2018年8月8日1時11分に北海道新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道南バス(室蘭)の元運転手で、2007年にアスベスト(石綿)関連疾患の中皮腫によって死亡した日高管内平取町のKさん(男性、当時73歳)について、浦河労基署が業務による疾患と認め、遺族に石綿健康被害救済法に基づく特別給付金を支払っていたことが7日、分かった。
患者団体によると、バス関連業務で石綿の労災と認められるのは、道内で初めて。
Kさんの長男(58)=同町=と患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京)が同日、道庁で記者会見して明らかにした。
Kさんは1959年から運転手として勤務。
64年4月から1年間は整備工場で、石綿を含むブレーキパッドの張り替えの際、準備や後片付けなど補助作業を行っていた。
93年に退職し、07年1月に中皮腫で死亡した。
遺族は今年3月、同救済法に基づく特別遺族給付金を申請。
給付金は、時効(5年)によって労災保険法に基づく補償を受けられない遺族のための救済制度で、「事実上の労災認定に当たる」(同会)。
浦河労基署は、同僚の証言などから、業務上の疾患と認定した。
決定は6月4日付。
Kさんの長男は、「バス業務で石綿被害を受けるとは思っていなかった。今回の決定が同様の被害者の救済につながれば」と話した。
厚労省によると、バスを含む交通運輸業の石綿による労災認定は13~17年度、全国で7件。
家族の会によると、バス運転手については、佐賀労基署が昨年5月、乗務前の車両点検でブレーキパッドなどの石綿を吸い中皮腫で死亡した西日本鉄道(福岡市)の元運転手の男性について、全国で初めて労災認定した。
同会は、「業界で被害が潜在化している恐れがある」としている。
出典
『道南バス元運転手の石綿労災認定 整備工場の作業で』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/216500
8月8日8時56分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
同会によると、認定されたのは、主に運転手として1959年12月から93年9月まで道南バスに勤務したKさん。
64年4月から1年間は、整備工場で補助業務を担当した。
石綿を含んだブレーキパッドの張り替え作業の準備や後片付けなどの際に、石綿を吸い込んだとみられる。
退職後の2006年3月、腹痛や嘔吐の症状で救急搬送され、腹膜中皮腫と診断されて、翌年1月に死去した。
遺族が今年3月に労災認定を申請。
バス運転手の石綿被害による労災認定は、17年5月の佐賀市の男性に続き2例目だが、運転手が乗務前にする点検と発症との関連については判断していない。
1年間という短期間の補助業務による暴露で労災認定しており、同会は、「被害の広がりを提起している」と評価する。
Kさんの長男(58)は、「なぜこんな病気になったのかともやもやしていたが、まさかバス会社でと思っていた。今回の労災認定が、多くの人が申請するきっかけになってほしい」と話した。
同会は25日から9月16日まで、道内5カ所で中皮腫・アスベスト疾患に関する講演と交流会を実施する。
出典
『アスベスト 労災認定 中皮腫で死亡男性 バス整備に従事』
https://mainichi.jp/articles/20180808/k00/00e/040/238000c
(ブログ者コメント)
西日本鉄道のバス運転手だった方の事例については、本ブログでも紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。