2023年8月31日15時41分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年12月、天草市五和町の天草空港で、離着陸を繰り返す操縦訓練を行っていた小型機が着陸の際、前輪と機体をつなぐ脚が滑走路などと接触して破損する事故がありました。
乗っていた教官と訓練生2人のあわせて3人にけがはありませんでしたが、国の運輸安全委員会が原因などの調査を進めていました。
31日、公表された調査報告書によりますと、操縦していた訓練生が教官の指示を受けて着陸を中断し、高度を再び上げようとした際に操作を誤り、機首が下がったことが原因とみられるということです。
この訓練生は、この小型機の右側の席で操縦したのは初めてで、エンジンのレバーの操作を行うにはふだんとは反対側の手で行うべきところを、誤って同じ手を使ったため、操縦かんを操作してしまった可能性が考えられるということです。
国の運輸安全委員会は、再発防止策として、慣れていない操縦席で訓練を行う場合には、ふだんと操作や計器の見え方が違うことなどを理解し、事前に十分な準備を行ったうえで、訓練に臨む環境を用意することが必要などとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20230831/5000020048.html
(ブログ者コメント)
以下は、報告書の抜粋。
ポイントとしては、こんなところだろうか・・・。
・会社は訓練生が右席で操縦する場合の要領規定を設けていなかった。
・右席と左席でパワーレバーと操縦棹の位置が反対になっていた。
・右席訓練の実施が前日に決まったため準備が不足していた
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2.事実情報
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発生した事象及び関連情報
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(4) 同機の操縦席
左操縦席正面には、プライマリー・フライト・ディスプレイ(PFD)が装備されており、飛行に必要な情報(姿勢、速度、機首方位、高度など)を表示する。
PFDの右側には、マルチ・ファンク ション・ディスプレイ(MFD)が装備されており、 エンジンや電気系統などのシステム情報及び航法に必要な情報などを表示する。
同機の操縦桿はサイドコントロール式である(図 4参照)。
操縦桿を前後に操作してピッチ方向の操縦を行い、操縦桿を左右に傾けてロール方向の操縦を行う。
(5) 右席操縦に関する同社の規定
同社は、操縦教育証明を有する操縦士を社員として採用し、訓練することが主であったため、採用後に操縦教育証明を取得する操縦士が、訓練生として右席で操縦する場合の要領などに関する規定を設けていなかった。
3.分析
(1) 接地時の状況
機首が下がったことについては、同機が復行を試みた際に、訓練生Aが操縦桿を前方に押したこ とによるものと考えられる。
操縦桿を前方に押したことについては、左席で復行操作を行う場合、操縦士は右手でパワー・レバーを前方に操作することから、同型式機で初めて右席操縦を行った訓練生Aが、右手で操作していた操縦桿に対してパワー・レバーに対して行う操作を行った可能性が考えられる。
また、左席で復行操作を行う場合、機首上げのため、操縦士は左手で操縦桿を引くことから、訓練生Aが左手で操作していたパワー・レバーに対して操縦桿に対する操作を行い、パワー・レバーを手前に引いた可能性が考えられ、同機のエンジン出力の減少(図1②参照)が同機の機首下げに関与したものと 考えられる。
機長は、訓練生Aに対して復行を指示した際に、同機の機首が下がったため、再度復行を指示しているが、接地までの時間を考慮して機首が下がった時点でテイク・オーバーすべきであったもの と考えられる。
(2) 訓練生の右席操縦
訓練生Aは、自らの意思で本事故時の訓練を右席での操縦により行うことにしたが、同訓練の実施の決定がその前日であったことから、左右の操縦席での操作や計器の見え方の相違などを踏まえた右席で操縦を行うための準備が不足していたものと考えられる。
また、同社が訓練生Aのような新たに操縦教育証明を取得する操縦士の教育・訓練についての具体的な要領を準備しておらず、右席での操縦訓練の可否に係る判断は、教官に任されていたものと推定され、また、訓練生が行う右席操縦への教官の準備も不足していたものと考えられる。
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https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/AA2023-5-4-JA01TC.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。