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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20216231727分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

平成29年、熊本市東区の県道で、隣接する斜面から倒れてきた高さ9メートルの木が乗用車を直撃し、運転していた32歳の男性が死亡しました。

この事故をめぐって、男性の遺族は、事故の原因は木の所有者と県道を管理する熊本市が適切な管理を怠ったことにあるとして、熊本市などに5500万円余りの賠償を求める訴えを起こしました。

23日の判決で、熊本地方裁判所の中辻雄一朗裁判長は、「管理する道路内に、周囲の私有地から木が倒れ込まないように対策するのは市の義務だ。さらに、この事故の以前にも木が倒れ、走行車両が損傷する事故が起きていて、本件の発生も予見できたのに、市がフェンスや防護柵を設置するなど十分な対策を行わなかった」として、原告の請求をほぼ認め、熊本市などに対し5100万円あまりの支払いを命じました。

判決について、熊本市土木センターは「判決文が届いていないのでコメントできない」としています。





https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20210623/5000012618.html

 

※事故当時の状況は以下の報道参照。

20176261226分に朝日新聞からは、木は根っこから倒れ、直径30㎝の枝が屋根を直撃したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

25日午後7時半ごろ、熊本市東区下南部3丁目の県道で、道路脇の木が倒れて走行中の乗用車を直撃した。

運転していた同区渡鹿8丁目の介護福祉士、小島さん(32)が頭を強く打って死亡した。

熊本東署が同日、発表した。

熊本市都市建設局東部土木センターによると、倒れた木は高さ約9メートル、幹の直径約50センチ。

熊本東署によると、木は根っこから倒れ、直径約30センチの枝が車の運転席側の屋根を直撃していた。
屋根が大きくへこみ、フロントガラスは割れていた。

木が倒れた原因について、同署が調べている。

この事故により、県道は約3時間にわたり通行止めとなった。

https://www.asahi.com/articles/ASK6V3GBFK6VTLVB005.html

 

2017626129分に日本経済新聞からは、木は腐っていた可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

25日午後7時半ごろ、熊本市東区下南部3の県道145号で、倒木が乗用車を直撃した。

運転していた同区渡鹿8、介護士、小島さん(32)が心肺停止状態で救助され、搬送先の病院で死亡が確認された。

熊本県警と市によると、木は長さ約9メートル、直径約50センチで、現場付近の斜面に植わっていたとみられる。

腐っていた可能性があり、倒れた原因を調べる。

通行人から「土砂崩れがあり、車内に人が閉じ込められている」と110番があったが、崩落は確認できなかった。

〔共同〕

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H68_V20C17A6CC1000/

 

また、2017715949分に弁護士ドットコムニュースからは、市は3年前に木の所有者に対し伐採を文書で依頼していた、法律上は市にも責任があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

熊本市によると、生い茂っている竹などが道路に倒れてきそうだったため、2014年に1度、文書で土地の地権者に対して木の伐採を依頼した。

地権者は対応しないままで市が処理したこともあるというが、市の担当者は「樹木の処理を地権者がするのは、当然のことと考えている」と話した。

道路付近で生い茂る木々による事故が起きた場合、地権者に責任があるのだろうか。
それとも道路管理者も何らかの責任を負うのか。
湯川二朗弁護士に聞いた。

●安全性を欠いている場合、土地所有者は損害賠償義務を負う

土地所有者の責任はどうなのか。

「木竹の植栽または支持に、通常有すべき安全性を欠いている『瑕疵』があることによって他人に損害を生じたときは、その木竹の占有者・所有者がその損害を賠償する義務を負います(民法7171項、2項)。

今回の場合、道路に面した土地に大きな木が生えていて、それが道路に倒れてきそうな状況でした。

また、木の大きさからすれば、それが倒れたときは道路通行者に危害を及ぼすことは当然に予見されたでしょう。

さらに、道路管理者である市からも『生い茂った竹などが道路に倒れてきそう』と木の伐採を依頼されていたのに、それに対応しなかったというのですから、木の生えている土地の所有者は、事故の損害を賠償すべき義務を負います」

●道路管理者も地権者任せにしておくことは許されない

では、道路管理者である市の責任はどうなのか。

「道路や河川など、国や公共団体が設置・管理する『公の営造物』に『瑕疵』があったために他人に損害を生じたときは、これを賠償する責任があります(国家賠償法21項)。

道路として通常有すべき安全性を欠くときは、道路の管理に瑕疵があるとされます。

木竹が生えているのが道路敷の外の私有地であったとしても、その木竹が道路上に生い茂り、道路に倒れてきそうなことを道路管理者が認識しており、現実にその木竹が道路上に倒壊して道路の通行を妨げたような場合は、道路として通常有すべき安全性を欠いていると言わざるを得ません。

そのため、道路管理に瑕疵があったと言うことができ、道路管理者である市は国賠法2条の責任を負います。

さらに、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、一般交通に支障を及ぼさないように努めなければなりません(道路法421項)。

また、道路の交通に及ぼすべき危険を防止するため必要があるときは、道路に接続する区域を沿道区域として指定して、当該土地、竹木の管理者に対して交通の危険を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができます(道路法441項、4項)。

さらには、道路管理者自ら代執行もできるのですから、道路の状況によっては、道路管理者がそれらの道路管理義務を怠ったとして国家賠償法1条の責任を負うことも考えられます」

今回のケースで、市は処理をしたこともあるそうだが、結果的に事故が起きてしまった。

「担当者が言うように『樹木の処理を地権者がするのは、当然のこと』だとしても、地権者任せにしておくことは許されません。

実際に現場を詳しく調査してみないとわかりませんが、もし、処理が不十分なものであったとするならば、木竹の占有者・所有者の民事上の責任と市の国賠法上の責任は、共同不法行為として連帯責任になるものと考えられます」

https://news.livedoor.com/article/detail/13341276/

 

(2022年12月29日 修正1 ;追記)

202212261813分にNHK熊本からは、遺族が木の所有者と市に損害賠償を求めた裁判で市への賠償命令が確定したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

男性の遺族などは、木が倒れたのは管理に問題があったからだと主張して、県道を管理する熊本市と木があった土地の所有者に賠償を求め、1審の熊本地方裁判所は「管理する道路内に周囲の私有地から木が倒れ込まないように対策するのは市の義務だ」と訴えを認めました。

また、2審の福岡高等裁判所も「道路に木が倒れることは予測できた」として、市と所有者にあわせておよそ5000万円の賠償を命じました。

判決を不服として熊本市が上告していましたが、最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は26日までに上告を退ける決定をし、市の敗訴が確定しました。

熊本市土木総務課は、「亡くなられた方に心よりお悔やみ申し上げます。最高裁の判断を重く受け止めます。今後はこのような事故を防止するため、道路管理者として安全確保に努めてまいります」とコメントしています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20221226/5000017862.html

 

12272059分にYAHOOニュース(熊本日日新聞)からは、防護柵を設置するなどしなかった瑕疵が市にあったと地裁は判断していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 

昨年6月の熊本地裁判決は「倒木の危険性がある土地にもかかわらず防護柵設置などの対策を欠き、市の管理に瑕疵[かし]があった」と判断。

福岡高裁も今年1月、「市は倒木を予見できた」として一審判決を支持していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cc443a035201cd8c8814f7aece0e9338b7f6fbe3 

 

(ブログ者コメント)

〇市の控訴理由資料中、現場の地図と事故翌日の写真が掲載されていた。

 

 https://kumamoto-shigikai.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=47&id=810&sub_id=1&flid=2111

〇今後、同様の事案が生じた場合、自治体としては木の所有者に処置を求めるだけでなく、所有者に聞き入れられなかった場合は防護柵の設置など、何らかの物理的対応をせざるを得なくなったというように読み取れる。
ということは、1個人の無責任な態度に税金を使って対応せざるをえないことになり、なにか熱海市の土石流災害の対応に通じるものを感じてしまった。

〇1審2審の判決を受け、木の所有者がどう対応したのかなど、情報がないか調べてみたが見つからなかった。

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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