2日午後3時ごろ、山口県柳井市の瀬戸内海沖を航行していた韓国船籍のケミカルタンカーから、海保に「乗組員2人がガスを吸い込んで息苦しさを訴えている」と通報があった。
2人は、巡視艇などで柳井市内などの病院に運ばれたが、まもなく死亡が確認された。
海保によると、死亡したのは、いずれもこのタンカーの乗組員で、韓国人の男性1等航海士(56)とミャンマー人の男性2等機関士(28)。
タンカーには、韓国人とミャンマー人の乗組員合わせて10人がいて、北九州市でアセトンを降ろし、千葉県に向かっていたという。
死亡した2人は、事故の直前、アセトンの入っていた空のタンクの点検作業をしていたということで、海保は、当時の作業の様子などについて調べている。
マスクは着けていなかった。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120702/k10013279631000.html
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012070201000980.html
事故時の状況に関し、上記はNHKベースの記述だが、共同通信では、以下の記述となっていた。
アセトンを降ろした後のタンクの中に作業に入った後、具合が悪くなった。
(ブログ者コメント)
アセトン中毒あるいは酸欠が原因と思われる。
(2014年7月1日 修正1 ;追記)
2014年6月27日付で運輸安全委員会から、事故時の詳細な状況などが記された報告書が公表されていた。
事故時の状況骨子は下記。
一等航海士は、14時00分ごろ、甲板長、甲板手A及び甲板手Bを伴い、カーゴタンクのサクションウェル及びポンプ室のストレーナに残っているアセトンを取り除く作業(以下「本件タンク清掃作業」という。)に取り掛かった。
一等航海士は、甲板手A及び甲板手Bに対し、1番カーゴタンクから順にサクションウェルに溜まっているアセトンを浚うように指示した際、甲板長は、ガスフリーファンが回っていないので、危ないと進言したが、一等航海士から大丈夫と言われた。
また、甲板長及び甲板手Bは、一等航海士が、目的地が変更になったので、時間がないと言っていることを聞いた。
甲板手A及び甲板手Bは、いずれも作業服及びゴム手袋を着用し、安全靴を履き、吸着缶式呼吸具の装着を行い、ポリバケツ及びひしゃくを持ち、甲板手Aが1番カーゴタンク(左)に、甲板手Bが1番カーゴタンク(右)にほぼ同時に入っていった。
甲板手Bは、すぐにカーゴタンクから上甲板に上がり、一等航海士に匂いが強いことを訴えた。
一等航海士は、14時20分ごろ、1番カーゴタンク(左)のマンホールからタンク内をのぞき、倒れている甲板手Aを認め、吸着缶式呼吸具を装着して1番カーゴタンク(左)に入ったものの、1分~2分して倒れた。
その様子を見ていた甲板長及び甲板手Bは、船尾甲板の倉庫から自給式呼吸具を持ち出して装着し、1番カーゴタンク(左)に入り、一等航海士及び甲板手Aを上甲板上に運び上げた。
一等航海士及び甲板手Aの死因は、司法解剖の結果、直接死因は酸素欠乏による窒息の疑いであり、アセトン中毒の疑いがこれに関与したと検案された。
原因としては、アセトンの荷揚げ後に別の貨物を積む目的で本件タンク清掃作業を行う際、カーゴタンクに立ち入る前に酸素濃度の測定が行われず、また、一等航海士及び甲板手Aが、使用が認められていない吸着缶式呼吸具を装着してカーゴタンクに入ったため、酸素欠乏状態になっていた空気を吸入したことにより発生した可能性があると考えられる。
出典URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/ship/detail.php?id=4535
(ブログ者コメント)
○中毒防止には注意していたが、酸欠危険には気付かなかったということだろうか?
○それ以外、ゴム手袋やポリバケツでアセトンを浚っていた点から考えると、静電気火災危険にも気が付いていなかった可能性がある。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。