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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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 (1/2から続く)

 

21372分にYAHOOニュース(withnews)からは、海上に潜望鏡を出す「露頂」の前に、近くに船がいないかソナーで確認するが、その判定は船の大小には関係なく、また、後ろからくる船は確認できないなど、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。(長文につき主要部分を抜粋して転記する)

 

相手は全長200mを超える貨物船。

 

こんな大きな船になぜ気づけないんでしょう、と海自に聞くと、「そう思われても仕方ありませんが、大小の話ではないんです」と悩ましげです。

 

そこには、海中では音だけが頼りの潜水艦の特殊な世界がありました。

 

・・・・・

 

岸信夫防衛相は「潜望鏡を上げて(貨物船を)確認し、避けきれずにぶつかった」と説明しています。

 

潜望鏡が海上に出るまで上昇することを「露頂」と言います。

 

そこまでの浅さに「そうりゅう」が至るまで、貨物船に気づけなかった可能性もあります。

 

潜水艦が上昇時に、こんな大きな船にすら、ぶつかる直前まで気づけないのなら、小さな漁船などはたまったものではありません。

 

・・・・・

 

「露頂の手順」ですが、かなり念入りです。

 

潜望鏡が海上に出る高さまで上昇する前に、「露頂準備」があります。

 

付近に船などがおらず安全に上昇できるかどうか、相手からの音波を探知するソナーを使って調べます。

 

ただ、ソナーの受信機は艦首にあるため、艦尾の方に相手を探知できない「バッフル」という範囲が生じます。

 

もし、海上でバッフルの方向から船が迫っていることに潜水艦が気づかないまま上昇すれば、衝突しかねません。

 

そのため、潜水艦は上昇前に海中で停止、回頭して艦首の向きを変え、バッフルだった範囲もソナーで調べる「バッフルチェック」をします。

 

回頭前に近くに相手を探知していた場合、回頭によって生じる新たなバッフルにその相手が入って見逃すことがないように操艦しつつ、監視を続けます。

 

この「露頂準備」で、そこまで詰めに詰めて安全だと判断しても、気は抜けません。

 

そこから「露頂」までの間に、船が迫ってくるかもしれないからです。

 

宮崎沖で2006年に練習潜水艦「あさしお」(全長86m)が起こした事故がそうでした。

 

国土交通省に属する海難審判所による2007年の裁決では、「露頂」のため浮上中に新たにタンカーの接近を探知したのに、危険はないと判断し、十分な監視をせずに上昇を続けたことが事故の原因とされました。

 

・・・・・

 

海自では、新ルールで潜水艦乗組員の教育や訓練にあたり、「あさしお」事故の教訓も語り継がれているそうです。

 

では今回、なぜ同様の事故が起きたのでしょう。

 

・・・・・

 

「水中の世界では、相手が大きいから見つけやすいとは限らない」(潜水艦勤務経験者)からです。

 

どういうことでしょう。

 

暗い海中を行く潜水艦には、艦船の敵味方を音だけで判断するプロが乗り込んでいます。

 

付近の民間船についても、エンジンやスクリューの音、その高低などによって、大きな商船か小さな漁船かといった判断をします。

 

ただ、海中での音の伝わり方は、水温や塩分濃度、流れの向きや速さなどによります。

 

「小さい船の音でもよく聞こえたり、大きい船の音でも聞こえなかったりする。だから、浮上時には船を大小関係なく、とにかく探知し、ぶつからないことに徹します」と、先の潜水艦勤務経験者は話します。

 

・・・・・

 

私は3年前、神奈川県の横須賀基地に停泊中の海自潜水艦「うずしお」を見学した際、「音の戦い」という言葉を聞きました。

 

海中では潜水艦は、いかに敵に気づくか、そして気づかれないかが勝負。

 

撮影が許されなかった艦内は、乗組員が音を立てず、敵の音に集中する緊張感に満ちていました。

 

しかし今回の事故で、潜水艦にとっては海面への上昇も「音の戦い」であることがよくわかりました。

 

・・・・・

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/a0ae9415b827772a14a7997467d7f7f0351185ae

 

 

 

(2021年9月9日 修正1 ;追記)

202198162分にNHK関西からは、浮上時の監視不十分容疑で当時の船長が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

神戸市にある第5管区海上保安本部によりますと、訓練中だった潜水艦が海面に浮上する際、水中音波探知機による状況の把握が不十分で、貨物船の接近に気づくのに遅れた疑いがあることが分かったということです。

このため海上保安部は、当時、潜水艦に乗り込んで乗組員を指揮していた恒次・前艦長(50)を業務上過失傷害と、業務上過失往来危険の疑いで、8日、書類送検しました。

海上保安部によりますと、前艦長は、調べに対して容疑を認めているということです。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210908/2000051049.html
 

 

981811分に産経新聞からは、定期検査で長期間洋上に出ていなかったため訓練不足も一因という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

そうりゅうは事故直前まで定期検査を受け、長期間洋上に出ていなかった。

同本部は貨物船の把握が遅れた一因に訓練不足があったとみている。

https://www.sankei.com/article/20210908-6HFUPXJZW5PRNA42PTEWR2Q2GU/ 

 

98186分にYAHOOニュース(神戸新聞)からは、当日は練度を取り戻す訓練中だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

書類送検の容疑は2月8日午前11時ごろ、高知県足摺岬から南東約50キロの太平洋上で、水中音波探知機(ソナー)による周辺の安全確認が不十分なまま潜望鏡で洋上を見る「露頂」を指示し、浮上中に、香港船籍の貨物船「オーシャン・アルテミス」の船首側面に衝突。

亀裂を伴う損傷を与え、衝撃で潜水艦に乗っていた20~40代の男性自衛官3人に打撲ややけどなどの軽傷を負わせた疑い。

5管によると、海面近くまで上昇後、潜望鏡で貨物船との接近に気付いて回避行動を取ったが、間に合わなかったという。

そうりゅうは定期検査で長期間洋上を離れており、事故当日は練度を取り戻す訓練に当たっていた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c8cae3320f6712815eb2d4671f5bf32e6fbc9253

 

(2022年8月27日 修正2 ;追記)

2022825日付で毎日新聞夕刊からは、運輸安全委から報告書が公表された、当直員長はソナー音の変化に気付いていたが、重大な変化ではないとして艦長らに報告しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

国の運輸安全委員会は25日、事故原因などについての調査報告書を公表した。

潜航中だったそうりゅうは、音で船舶などのいる方位を把握するソナー(水中音波探知機)で周囲を確認していたが、貨物船の存在を見落としていたと結論づけた。

早い段階で航走音を確認できなかったほか、ソナーの画面上で貨物船のいる方位の推移を示す線(方位線)が別の船の方位線と重なるように表示されたことなどが背景にあるという。

運輸安全委は25日、ソナーで収集した情報を集約して複数の乗組員で再確認する監視体制の構築などを求める意見を浜田靖一防衛相に書面で提出した。

報告書によると、そうりゅうは当時、潜望鏡の一部を海面上に出す「露頂」が可能な深さまで浮上しようとしながら航行中だった。

このためソナーで周囲を確認し、「オーシャン アルテミス」とは別の船の存在を探知したが、安全確保に十分な距離があると判断した。

一方、「オーシャン アルテミス」の存在を示す方位線については、航走音が聞こえないなどの理由で、ソナーを担当していた当直員長は探知操作をせず、当時の艦長らも船舶以外の音と解釈したという。

その後、そうりゅうに向かってくる「オーシャン アルテミス」の方位線と、離れていく別の船の方位線は、重なるような形でソナーに表示された。

当直員長は、この方位からの音に変化があったことに気づいたが、「緊急性や重大性のある状況変化ではない」として、艦長らに報告しなかった。

運輸安全委は、こうした経緯から、そうりゅうが「オーシャン アルテミス」の存在を見落としたまま、露頂に向けて上昇しながら航行を続けたために事故が起きたと認定した。

また運輸安全委は、そうりゅうが船体の損傷などで通信が困難となり、海上保安庁への通報が事故発生から約3時間後になったことにも言及。

「衛星携帯電話を備え付けるなど、不測の事態を想定した体制構築が必要」と指摘した。

https://mainichi.jp/articles/20220825/dde/041/040/021000c

 

8251231分にNHK兵庫からは、海自も報告書を作成中など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

現場の海域では、当時、潜水艦から見てほぼ同じ方角に、貨物船と別のコンテナ船がいましたが、ソナーによる解析などを十分に行わなかったため、遠くを航行していたコンテナ船しか認識していなかったということです。

また、探知を行っていた際に、船が航行する音が変化したことを把握した乗組員がいましたが、艦長らに報告しなかったため、もう1隻の船がいる可能性に気付けなかったとしています。

運輸安全委員会の調査報告書が公表されたことについて、海上自衛隊は、「調査報告書の内容は、海上幕僚監部が進めている調査の方向性と大きく変わるものではない。9月末までに調査結果を取りまとめるとともに運輸安全委員会の意見も踏まえ、再発防止策を策定する」とコメントしています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20220825/2020019310.html

 

(2022年9月22日 修正3 ;追記)

2022921日付で毎日新聞からは、海自はソナー反応があれば上司に報告するなどの再発防止策を公表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

海自は20日、潜水艦が浮上する際の周囲の安全点検を厳格化するなどの再発防止策を発表した。

船舶の航行音を確認できなくても、水中音波探知機(ソナー)の反応があれば、上司に報告するよう改める。

海自の調査報告書によると、そうりゅうの乗員はソナーが音波を探知したことに気づいたが、航行音を確認できなかったため船舶によるものとは認識せず、艦長らに報告しなかった。

その後に乗員は航行音を確認したが、ほぼ同じ方角を航行していた別の船のものと誤認し、衝突まで貨物船の存在に気づかなかった。

海自は、こうした誤認が事故の主原因と判断。

当時の艦長と哨戒長がソナーの探知した音源が何かをきちんと確認しなかったことも、原因の一つとした。

従来の規定では、ソナーが目標物を探知しても、乗員が航行音を確認しなければ、報告義務はなかった。

今後は、ソナーが音波を探知すれば一律に「探知目標」として報告するよう見直す。

目標を把握する体制の強化にも取り組む。

https://mainichi.jp/articles/20220921/ddm/012/040/124000c

 

 

   





 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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