2020年11月30日17時50分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
29日昼過ぎ、東京・江東区の東京メトロ東西線の東陽町駅で、白いつえを持った66歳の男性がホームから転落し電車にはねられて死亡しました。
警視庁によりますと男性は弱視だったとみられ、設置されていたカメラの映像にはホームの端で立ち止まらずに転落する姿が写っていたということです。
反対側のホームには別の電車が止まっていて、現場を調査した視覚障害者の団体によりますと、自分のホームに電車が止まっていると誤って認識した可能性もあるとしています。
現場では、ホームドアの設置が進められていましたが、運用の開始は来年2月の予定で、ドアは常時開いたままになっていたということです。
現場を調査した江東区視覚障害者福祉協会の山本恭子会長は、「電車が止まった状態だと別のホームにいる電車を自分の側に止まっていると間違えてしまうことがある。あと少しでホームドアができていたかと思うととても残念です」と話していました。
東京メトロによりますと、駅に設置されたカメラには亡くなった小池さんが白いつえを抱えるようにして持ち、改札を通過する様子が映っていました。
その後、小池さんは階段を経由してホームに行きますが、その間立ち止まることなく、設置途中の後ろから2両目のところにあるホームドアの間から線路に転落したということです。
東京メトロでは、改札を通過する際に白いつえを使うなど、視覚障害者であることがわかった場合には駅員が声をかけて見守るようにしていますが、つえを使っていなかったので気付かなかったということです。
また、設置中のホームドアは、複数の異なる車両に対応するためドア部分の幅は3メートルあまりと通常より広く、運用開始前ということで警備員を配置していました。
小池さんが転落した後ろから2両目の付近には、ちょうど警備員がいましたが、列車が入ってくる直前に小池さんと反対側の様子を確認していたため、小池さんの動きに気付かなかったということです。
警備員は転落してから5秒後に非常停止ボタンを押し、運転士は非常ブレーキをかけましたが、その6秒後に列車が入ってきて間に合いませんでした。
東京メトロでは、180あるすべての駅にホームドアを設置するのは5年あまり後の2026年3月になるとしています。
現場を調査した江東区視覚障害者福祉協会の山本恭子会長は、「ホームドアは設置途中だとホームにとても広い幅が開いているので、視覚障害者の転落を防ぐことはできず、怖いと思いました」と話しています。
加藤官房長官は、午前の記者会見で「例年、転落事故が60件ほど発生しており、ことしに入っても、死亡事故が続いている。ホームドアの整備を進めていく必要があり、令和3年度から5年間で、整備のペースを2倍に加速させることにしている」と述べました。
そのうえで、「ホームドアによらない転落防止対策も必要で、国土交通省で、新技術などを活用した対策の検討会を設置し、視覚障害者の方々の意見も聞きながら、議論を進めることにしている。視覚障害者の方が安全に利用できるよう、政府として取り組んでいく」と述べました。
今回の事故は、国土交通省が視覚障害者の団体の代表や専門家と検討会を設置して対策を検討しているさなかに起きました。
国土交通省は、ことしに入ってJR日暮里駅、阿佐ヶ谷駅で視覚障害者がホームから転落して死亡する事故が相次いだため、先月、対策を検討する会議を立ち上げました。
国土交通省によりますと、ホームドアの設置数は、ことし3月末時点で全国の駅の1割程度で、会議ではホームドアが整備されていない駅の対策として、ホームに設置されたカメラなどで心配な人の動きがないかを確認する方法などを検討しています。
次の会合は来月の予定で、事務局を務める国土交通省の担当者は、「今回の事故もふまえて、視覚障害者の方や専門家に意見を聞き、事故を防ぐための方法を考えていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201130/1000056860.html
11月30日16時51分にNHK首都圏からは、ホームドアの完成を2週間早めるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受けて東京メトロは、工期を短縮するため、ドアのセンサーの調整作業などを前倒して完成時期を2週間早め、2月上旬にするとしています。
今後、さらに工期の短縮を検討し完成を急ぐ考えです。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201130/1000056879.html
(2020年12月8日 修正1 ;追記)
2020年12月8日付で毎日新聞から、東陽町駅ではホームドアは設置中である旨アナウンスを始めた、ホーム転落事故は過去10年で全国726件など、下記趣旨の記事が毎年の事故件数棒グラフ付きでネット配信されていた。
東京メトロ東西線の東陽町駅(東京都江東区)で11月29日、視覚障害者がホームから転落し、電車にはねられて死亡した。
この駅ではホームドアの設置は済んでいたが、稼働は2021年2月の予定で、扉は開いたままの状態だった。
こうした開きっぱなしの「稼働前ホームドア」は各地の駅にあるが、視覚障害者たちは稼働後のホームドアと判別できず、転落する恐れがある。
警視庁によると、亡くなったのは東京都江戸川区のマッサージ師、小池さん(男性、68歳)。
階段で地下鉄のホームに下りた後、立ち止まることなく線路に向かって歩き、ホームドアの開いている部分から落ちた。
転落した線路の先にある別のホームには電車が停車しており、自分のいるホームに電車が着いたと勘違いした可能性がある。
小池さんは弱視だったという。
「『ホームドアは設置途中なので開閉しません』という放送があってもいい」。
都内に住む全盲の男性会社員(44)は、そう話す。
男性は生まれつき弱視で、6年ほど前に視力を失った。
視力が残っていた時、東陽町駅と同じ対面式のホームで反対側に電車が止まると、目の前に停車しているように見えた時がある。
特に地下鉄は薄暗く、錯覚しやすい。
「白杖(はくじょう)で探ってホームドアの存在が分かり、扉が開いていれば、電車に乗れると思ってしまう。ホームドアが設置途中という発想には普通ならないのでは」と指摘する。
この男性も約9年前、JR三鷹駅(東京都三鷹市)のホームから転落した経験がある。
別のホームに行くため階段を上がろうとして足を踏み出すと、そこは線路だった。
幸い無事だったが、「色が違う部分を階段と勘違いした。ホームドアのない駅で2回転落したことがある」と語った。
東京メトロによると、東陽町駅では11月上旬にホームドアを設置したものの、稼働は21年2月の予定だ。
設置工事が終わっても、電車の停止位置をホームドアに合わせるためセンサーの調整が必要で、稼働には時間がかかるという。
一方、稼働前であることは張り紙でしか知らせていなかった。
事故を受けて、エレベーターやホームの階段降り口に音声案内装置を設け、稼働前だとアナウンスしている。
東京メトロの駅で稼働前のホームドアがあるのは現在、東陽町駅のみだが、今後も同様のケースでは同じ対応をする。
毎日新聞がJR東日本と首都圏の大手私鉄9社に取材したところ、
▽JRの町田(東京都町田市)、与野(さいたま市)
▽西武鉄道の所沢(埼玉県所沢市)
▽小田急電鉄の下北沢(東京都世田谷区)
▽京浜急行電鉄の京急鶴見(横浜市)
の5駅には、7日現在、稼働前のホームドアがある。
各社は主に警備員をホームに配置して対応しており、西武鉄道は「『未稼働』というアナウンスはしていないが、ホームドアが工事中という放送は随時している」と明らかにした。
赤羽一嘉国土交通相は2日、今回の事故現場を視察し、「転落事故のプロセスはさまざまある。分析をしっかりしながら、きめ細かな対応を取らないといけない」と述べた。
国交省によると、19年度までの10年間に視覚障害者がホームから転落する事故は726件起きている。
ホームドアは20年3月現在、乗客が多い都市部などの858駅1953番線(乗り場)にある。
国は、25年度末までに3000番線を整備済みとする目標を示しており、今後も首都圏や関西圏を中心に整備が進む見通しだ。
https://mainichi.jp/articles/20201208/ddm/041/040/073000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。