2023年7月6日11時24分に産経新聞から、下記趣旨の記事が複数枚の写真付きで」ネット配信されていた。
6日午前3時10分ごろ、静岡市清水区の工事現場付近で、作業員から「上で作業をしていた人がけがをした。橋桁が崩れた」と119番があった。
静岡県警や消防によると、静清バイパスの立体化工事で橋桁が落下し、30~70代の男性7人が救急搬送され、作業員2人が死亡した。
2人が重傷を負った。
清水署によると、作業員約20人が夜間作業をしていた。
落下したのは高架道路の橋桁の土台となる鉄骨で、長さ約65メートルで重さ約140トン。
約9メートルの高さから落ちたとみられる。
国土交通省静岡国道事務所によると、橋脚に載せた鉄骨を水平方向にずらす作業をしていた。
https://www.sankei.com/article/20230706-DLPCXSMWMVJJZLRFKKSJG5RCU4/
7月6日21時50分に朝日新聞からは、橋桁をスライドさせて固定させる作業中だったが珍しい工法ではないなど、下記趣旨の記事が工事のイラスト付きでネット配信されていた。
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当時は、橋脚の上で橋桁(63メートル)をスライドさせて固定させる作業中だった。
国交省静岡国道事務所によると、今回の工事は、
①現場近くで橋桁を組み立てる
②橋桁を橋脚の上に移動させる}
③橋脚に固定する、という手順だった。
事故が起きたのは③の固定直前で、橋脚の「支承」と呼ばれる部分に橋桁を移動させる作業中だ。
JVの一員であるN社は、詳細な原因は「調査中」としながら、橋桁の移動中に事故が起きたことを認め、「橋桁を動かす準備をしたり、正常に動いているか確認したりするため、橋桁の上に人が乗る可能性もある」とした。
橋工事を手がける東海地方の業者によれば、今回の手法は一般的に工期が長く、費用もかかるが、手狭な現場でも対応できるという。
ただ、「橋桁に人を乗せて移動させるのは危険で、基本的には乗せない」とした。
大手ゼネコンの幹部も「ありえないミスだ」と驚く。
事故が起きた工法について「珍しいものではなく、難易度は決して高くない。現場で何があったのかわからないが、信じられない」と話す。
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https://www.asahi.com/articles/ASR7672XKR76OXIE011.html?iref=com_rnavi_arank_nr01
7月6日22時5分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、8人のうち7人は橋脚の上で作業していて落下に巻き込まれたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者によりますと、死傷した8人のうち7人は橋脚の上で橋げたを移動させる作業に携わっていて、橋げたの落下に巻き込まれ、9m下の道路に落下していたことが分かりました。
7人はいずれもヘルメットと命綱を装着していましたが、落下の際に橋げたと地面に挟まれていた人もいたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/037139e9714053eb48e48572f98e4344dc3254f9
7月6日23時30分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、橋桁を「支承」に降下させる作業はミリ単位で水平を保ちながら行う繊細な作業だなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場では『横取り・降下』という工法で作業が行われていました。
どういう作業工程なのでしょうか。
横浜国立大学の勝地弘教授に聞きました。
橋脚と橋脚の間に『ベント』と呼ばれる仮設の足場を設置します。
いくつかの橋げたのパーツを『ベント』の上にクレーンで持ち上げ、『ベント』の上で連結させて63メートルの長さにします。
この段階では仮設の状態です。
レールと油圧ジャッキを使って、橋げたを本来設置する位置まで横にスライドさせていきます。
これが『横取り』。
国道1号のように交通量が多いなどの事情で道路の上に『ベント』を設置できない場合、『横取り』工法が行われます。
最終的に『支承』と呼ばれる部分に橋げたを降下させます。
『支承』は、いわゆるクッションのような役割。
『支承』の真上まで橋げたを移動させたら、『降下』の作業に移ります。
どうやって『支承』の上に橋げたを降下させるかといいますと、スライドさせた橋げたを油圧ジャッキと『積み木』で支えます。
その後、ジャッキと『積み木』の高さを交互に変えながら、橋げたを『支承』に降ろしていきます。
これが『降下』です。
国土交通省によりますと、今回の事故は、橋げたを降ろす際に起こったといいます。
詳しい事故原因はまだわかりませんが、勝地教授によりますと、「橋げたを支承に下ろすのは、ミリ単位で、水平を保ちながら行う繊細な作業。ジャッキの操作ミスや故障など、何かしらの理由で橋げたが不均等になり、落下した可能性がある」としています。
事故現場の様子を見てみると、道路に対して橋げたが水平に落ちたのではなく、片方が大きく橋脚から離れているのがわかります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3dba4cfe457e3f9fda1ee5bc7fe31cce32c019f
7月6日18時45分にYAHOOニュース(テレビ静岡)からは、カーブしている場所で左右の移動量を微修正するのは非常に難しいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
芝浦工業大学 工学部・稲積 真哉 教授:
「『横取り』の作業中に落下したのであれば、この工事・工程自体に問題はないが、『横取り』の微修正をする作業自体には問題があった。
(事故現場は)カーブしているので、水平で平行に移動させるのではなく、左右の移動量が違ってきます。
この調整は非常に難しい。
カーブの橋を作っていたというところで、それが一つの原因になったのかと」
そのうえで、難しい工事だった一方、最も重要な安全管理が徹底されていなかった可能性があると指摘してします。
稲積教授:
「安全第一という中で、今回の工事で想定される危険・リスクは、このように橋が落ちるということ。
万が一 橋が落ちた場合に、作業員や周辺の人々に損害が生じないよう措置を講じることが、果たして十分になされていたのか」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a1b6f9e969a73d9170dbbaf86445639c0b1ff817
7月7日19時20分にNHK静岡からは、スライドさせた橋桁を油圧ジャッキを使って1mほど下げた時に落ちた、「ブラケット」というパーツの重さに注目している専門家もいるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
工事を発注した国土交通省静岡国道事務所によりますと、現場では当時、油圧ジャッキを使って橋脚に載せた橋げたを持ち上げながら横に移動させたあと、橋脚に下ろす作業が行われていました。
落下したのは、1メートルほど下げた時点だったということです。
警察は、何らかの原因でバランスが崩れた可能性があるとみて、事故の原因を詳しく調べるとともに、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて捜査しています。
今回の事故の状況について国土交通省静岡国道事務所は、橋脚に載せた橋げたを横に11メートル移動させたあと、油圧ジャッキで橋脚に下ろす途中に、何らかの原因で落下したと説明しています。
この説明について、橋りょうの設計や構造に詳しい首都高速道路技術センターの高木千太郎上席研究員は、橋げたの片方の側面についている、「ブラケット」という路肩部分にあたるパーツに着目し、「まっすぐに降下させようとしてもブラケットの重さの分、斜め方向に力がかかりやすい」と指摘しました。
その上で、考えられる事故の原因について、「もし、斜め方向のベクトルに変わっていることを気がつかずに降ろし始めると、橋げたがブラケットのついた側に回転するようになるので、事故が起きる可能性がある」という見解を示しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20230707/3030020765.html
7月8日7時5分にYAHOOニュース(静岡新聞)からは、「支承」に固定させるため枕木の役割として積み上げられた「サンドル」を一段づつ外す作業をしていた、1991年にも広島市で橋桁降下中に落下する死亡事故が起きているなど、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
橋桁を橋脚に固定させる作業中、“枕木”の役割として積み上げられた「サンドル」(1個高さ15センチ)を一段ずつ外す作業をしていた際に橋桁のバランスが崩れ、落下したとみられることが分かった。
関係者が7日、明らかにした。
事故が発生した工事部分は「横取り降下」と呼ばれる工法を用い、橋脚上の中央付近に置かれた橋桁を端までの11メートル程度水平方向にスライドさせた後、橋桁を支える役割の部材「支承」の上に降ろす予定だった。
この際、橋脚上の端に移動した橋桁は、実際には橋脚と接することなく、組み上がったサンドルの上に置かれていた。
作業では、組み上がったサンドルの上に載った橋桁を油圧ジャッキで降下させた後、支承に固定させる際、一段ずつ外す作業を行っている際に、何らかの原因で枕木の役割をしていたサンドルの山から落下したとみられる。
1991年3月に起きた、広島市の新交通システム「アストラムライン」の建設中、橋脚上にジャッキで降ろそうとしていた橋桁(長さ63メートル、重さ60トン)が落下、車11台が押しつぶされた。
橋桁と一緒に転落した作業員も含め15人が死亡、8人が重軽傷を負った。
遺族が同市らを相手取り争った損害賠償請求訴訟の一審広島地裁判決では、「橋桁の降下作業中、不安定な構造に組まれたジャッキ架台が橋桁の重量を支えきれずに倒壊した」と認定。
総額約2億3千万円の賠償を被告側に命じている。
清水立体工事の橋桁落下事故で同様のことがなかったかどうか、今後、関係者は注目していく方針だ。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/e686dda076f4c895ebc6c53339ceef2a6cbf30af
7月8日12時8分にYAHOOニュース(静岡朝日テレビ)からは、重傷者1人は両足を切断していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者によりますと、重傷を負った男性のうちの1人が両足を切断していたことがわかりました。
また、肩の骨を折った男性もいるということです。
死傷した8人のうち警備員を除く7人の作業員が高い所で作業しています。
亡くなった2人は橋げたと一緒に落下し、地面との間に挟まれたとみられます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1f2d73e0be58df1398d270bd9ca3b6c37b49dcfb
7月8日12時23分にYAHOOニュース(テレビ静岡)からは、死亡した2人は橋桁の東側で土台に降ろす作業の微調整をしていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省・静岡国道事務所によりますと、事故当時、油圧ジャッキを使って橋げたを降ろそうとしていて、橋げたを支える金属製の台「サンドル」をいくつか外した後に落下したとみられることがわかりました。
また捜査関係者によりますと、死亡した作業員2人は橋げたの東側にいて、油圧ジャッキの操作ではなく、橋げたを土台におろす作業の最後の微調整を担当していたとみられています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a0cf573e61a8d51ef778f4bb9977d42690aa97
作業員7人全員が頭部を保護するヘルメットと墜落防止用の命綱付き安全ベルト「ハーネス」を着用していたことが8日、関係者への取材で分かった。
作業員7人は地上から約9メートルの高さにある橋脚の上に長さ63メートル、重さ約140トンの橋桁を降ろすため、橋桁の両端とその周辺、橋脚上を中心に複数箇所に分散して作業に従事していたという。
関係者によると、着用が確認されている命綱は作業員が大きく体を動かす際などには固定先に引っかけたフックを一時的に外す場合もある。
事故の瞬間にフックが固定されていたかや装着方法に問題がなかったかなども調べている。
工事に参加している4、5社はいずれも橋梁(きょうりょう)工事に関する実績があり、作業員も経験者がそろっていた。
負傷者を含めた現場作業員の聞き取りでも、予兆なく発生した突然の事故だったとして、「何が起きたのか分からない」との声が上がっているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/957176a02579b5841070e8e0dbb679084ea0d4b9
7月10日21時33分にYAHOOニュース(テレビ静岡)からは、油圧ジャッキやサンドルが崩れた可能性も考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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専門家は、橋げたの両端、西側と東側で1mほどの高低差が発生し、東側にズレ落ちた可能性を指摘しています。
橋梁の構造に詳しいN-PRO(エヌプロ)株式会社・細見社長:
「橋げたが落ちている位置を見ると、真横に落ちているというよりは、若干 東京側(東側)にずれ落ちているようなイメージで、特に東京側の落下した橋げたが、だいぶ外に、遠くに落ちているイメージ」
細見社長は、現場の状況から、何らかの原因で橋げたの西側と東側で高低差が生まれ、東側にズレ落ちた可能性を指摘します。
細見社長:
「東京側(東側)と名古屋側(西側)で1度 傾いた場合、横方向に2.5tぐらいの水平力(がかかり)、それだけ傾いた場合にはズレ落ちる可能性がある。
1度傾くとなると高低差で言うと、だいたい1mぐらい」
1mの高低差はなぜ生まれたのか。
仮に、橋げたの移動や降下に使用する油圧ジャッキや橋げたを支える台「サンドル」が崩れれば可能性はあるといいます。
また当時 静清バイパス・下り線は5日午後9時から6日の午前6時まで工事現場付近を通行止めになっていました。
この9時間という時間の制限が、作業員に心理的な影響を与えた可能性があるとも指摘します。
細見社長:
「今回の事故現場がどうだったかはわかりませんが、時間的制約があるというのは作業のプレッシャーにもなる」
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https://news.yahoo.co.jp/articles/e8d61aaca48a937de9f28ffc386f7699c76afedf
(2023年7月14日 修正1 ;追記)
2023年7月13日20時52分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、夜間&雨&時間制限などの要因で工事の難度は高かった、死傷した7人は落ちた橋桁に命綱をつけていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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別の区間で工事に携わったことのある建設会社は、今回の工事は難易度が高いものだったと話します。
<別区間で工事を行った建設会社> :
「(難易度が高い理由として)まず1つは夜、それと雨、それから一般道路を開放するにあたって時間制限がある、そういったいろいろな要因があると思う」
さらに、被害を最小限に抑えるために、命綱を着ける場所も重要といいます。
<別区間で工事を行った建設会社> :
「今回は、たまたま落ちた橋げたに命綱をつけていた。
でも結果的には、それで事故があったということは、命綱は役に立っていなかったと思う」
死傷した8人のうち橋脚の上で作業していた7人が命綱を装着していた今回の事故。
警察は、安全管理がなされていたかなど、業務上過失致死傷の疑いも視野に捜査を進めています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/66ceea2f7174e7c980728c94378dfd02669bbb6b
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。