2016年4月13日21時42分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月13日21時7分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
重大事故を起こした企業の刑事責任を問う「組織罰」の法制化を模索してきた尼崎JR脱線事故の遺族らが、13日、大阪市内で会見し、業務上過失致死罪に両罰規定を設ける特別法の制定を目指すと発表した。
今月23日に「組織罰を実現する会」を立ち上げ、署名活動や関係省庁、国会議員などへの働きかけを進める。
2013年9月、JR西日本の歴代3社長の刑事責任が問われた神戸地裁判決で、無罪(上告中)が出たことなどを受け、14年3月に「組織罰を考える勉強会」が発足。
山梨県の笹子トンネル事故の遺族らとも連携し、専門家らの意見を聴いて、法制化の中身を決めた。
制定を目指すのは、「業務上過失致死罪の法人処罰に関する法律」。
条文の素案では、国なども含めた法人の業務で発生した死亡事故に罰金刑を科すとし、企業の規模に応じて額を引き上げられる規定も盛り込んだ。
事務局を担う津久井弁護士(兵庫県弁護士会)によると、高度経済成長期に公害が社会問題化し、企業を罰する特別法「公害処罰法」が成立した経緯を参考にしたという。
脱線事故で長女を失った勉強会代表の大森さん(67)は、会見で、「大きな組織が引き起こした事故の場合、責任が多くの部署に分散して現行の司法では裁けない。尊い命が奪われたのに、誰も責任を取らないのは納得できない。社会が安全になるシステムを確立するために、組織を罰する法律が必要だ」と、組織罰の必要性を強調。
これまでの勉強会では、「刑法に両罰規定はなじまない」、「原因究明の妨げになる」などの指摘も出ており、「一般の人の理解を得られるよう、丁寧に取り組みを広げていきたい」と話した。
【両罰規定】
業務に関して法律に違反した個人だけでなく、その個人が所属する企業などの法人にも罰則を科す規定。
業務上過失致死傷罪など、刑法の罪は処罰対象が個人に限られており、両罰規定は存在しない。
「業務上過失致死罪の法人処罰に関する法律(素案)」
第1条
法人の業務において発生した事故に関して、代表者又は代理人、使用人その他の従業者が刑法211条(業務上過失致死傷等)の罪を犯し、人を死亡させたときは、法人を500万円以下の罰金刑に処する。
第2条
前条の罰金は、国及び地方公共団体を除き、当該会社の前事業年度における純資産額に相当する金額以下とすることができる。
出典
『加害企業に罰金刑を 尼崎脱線事故遺族ら法制化へ団体』
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201604/0008986963.shtml
『組織罰を実現する会23日正式発足 死亡したら企業に罰金を』
http://www.sankei.com/west/news/160413/wst1604130106-n1.html
(ブログ者コメント)
○「組織罰」については、2013年4月24日にNHKのクローズアップ現代でも取り上げられていた。以下は、冒頭の記事。
107人が亡くなったJR福知山線脱線事故から8年。
“企業の罪”を問おうと、歴代社長の裁判が展開されてきたが、個人の責任しか問うことが出来ない日本の法制度の限界が今、明らかになりつつある。
一方、イギリスは2007年に「組織罰」を導入。
企業を1つの人格とみなし、企業上層部全体の過失を罪に問えるようにした。
すると、安全対策に取り組む企業が増え、事故が3割減少した。
脱線事故の遺族の6割が望む「組織罰」。
裁判のあり方や社会は「組織罰」の導入でどう変わるのか。
イギリスなど海外の事例を交えて検証する。
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『“企業の罪”は問えるのか ~JR福知山線脱線事故8年~』
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3340/index.html
○この報道があった少し前、奇しくもテレビで「衝動殺人 息子よ」という映画が放映されていた。
それは、通り魔に一人息子を殺された主人公が犯罪被害者支援制度の創設を訴え続け、ついには三菱重工爆破事件を契機に政府を動かす・・・・というストーリー。
ブログ者に今回の動きは、それと重なってみえる。
さて、今回の動きは、今後、どのように進展していくのだろうか?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。