2018年5月15日18時8分にNHK佐賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
玄海町にある玄海原発4号機では、今月、再稼働に向けた点検中に、原子炉格納容器の中にある冷却水を循環させるポンプで異常を知らせる警報が出て、冷却水がポンプから漏れるのを防ぐために強い水圧をかけて流す「シール水」という水が規定より多く流れ出ていることが分かった。
九州電力がポンプを分解して調べたところ、ゴム製のリングが部品の隙間に挟み込まれて可動式の部品が固定され、シール水をせき止める場所に空間ができたため、水をせき止める機能が失われたとみられるという。
九州電力は、点検の中で水に含まれる空気を抜く作業を繰り返し行ったことがシール水の圧力が上がった原因と考えられるとして、今後、問題が起きた部品を取り替えたうえで、一定量の空気を残すよう、運用を見直すことにした。
部品の交換には10日程度かかるということで、今月24日を目指していた玄海原発4号機の再稼働は、来月にずれ込む見通し。
出典
『玄海原発 ポンプ異常の原因判明』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20180515/5080000520.html
5月16日9時20分に佐賀新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州電力は15日、玄海原発4号機(東松浦郡玄海町)で発生した原子炉容器内の水を循環させる一次冷却水ポンプの異常について、ゴム製のリングが機器の隙間にかみ込んだことが原因だったとする調査結果を発表した。
4台全てのポンプで該当箇所の部品を新品に交換する復旧作業を、同日から始めた。
終了まで約10日間を見込み、再稼働は6月になる可能性が高い。
ポンプの軸部分の隙間からモーター側への冷却水流入を防ぐための「シール部」と呼ばれる装置で、3日に流入防止用の水が通常の倍の量になる異常が分かり、5日から分解点検していた。
九電によると、ポンプの点検前に、配管内のセンサーがうまく機能するように、内部を水で満たした。
ところが、予想以上に気温が上昇したため、水が膨張。
機器の隙間を埋めるためのゴム製のリング(直径27cm、厚さ5.5mm)が水に押し上げられて機器が固定されたことで、隙間が空いた。
そこから、本来流れ込まないはずの水が流れ込み、異常を示した。
対策として、部品を新品に交換するほか、水の膨張に対応する余裕を確保するため、これまで閉じていた弁の一部を開くよう、運用を見直す。
同日は、原子力規制委員会や佐賀県、玄海町、唐津市、伊万里市にも報告した。
出典
『玄海4号機のポンプ異常、水の熱膨張で隙間 九電が原因発表』
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/217640
※以下は、トラブル発生を伝える記事(フロー図付き)。
(2018年5月4日8時0分 佐賀新聞)
九州電力は3日、玄海原発4号機で原子炉容器内の放射性物質を含む1次冷却水を循環させるポンプで異常が見つかり、機器を分解点検すると発表した。
放射性物質の漏れはないという。
4号機は4月24日に燃料装塡を終え、5月25日前後に再稼働する予定だったが、遅れる見通し。
異常が見つかったのは、4台あるポンプのうち2台。
ポンプの軸部分の隙間からモーター側への冷却水流入を防ぐための「シール部」と呼ばれる装置で、流入防止用の水が通常は1時間当たり30ℓほどタンクに戻るのが、70ℓになっていた。
1日に4号機は原子炉容器を組み立て終え、1次冷却水が流れる配管などに漏れがないか検査する前準備として、3日朝から4台ある1次冷却水ポンプを点検し、異常が判明した。
機器をなじませるために手動で動かすなどの作業を行ったが改善されず、九電は午後1時10分に異常が見つかった1次冷却水ポンプ2台を分解点検することを決めた。
シール部は、軸部分の隙間に高圧の水を流すことで配管側からの1次冷却水の流入を防ぐ。
各ポンプの軸に沿って3つ取り付けられ、
今回は、2台とも真ん中のシール部に異常が出た。
ポンプは1997年の運転開始当初から使っている。
異常が見つかったシール部は、今年1~3月に順次交換していた。
九電は、点検にかかる期間について「現時点では不明」とし、「再稼働は遅れる」との見通しを示した。
出典
『<玄海原発>4号機冷却ポンプに異常 分解点検へ 再稼働遅れる見通し』
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/212886
(ブログ者コメント)
九電HPに、グラフや写真付きの詳細な報告記事が掲載されている。以下は抜粋。
点検の結果、以下の理由により、可動機能を有するNo.2シール部のシール面が開いた状態となり、No.2シール水戻り流量が増加したものと推定しました。
1.1次冷却材ポンプのパージ水ライン及びNo.2シール水戻りラインを満水保管したことにより、No.2シール部に大きな力が加わり、No.2シール部の可動機能に係るOリングが隙間に噛み込んだ。
2.そのため、Oリングが拘束されることにより、No.2シール部が固着して可動性が悪化し、シール面が開いた状態となった。
点検の結果を踏まえ、以下の対策を行います。
1.1次冷却材ポンプについては、一体型の組立品となっているNo.2シールとNo.3シールを取り替える。
2.1次冷却材ポンプのパージ水ライン及びNo.2シール水戻りラインを保管する際には、気相部を確保し満水保管としない運用に見直す。
http://www.kyuden.co.jp/press_180515-1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。