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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20153370分に日本経済新聞から『「こっそり変更」で発熱事故 おびえる電機メーカー』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(長文記事につき、一部省略)

 

電機などの大手セットメーカーが、「サイレントチェンジ」の恐怖に襲われている。

取引先の素材メーカーによって許可なく、いつの間にか材料の組成を変えられ、事故を引き起こす。

調達のグローバル化が引き起こした見えないリスクに、どう立ち向かうのか。

 

「事故を起こした製品に御社の部品が使われていた。こんな材料が入ってたことを知っていたか」
「えっ? そんなはずはない」


事故品の原因調査などを実施する機関「製品評価技術基盤機構」、通称NITE(ナイト)。

ここで主に樹脂材料を調査する片岡氏は、ある疑念を胸に、台湾の部品メーカーを訪ねて問いただした。

ジュピターテレコムが2014年4月にリコール(回収、無償修理)を始めたケーブルモデムに付属するACアダプター。これを製造したのが、この台湾メーカーだったのだ。


片岡氏が抱いていた疑念とは、「サイレントチェンジ」。

メーカーの知らぬ間に、取引先の素材メーカーなどに材料の組成を変えられてしまうことを指す。

このサイレントチェンジが、今、先進国の電機を中心としたセットメーカーの間で、大きな問題になっている。


問題のACアダプターの事例を詳細に追ってみよう。

機器に差し込むプラグ部分が発熱して変形する事故だった。

NITEは、この経緯を突き止めようと、発熱したプラグの製造元をたどった。

すると、驚くべき複雑なサプライチェーンの実態が浮かび上がってきた。

 

ジュピターテレコムは、通信関連技術の開発会社を介し、海外のあるメーカーからモデムの供給を受けていた。

そのメーカーは、冒頭のやり取りの相手である台湾の部品メーカーからACアダプターを調達。

だが、ACアダプターを作った張本人ですら、問題の材料が使われていたことを知らなかった。

なぜなら、この台湾部品メーカーも、発熱を引き起こした電極部品の製造を外部に委託していたからだ。

その委託先は、中国のあるメーカーだという。


ここでも話は終わらない。

電極は、金属部品とその間を埋める樹脂から成る。NITEの調査では、発熱の原因が樹脂材料の方にあったことが分かった。

この樹脂材料を作ったのが、中国にある別の樹脂メーカーだった。

そして、その樹脂に含まれる「難燃剤」が、本来あるべき「臭素系」ではなく、「赤リン」に置き換わっていた事実にたどり着いた。


難燃剤は、樹脂を燃えにくくするために添加する。よく使用されるのは臭素系だが、価格の安い赤リンへの転向が増えている。ところが赤リンは使い方が難しい。
難燃剤として使う場合は、水をはじくコーティングを施す必要がある。そうしないと、水と反応して通電性のある物質に変わり、電極間のショートを引き起こしかねない。

問題の樹脂材料に含まれていた赤リンは、このコーティングがされていなかった。


なぜこんなことが起きたのか。

関係者は「コスト削減が目的」とみる。

この中国樹脂メーカーは臭素系から赤リンへ切り替え、しかもコーティングを省いてもうけようという気持ちがあったのかもしれない。

だが、こうした事故ではサイレントチェンジが意図的かどうか、証拠をつかむことは至難の業だ。ほとんどの場合、完成品を製造したセットメーカーが責任を取ることになる。

 

(中略)

 

サイレントチェンジは、赤リン問題にとどまらない。

NITEが2013年3月に調査したスチームクリーナーの損傷事故。

台所の油汚れなどを落とすために噴射する蒸気をホースに送り出すノズル部が突然折損し、使用していた人が蒸気でやけどを負った。

ノズル部に使われていた樹脂を調べると、その原因が見えてきた。


本来、ノズル部の材料には強度を増すため一定量のガラス繊維を入れるはずだ。

ところが、事故品に含まれていたガラス繊維は規定より少なく、代わりにガラスの粉が混ぜられていた。

この材料を生産した中国メーカーが、粉であっても同じガラスであれば元素分析でばれないと考え、ひっそりと切り替えた可能性がある。

 

(中略)


「今、問題が起きているのは中国の部品メーカーや素材メーカーがほとんど。彼らに日本メーカーのようなマインドはない」(ある技術者)。

そして、材料の安全に詳しい別の技術者は、次のように断言する。

「サイレントチェンジは、樹脂だけでなく金属でも起こり得る。安全にかかわる大事な部品を、管理の及ばない海外で製造していいのか、考え直すべきだ」。


今は、電機メーカーの事故が目立つが、世界に調達網を広げる自動車でも、いずれこうした事態が深刻化する可能性は高い。「グローバル最適調達」といえば聞こえはいいが、日本では考えられないリスクを背負い込み、それを乗り越えていかなければ、実現はおぼつかない。そして、調達網を広げるほど新たなリスクに直面することを、サイレントチェンジは映し出している。


円安局面で製造の国内回帰も見えつつある今、改めてサプライチェーンを考え直す時期に来ている。

 

出典URL

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83607810U5A220C1000000/

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

本件、電機や自動車のような組立て産業に限った話しではなく、多種多様な原材料を混合するなどして製品を作る、たとえば化学とか食品産業などにも、同じような危険性が考えられる。

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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