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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20163162153分に産経新聞から下記趣旨の記事が、モニタリングポストの配置図付きでネット配信されていた。

 

九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)周辺の放射線測定装置(モニタリングポスト)のあり方を批判した朝日新聞の記事に、装置を設置した鹿児島県や原子力規制委員会が、猛反発している。

 

県は、「国の指針に基づいた配置であり、問題はない。不安をあおる記事だ」と憤った。

 

「あたかも(避難を)判断できないように報道をし、立地自治体に無用な不安を与えたことは、非常に犯罪的だ」

原子力規制委の田中俊一委員長は、16日の定例会で、朝日の記事を批判した。

 

問題の記事は、14日付朝刊に掲載された。

『モニタリングポストのうち、ほぼ半数が、事故時の住民避難の判断に必要な放射線量を測れない』

『事故時の住民避難の態勢が十分に整わないまま、原発が再稼働した』

鹿児島県の態勢の欠点を強調するものだった。

 

共同通信も、同日午前、「監視装置、半数が性能不足」の見出しで、「監視態勢が不十分なまま、再稼働したとの批判が出そうだ」との記事を配信した。

 

モニタリングポストは、空間の放射線量を計測する。

原発事故が発生した場合、放射性物質が漏洩していないかを知る目安となる。

 

では、鹿児島県の実態はどうか。

県は、67地点に計74台の測定装置を置いた。

 

川内原発から30km圏内でみると、線量が比較的高い毎時100ミリシーベルト(mSv)まで測定できる装置を42台、線量が低い同80マイクロシーベルト(μSv)や同10μSvまで測れる装置を計29台設置している。

「1μSv」は、「1mSv」の1千分の1だ。

 

高線量と低線量、双方が測れる装置を組み合わせて配置したのには、わけがある。

 

低線量用の計測装置で、高い放射線は測れない。

逆に、高線量用の装置で、低い放射線は正確には計測できない。

体重計で1gの重さを量れないことを想像してもらえばよい。

 

高線量に対応する装置しかなければ、仮に原発から放射性物質がわずかに漏れた場合、把握できない恐れもある。

双方の装置を組み合わせ、万一の事故に備えるというのが、鹿児島県の言い分だ。

 

県原子力安全対策課の岩田課長は、「わずかな線量の違いを把握できるのは低線量が測れる装置。住民避難には、高線量と低線量の測定装置をバランスよく配置することが必要だと考えている」と説明した。

 

そもそも鹿児島県は、原子力規制委が決定した事故時の住民の避難指針を踏まえている。

原発で重大事故が発生した場合、国が周辺住民に避難指示を出す際の指針だ。

 

福島第1原発事故を教訓に、原発から5km圏では即時避難、半径5~30km圏は毎時500μSvの放射線量が測定された場合、即時避難する。

これは、高い放射線への備えだ。

 

一方、比較的低い放射線にも備えなければならない。

半径5~30km圏で毎時20μSvが1日続いた場合は、1週間以内の避難を指示する。

 

住民避難には、毎時20μSvといった低い線量を正確に把握することも必要となる。

原発事故を経験した福島県も、高線量と低線量対応の装置を組み合わせている。

同県危機管理部の担当者は、「現在のように線量の低い状態が続くときは、少しのレベルの変化をいち早く確認するのに、低線量の装置が活用できる」と述べた。

 

2つの装置の組み合わせは、原発事故への備えとして、専門家の間では常識といえる。

だからこそ、規制委の田中委員長も、強い言葉で非難したのだろう。

 

長崎大の高村昇教授(被ばく医療学)も、「鹿児島県の対応に不備がある印象は受けない。測定装置は測定できる(線量の)範囲によって用途が異なり、うまく組み合わせて配置することが大事だ。自治体は住民に配置の意図を説明し、理解を得られればよいのではないか」と語った。

 

鹿児島県の朝日報道への怒りは、これだけではない。

鹿児島県は、原発から5km圏内に高線量用の装置を16台配置する。

毎時500μSv以上が測れる機器だ。

しかし、朝日、共同通信とも、記事中でこの5km圏の装置には、まったく触れなかった。

 

また、朝日の記事には、「不十分だったり、未設置だったりする状態で再稼働するのは問題だ」とする規制庁職員のコメントも掲載された。

この規制庁職員は、産経新聞の取材に、「一般論として『不十分であれば問題』と言ったことを再稼働とつなげられ、不本意だ。鹿児島県の対応は問題ないと考えている」と述べた。

 

朝日の記事をきっかけに、ネットでは、「案の定、原子力ムラは福一事故から何も学べなかった」、「こんな状態で再稼働なんてあり得ない」など、反原発の意見が噴出した。

 

原発・脱原発を論じることは必要だろうが、不安を扇動する記事は、冷静な議論を封じ込めるだけで、話にならない。

 

出典URL

http://www.sankei.com/affairs/news/160316/afr1603160027-n1.html 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

朝日新聞の記事は下記。

『川内原発周辺の線量計、半数が性能不足 避難判断の目安』

http://www.asahi.com/articles/ASJ346QWDJ34UTIL076.html 

『(社説)放射線量計 事故の教訓はどこへ』

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12257697.html?rm=149 

 

これは、産経新聞のほうに分がありそうだ。

 

低線量測定装置は事故の未然防止が目的、高線量測定装置は拡大防止が目的なのだろう。

片方だけでは、不十分だ。

 

しかし、その後も朝日新聞は17日付で反論記事を掲載し、それに対し、規制委員会は取材制限措置を打ち出したが、それでもなお、朝日新聞は「見解が異なる」というコメントを出すという騒ぎになっている。(記事転載は省略)

 

ブログ者思うに、朝日新聞の記者は、モニタリングシステムについて、県などに話を聞かなかったのではないだろうか?

聞いて入れば、このような記事は書けなかったと思うのだが・・・?

 

これは一種の報道事故?

そういえば、ちょっと前にも、福島第一原発退避報道で同じようなことがあったような・・・。

事故の教訓はどこへ。

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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