。

筆者:諸永裕司(もろなが・ゆうじ) スローニュースで『諸永裕司のPFASウオッチ』を毎週連載中。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d0141f28c2ec921e533df994422ac070d2f19355

 

(ブログ者コメント)

PFOAPFOS合計の水道水暫定管理目標値は50ng/ℓ以下。

 

(2024年12月16日 修正1 ;追記)

202412131621分にNHK岡山からは、この活性炭は産業廃棄物として処理され始めたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

吉備中央町のPFASの汚染源とみられる使用済み活性炭は、備前市の倉庫で保管されていますが、草木が混入してリサイクルは難しいなどと判断され、産業廃棄物としてことし7月から順次、処理施設に運び出されています。

これについて13日の県議会一般質問で、自民党の正木議員は、使用済み活性炭を廃棄物と断定したいきさつと、備前市の倉庫からの運び出しが完了する時期について質問しました。

これに対し、大熊環境文化部長は「使用済み活性炭は、再生利用を目的とした原料として流通している実態があり、所有者から再生処理を行う意向が示されていたことなどを踏まえ、総合的に検討して判断する必要があったことから、直ちに廃棄物だと判断することは困難だった」と述べました。

その上で「備前市内で保管している使用済み活性炭は、これまでにおよそ4割が搬出された。処理施設の受け入れ可能量が変動するため、現時点で搬出完了時期を明言できない」と述べた上で、早期に搬出が完了するように事業者を指導していく方針を示しました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20241213/4020022155.html

 

(ブログ者コメント)

今回の「廃棄物」という情報を受け、詳しく調べたところ、以下の情報が見つかった。

202462381分にYAHOOニュース(ジャーナリスト幸田氏の寄稿文)からは、フレコンは2008年から山中の資材置き場に野積みされており破れているものもあった、使用済活性炭の取り扱いはルールがないようなものなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づきタイトルも修正した)

昨年10月、この町の水道水に高濃度PFAS(ピーファス、有機フッ素化合物)が混入しているのが明らかになった。

汚染源は山中に野積みされた「使用済み活性炭」。

汚染物質除去に使われた活性炭が、リサイクルのために場所を移動し、移動先で新たな水汚染を生み出した。

水道水では国内最悪レベルの濃度の高さで、住民の健康への影響が心配される。

・・・

岡山県が汚染源の調査に乗り出し、河平ダムから汚染状況を確認しながら川を遡っていくと、山中の資材置き場に野積みされているフレコンバックに行き着いた。

フレコンバックは約580袋あり、中身は使用済み活性炭。

これを調べたところ、最大で450ng/LPFASが検出された。

フレコンバックは破れるなど破損しており、活性炭に付着したPFASが流出し、河平ダムに続く沢の水を汚染していた。

フレコンバックが置かれていたのは円城財産区が所有する土地で、財産区議の小倉さん(男性、71歳)は「2007年9月に吉備中央町内の活性炭製造会社と土地の賃借契約を結び、月2万円で貸与していた。使用済み活性炭の入ったフレコンバッグは2008年から置かれていた」と言う。

つまり、円城浄水場の水は2008年からPFASが混入し続けていた可能性もある。

・・・

所有者の活性炭製造会社は水汚染が発覚した直後の昨年11月、使用済み活性炭の入ったフレコンバックを撤去し、岡山県備前市に移動させた。

岡山県は今年2月、「長期間、野ざらしにされており、業界団体のガイドラインに照らしても再生利用に適した品質管理ができていない」として、「有価物ではなく廃棄物」と判断。活性炭製造会社に対し汚染物質が飛散、流出しない保管をするよう行政指導した。

小泉・京都大学名誉教授は「吉備中央町は私が知る限り、水道水の汚染としては国内最高濃度。使用済み活性炭の取扱いは、ほとんどルールがないようなもの。これだけの汚染が明らかになったのだから、国は早急に規制に乗り出すべきだ」と話している。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/421de86f48d65ebdbd0b0f1344a678058ca673c5 

 

202436日付で岡山放送からは、県は今年2月にこの活性炭を産業廃棄物と断定した、現在は倉庫で保管されているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

・・

県はこれまで、この活性炭について「再利用の目的があれば廃棄物にあたらない」としていましたが、活性炭は約15年間野ざらしで置かれ、再利用できない状態になっていたことから2月20日、産業廃棄物と断定しました。

そのうえで、活性炭を所有する業者に対して、法律に基づき適切に処理するよう行政指導を行ったということです。

活性炭は現在、備前市内の倉庫で保管されていて、県は法律で定められた保管基準を満たしているとしています。

https://www.ohk.co.jp/data/26-20240306-00000002/pages/  

 

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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