津市と伊賀市にまたがる青山高原にある大型風力発電所「ウインドパーク笠取」で7日に風車の羽根が鉄柱からなくなった事故で8日朝、鉄柱上部から発電機と羽根が落下しているのが見つかった。
発電所を管理運営する中部電力の子会社「シーテック」が、鉄柱周辺に発電機などが散乱しているのを見つけた。周辺に建物はなく、けが人はなかった。
事故があった風車は、19基ある発電機のうち最も東側にある19号機。
落下した羽根はグラスファイバー製の3枚組で、1枚の長さは40mで重さ6.5トン。羽根の回転軸の後部についた発電機と合わせ重さ140トンで、高さ65mの鉄柱の先端に取り付けられていた。
発見時、発電機は地面にめり込み、3枚の羽根の破片が周囲に飛び散っていた。
現場の周囲に立つ木々は巨大な破片がぶつかったとみられ、なぎ倒されたような状態。
鉄柱は中央付近でよじれ、東側へ「く」の字に曲がっており、その根元には、長さ約40mの羽根が1枚、縦に裂けたような状態で巻き付いていた。一部は数百m離れた谷底まで吹き飛ばされていた。
シーテックの担当者によると、羽根が回りながら発電機ごと落ちたとみられる。
津地方気象台によると、7日の三重県中部は北西からの強風が吹き、最大瞬間風速は津市で午後5時半ごろに19.9m、伊賀市で午後4時40分に16.3mを観測した。
19号機は発電能力2000KWで、2010年12月に稼働。
シーテックと製造した日本製鋼所によると、最大瞬間風速が30mを超えると、風を受け流すように羽根の角度を風と平行に変え、自動停止させる。
設計上は最大瞬間風速70mまで耐えられるという。
同型機は九州や中国地方、北海道などに105基あり、羽根が落下したのは初めて。耐用年数は20年ほど。
19号機は、津市と伊賀市を結ぶ国道163号・新長野トンネルそばの山中に建設されている。
7日午後4時半すぎ、電力供給が止まったことを知らせる警報が本社と津市の事務所で鳴ったが、構造物が欠落した場合の警報装置などはなかった。
現場付近では8日朝から、報道機関などのヘリコプターが上空を旋回。事故現場に向かう私有地の管理用道路には従業員2人が配置され、報道機関や住民への対応に当たっていた。
出典URL
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2013040890115607.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130409/dst13040914390017-n1.htm
また、4月9日2時38分に毎日新聞から、経産省が日本製鋼所製の風車に安全点検を求めるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
経産省は8日、全国に設置されている日本製鋼所製105基を対象に、運転事業者に詳細な安全点検を行うよう近く通知する方針を固めた。
先月には京都府伊根町で別のメーカー製の風車が倒壊する事故も起きており、同社製以外でも発電能力が2000KWを超す大型風力発電施設については、風車の自主点検を呼び掛ける方針だ。
シーテックによると、風車は風速25mを超えると、破損防止のため自動停止する仕組みで、7日午後3時ごろには停止した。
風速70mまで耐えられるとされていたが、風車に取り付けた風速計が記録した最大瞬間風速は7日午後4時37分の27.9mだった。
同省によると、原子力発電以外の発電設備は、原則として事業者が自主点検している。
シーテックは半年に1度、点検を実施しており、直近では3月15日に行ったが、異常はなかったという。
三重県によると、津市と伊賀市の市境付近は風の通り道になっているうえ、広大な土地があることから、大型風力発電施設が4カ所あり、51基の風力発電機が集積している。
シーテックは全基を停止し、原因究明を急ぐ方針。
風力発電を巡っては、沖縄県・宮古島で03年9月、最大瞬間風速74.1mを記録した台風14号の暴風で3基が倒壊。
07年1月には青森県の「岩屋ウインドファーム」で1基が根元から倒れる事故が発生。
沖縄の事故は想定を超える強風に風車が耐えられず、青森は2本必要なボルトを1本しか付けていなかったことが判明した。
原因は落雷(24.6%)や暴風(10.8%)など外的要因が55.9%で、製造不良(6.2%)や整備の不備(2.1%)などの人的要因は15%だった。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130409k0000m040133000c.html
(ブログ者コメント)
伊根町の事例は、本ブログ掲載済。
※記載は省略したが、伊根町の風車はオランダからの輸入品とのこと。
(2013年5月3日 修正1 ;追記)
2013年5月2日19時12分にNHK三重から、同日23時42分に毎日新聞から、羽根角度調節装置の歯車状部品が擦り減っていたことが原因だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
シーテックは津市で会見を開き、これまでの調査でわかったことを説明した。
それによると、風車には強風が吹いたとき羽根の面を風と平行にして風を受け流すようにする装置がついているが、事故当時、装置が正常に動かず、3枚の羽根が直接、最大瞬間風速42mの強風を受けたため、風車が通常の3倍のスピードで回転したという。
そして、高速で回転した羽根が大きくしなって鉄塔に接触し、羽根と柱の結合部のボルトが破断したことが、羽根や発電機が落下した原因ではないかと見ている。
羽根の角度を調節する装置に使われている歯車状部品に摩耗しやすいアルミ合金が使われ、この部品が想定より擦り減り、角度を保つ機能が通常の5分の1〜10分の1に低下していたことが判明したという。
このためシーテックは残りの18基についても、同じ装置に問題がないか調べることにしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/tsu/3074321131.html?t=1367531207194
また、2013年5月3日付で朝日新聞伊賀版(聞蔵)からは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
シーテックは2日、羽根の付け根の部品の素材に、柔らかくて不適切なアルミ合金を使っていたため落下につながったと発表した。
同社によると、事故当時は毎秒27.9mの風が吹いていて、風を受けて角度を変えた羽根をそのままで固定する装置に使われていたアルミ合金が摩耗し、羽根の角度を固定する力が想定の5分の1になっていた。
そのため、強風を受けた風車は通常の3倍ほどの回転数になり、変圧器などが入った機械室と風車の支柱をつなぐボルトが壊れ、落下につながったという。
同社は、敷地にあるほかの18基と県内の12基についても、同様の部品を使っていないか調べる。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。