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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20209360分に上毛新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。

 

店舗や工場で消費電力を抑える機器として設置されている「低圧進相コンデンサー」から出火した火災が、群馬県内では過去5年で少なくとも18件発生していたことが、2日までに各消防本部への取材で分かった。

 

コンデンサーは気温が高くなる夏場の出火が多く、特に1975年以前に製造された、保安装置を内蔵しない古いタイプが危険だという。

 

8月も県内で火災2件が起きており、消防が注意を呼び掛けている。

前橋市消防局によると、同月、同市のクリーニング店でコンデンサーからの出火による火災があった。

 

コンデンサーを直接操作したわけではなく、通常使用の状態で発火したという。

 

伊勢崎市消防本部管内でも同月、配電盤に取り付けたコンデンサーからの出火が1件報告された。

コンデンサーは、消費電力を抑える目的で、主に業務用の3200ボルトの電気を引く小規模な工場や飲食店に多く設置されている。

 

高温多湿な環境で、温度が上昇したり絶縁性能が劣化したりすることで発熱、出火する。

 

劣化に気付かないケースが多い。

 

https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/237479https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/237479 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

この種の火災は結構発生している模様。

 

他の事例や発火理由などは、下記参照。

 

1.消防防災博物館HP

 

消防専門知識の提供 火災原因調査シリーズ(18) 電気火災低圧進相コンデンサからの出火事例について

 

はじめに

 

 低圧進相コンデンサは業務用冷蔵庫やモーター等を使用する電気機器の力率を改善し,電力の無駄を省く機器として長年,店舗や作業場等で使用されていますが,昭和50(1975)以前に製造されたコンデンサは,保安装置が内蔵されていないため,その取扱いが正しくないと内部の絶縁材料が劣化して発熱し,出火に至る場合があります。

 

ちなみに大阪市内では,低圧相コンデンサによる火災が,平成9年から11年の3年間に35件発生しています。


また,季節別でみると,気温が高くなる6月から8月にかけた夏場に多発しています。(1参照)

 

今回,設置後30年経過した低圧進相コンデンサがパンク(絶縁破壊)し,火災になった事案を紹介します。

 

・・・・・

 

5 出火原因の考察

 

 コンデンサケース内では,フィルム()やアルミ箔の間を絶縁油(これらは誘導体と総称されている。)で満たしているが,本事例のように長期間(30)の使用によって,誘導体(絶縁体)に電気的あるいは熱的ストレスが加わって,電気絶縁性を消失して回復しない状態,すなわち絶縁破壊(パンク)となる。

 

これによって破壊されたコンデンサ素子は短絡状態となり,これに直列接続された素子も連鎖反応的に短絡し,その結果,回路に流れる電気は段階的に増加し,ついには完全短絡となって,非常に大きな短絡電流が流れ,この時のエネルギーで誘導体(絶縁体)を炭化させるほか,絶縁油などが分解ガス化して,内圧が上昇しコンデンサケースが破裂することによって,空気に触れて燃え上がったことが考えられます。

 

6 コンデンサの正しい取扱い

 

(1)保安装置が内蔵されていない旧形(1975年以前製造)は火災防止のため早急に取替えが必要です。

 

(2)保安装置内蔵(1975年以降)のコンデンサも,使い方や周囲環境によってはコンデンサ内部の絶縁材料が劣化し,危険な場合もあるので10年以上使用しているコンデンサは早めに取替えが望ましい。

 

(3)次のような場所への設置は注意してください。

 

①雨・水滴がかかったたり,湿度の高い場所,結露しやすい場所

* 雨の吹き込むところ,引込電線管穴,窓際,軒下など

* ビニールハウス,濃霧多発地域

* パッケージ形エアコン内などでは結露した水滴がかかる場合があります。

 

②直射日光が当たるなどの温度の高い場所

* 併設機器から熱影響を受ける場所

* 密閉された場所では換気などに配慮する。

 

③鉄粉・塵埃の多い場所

錆び付きやすく,端子部が接触不良を起こす場合があります。

 

④腐食性ガスの漂う場所,塩害のある場所

化学薬品工場,海岸などで使用する場合は腐食防止策,塩害防止策を施す。

 

⑤振動のある場所
電線接続ネジのゆるみなど,たいへん危険です。

 

(4)  保守点検のチェックポイント

○温度上昇の異常はないか

○ケースに穴があいたり,油漏れはしていないか

○ケースが異常に膨れていないか

○湿気や水滴がかかっていないか

○錆が発生していないか

○締付けネジのゆるみはないか

○鉄粉やホコリが異常に積もっていないか

 

7 まとめ

 

本事例の低圧進相コンデンサは,保安装置が内蔵されていない1970年製造で,30年余り使用されていたことから,経年変化による絶縁劣化で「パンク」に至ったものと考えられます。

 

社団法人 日本電機工業会によると,低圧進相コンデンサは1015年以上の寿命を持つよう設計されているようですが,安全に使用するためには10年を更新の目安として推奨しています。

 

https://www.bousaihaku.com/foffer/7302/

 

2.東京消防庁 平成29816日付 発表資料

低圧進相コンデンサの火災にご注意を! ~ 暑さと多湿の時季に火災が発生します ~

 

・・・・・

 

【低圧進相コンデンサの火災を防ぐために】

 

① 機器を使用しない時はメインブレーカーを切り、低圧進相コンデンサに電圧がかからないようにすることが推奨されます。

 

② 特に、昭和 50 年(1975 年)以前に製造された製品には保安装置が内蔵されていないため、被害が拡大する危険性がありますので、使用の停止や交換することなどが必要です。

 

③ 概ね 10 年以上経過したものは、専門業者による点検を受け、計画的に交換することが推奨されます。

 

※ブログ者注

 その他、複数の事例やコンデンサー図解、火災実験などが掲載されている。

 

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/290816.pdf

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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