(2019年7月3日 修正1)
2019年6月26日12時0分に福井新聞から、より詳細な下記趣旨の記事が、通路の位置が記された工場棟のレイアウト写真付きでネット配信されていた。
同社の社長と常務が、同社敷地内で報道陣の取材に応じた。
社長は「工場棟を結ぶ通路にあるビニール製のシートシャッターが停電で開かなかった」と述べ、避難の妨げになった可能性があるとの認識を示した。
出火原因については、「原因を究明している最中であり、コメントは差し控える」と述べるにとどめた。
火災後、社長が報道陣の取材に応じたのは初めて。
全焼した第1~第3工場はいずれも平屋建てで、敷地北側に立ち並び、2人によると第1に約80台、第2に約85台、第3に約20台の織機がある。
第1と第2、第2と第3は、ともに建物の両端と中央にある3本の通路で結ばれ、屋外への出入り口は第1、第3に設けられ、第2にはない。
外気遮断用のシートシャッターが設置されているのは第2と第3を結ぶ3つの通路で、いずれも人が近づくとセンサーで自動開閉する。
常務は、火災発生直後のシャッターの状態について、「一部は閉じたままの状態だった」とし、社長は、「故障はしていなかったが、おそらく停電で動かなかった」との認識を示した。
シャッターが開閉しなかった場合、タイプによりシートをくぐるか、破る必要があるという。
このことについて常務は、「社内メールやミーティングで説明していたつもりだった」と話した。
出火当時、第1の北側で外壁工事に伴う溶接が行われていたという。
常務は、「火花が燃え移ったのか、燃えやすい物が近くにあったのかは分からない」とした。
また、3棟にはいずれもスプリンクラーが設置されていなかったと述べ、「消火器や避難誘導灯は設置していた。防火や避難態勢について消防から指摘されたことはない」と説明。
「煙と炎がこんなに早く回るとは思っていなかった」と話した。
火災は6月20日午後2時ごろ発生。
工場3棟と3階建て事務所1棟を全焼し、約7時間15分後に鎮火した。
当時、工場全体で従業員約100人中、ベトナム、中国人実習生18人を含む65人が勤務していた。
関係者によると、事務所棟は1972年に新築され、技能実習生らの寄宿舎にもなっている。
工場棟は50年ほど前に建てられたものが多く、随時、増築されている。
出典
『工場火災、停電でシャッター開かず 4人犠牲、永平寺町の織物工場』
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/882573
6月26日付で中日新聞からは、避難訓練は行われていなかったかもという下記趣旨の記事が、現場の見取り図付きでネット配信されていた。
燃え方が激しかった第1工場について、常務は、「外壁の骨組みをつくる溶接作業を発注していた」と説明。
北側の壁をプレハブから石こうボードにする工事の途中だったという。
工場内の避難経路については、第1工場の南側と第3工場の南側と東側の3カ所に出入り口があったが、第2工場の南側にはなく、第2工場からの避難は工場間を移動する必要があった。
遺体は第3工場で2人、第2工場で1人、両工場の間の屋外部分で1人が見つかった。
従業員の一部は、「避難訓練を実施していなかった」と証言しているが、常務は「書類がないのでコメントできない」とし、「避難経路は、図を貼って明示していた」と述べた。
出典
『出火時に溶接作業、スプリンクラー未整備 4人死亡の繊維工場火災』
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20190626/CK2019062602000033.html
6月27日付で中日新聞福井版からは、当該工場はスプリンクラー設置義務対象外だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
会社側は工場内にスプリンクラーはなかったと認めていたが、スプリンクラーの設置義務は消防法により、工場は11階建て以上が対象になっているとし、第1~3工場は対象外とした。
出典
『焼失面積は3463平方メートル 永平寺の繊維工場火災』
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20190627/CK2019062702000009.html
(2020年6月20日 修正2 ;追記)
2020年6月18日19時40分にNHK福井から、出火原因は不明だったとする消防庁の報告書が提出されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年6月、永平寺町の繊維工場から出火し、従業員4人が死亡した火災から20日で1年になるのを前に、消防庁が実施してきた調査の結果が18日、地元の町議会に報告されました。
報告では、出火の原因については「特定に至らなかった」としたうえで、工場内で使われていた断熱材に含まれるウレタンが短時間に延焼を拡大させた可能性があると指摘しました。
この火災は去年6月20日、永平寺町の繊維メーカー「T繊維」の建物から出火し、平屋建ての工場と3階建ての事務所が全焼した結果、従業員4人が死亡し、5人がけがをしたものです。
火災から20日で1年になるのを前に、18日に開かれた永平寺町議会の全員協議会で、総務省消防庁が実施してきた調査結果が報告されました。
報告では、出火の原因について、▼最も西側に位置する第1工場の増築部分にあった配線や照明器具のショートなどによる電気的要因や、▼第1工場の増築部分で実施されていた溶接作業の火花などによる出火が考えられるとした上で、確たる物証はなく原因の特定には至らなかったと結論づけました。
そのうえで、温度や湿度を管理するために工場内で使用されていた断熱材に含まれるウレタンが、短時間で火が燃え広がったことに影響した可能性があると指摘しました。
永平寺町消防本部では、今回の消防庁の調査結果を踏まえて、6月末までに本部としての報告書をとりまとめる方針です。
消防庁の調査結果の報告を受けて、永平寺町の河合永充町長は、「町にとっても教訓になる、本当に大きな火災だったと思います。まず火災を起こさない態勢を消防にお願いするとともに、いざ火事になった際に、役場や消防、それに関係団体がそれぞれに果たす役割を考え、しっかりと対応していきたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20200618/3050005011.html
6月20日7時0分に福井新聞からは、壁などに吹き付けられたウレタンが一部剥き出しになっていたことで火の回りが早かったのかもという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
永平寺町消防本部は、三つの工場の中で最も焼損が激しかった北西側の第1工場が火元とみられるものの、出火原因の特定には至らなかったとする調査結果を明らかにした。
燃えやすいウレタンが工場内の一部にむき出しになっていたことで、火の回りが早くなった可能性があると指摘している。
6月18日に開かれた町議会全員協議会で報告した。
火災を調査した総務省消防庁の消防研究センターは「第1工場の増築部分のコンセントや配線のショート、(外壁工事に伴う)溶接作業の火花落下などが原因と考えられる」と報告をまとめ、5月下旬に町消防本部へ通知した。
ただ「延焼が早く、燃えた範囲も広かった」(同本部の坪田満予防課長)ことで物証は得られておらず、同本部は「原因の特定には至らなかった」と結論づけた。
報告では、出火から20秒で第1工場が炎に覆われ、45秒後には第2工場も炎に包まれ第3工場に延焼したと分析。
ウレタンが断熱材として工場内の壁などの一部に直接吹き付けられていたことから、延焼が早かった可能性があるとした。
建物や資材などの損害額は計5億6545万円。
第1~第3工場を棟続きの平屋建て1棟と認定し、3階建ての事務所棟と合わせた焼損面積は延べ約3700平方メートルとした。
町消防本部は、今月中に報告書を作成する方針。
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1108269
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。