2018年10月13日19時15分にNHK福岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州電力は、電力の供給が需要を上回り需給のバランスが崩れ、大規模な停電につながるおそれがあったとして、全国で初めて、太陽光発電を一時的に停止させる「出力制御」を13日、実施した。
13日の九州地方は、晴れて日照量が多く、太陽光の発電量が増えると見込まれた一方、冷房の利用や工場の稼働などが減って、日中のピーク時には供給が需要を43万KW上回ることが予想されていた。
このため九州電力は、電力の需要と供給のバランスが崩れ、大規模な停電のおそれがあったとして、午前11時半から午後4時にかけて、太陽光発電の一部の事業者に一時的に発電の停止を求める「出力制御」を、離島以外では全国で初めて実施した。
九州電力によると、13日の出力制御の実施に伴うトラブルはなかったという。
九州では、日照条件などが良いことから太陽光発電の導入が増えていて、発電量は、再生可能エネルギーの買い取り制度が始まった6年前に比べ、7倍に増えている。
さらに、ことし6月までに佐賀県と鹿児島県にある原子力発電所で、あわせて4基の原発が再稼働し、電力の供給量が高まっている。
14日の九州地方は晴れが予想されていて、九州電力は14日も、日中のピーク時に供給が需要を62万kw上回ることが予想されるとして、出力制御を行うことにしている。
出典
『九電が初の出力制御を実施』
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20181013/0002529.html
10月13日21時22分に産経新聞westからは、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。
離島を除き、全国初の本格実施となった九州電力の再生可能エネルギー出力制御。
再生エネが順調に拡大すれば、他の電力会社も、今後、同様の対応を迫られる可能性がある。
政府は、温室効果ガスを排出しないなどの利点を持つ再生エネを主力電源に育てる方針だが、再生エネの大量導入に対応した電力網の増強や大型蓄電池の開発促進が欠かせない。
「電力需要が低くなることが、(再生エネの出力制御の)最大の理由だ」。
九電の和仁・系統運用部長は、12日の福岡市内での記者会見でこう説明した。
日照条件が良く再生エネの適地が多い九州では、以前から、気温が低下し冷房使用が減る今秋の出力制御の可能性が取り沙汰されてきた。
秋のほか、春やゴールデンウイークなど、「電力需要が低い時期は、可能性が否定できない」(和仁氏)という。
出力制御について経産省は、「自然条件によって出力が大きく変動する再生エネが増えれば、電力の需給バランスを保つために必然的に起きうる」とする。
海外では、アイルランドやスペインなど、欧州を中心に実施されているという。
政府は、7月に改定したエネルギー基本計画で、再生エネについて「確実な主力電源化への布石としての取り組みを早期に進める」とした。
総発電電力量に占める再生エネの比率は、水力を含めると直近で15%程度だが、2030(平成42)年度には22~24%に引き上げる方針。
経産省幹部も、「再生エネを、コストを下げながら大量に導入していくことが重要だ」と指摘する。
一方、再生エネを利用しやすくする上では、余った電力を他地域に融通する送電線の拡充や、再生エネでつくった電気を充放電できる大型蓄電池の開発促進が急がれる。
九州は、総面積や総人口、電力消費量などが、それぞれ全国の1割程度を占め、日本の「1割経済」とも呼ばれるが、太陽光や風力の導入量は全国の2割弱を占めており、関東の31%に次いで2番目に大きい。
和仁氏は、「そうした(急速な)スピードで入ってきたことに設備増強が追いついていない」とも述べた。
ただ、設備増強には相応のコストがかかり、最終的には、家計や企業が負担する電気料金に跳ね返る。
少子高齢化などで、国内の電力需要が増える余地は、それほど大きくない。
再生エネの拡大に伴って生じるコストにどう折り合いを付けるのかも課題となる。
出典
『再生エネ、主力電源化の壁 九電の太陽光出力抑制』
http://www.sankei.com/west/news/181013/wst1810130033-n1.html
10月13日3時1分に大分合同新聞からは、事業者側の意見を報じた記事が下記趣旨でネット配信されていた。
大分県内の関連事業者からは、発電が制限されることに伴う収入減少への不安や、今後も制御が頻繁に発動される可能性を懸念する声が上がった。
「秋は発電の効率がよくなり、売電収入が上向く時季なので困る」。
太陽光発電事業を手掛ける県内の不動産会社の担当者は、戸惑いを隠さない。
九州電力の示す基準によれば、全発電量の3分の2が出力制御の対象になる可能性がある。
昨年度の売電収入は約3億4千万円あったが、発電が制限されれば減収につながりかねない。
この担当者は、「クリーンな再生可能エネルギーを抑える前に、九州電力はまず、玄海、川内の原発を止めるべきでは」と訴えた。
出力制御の頻度に気をもむ声も。
別府市の事業者は、「1日だけと決まっていればいいが、長期間にわたり続くような事態になれば厳しい。設備を導入した借り入れの返済もある」と肩を落とす。
調剤薬局を展開する大分市の「そうりん」は、豊後大野、臼杵両市で50KW未満の太陽光発電設備10基を運用している。
現状は制御の対象にならないが、藤井社長は、「われわれも、いつそうなるか分からない」と警戒する。
九州電力は対象を決める手続きや過程を明らかにしておらず、「どの事業者にどうやって決まるのか。オープンにしてほしい」と要望した。
電力売買業・新電力おおいた(由布市)の山野社長は、「太陽光発電量は増え続けており、出力制御は想定内。ただ、対象決定のプロセスはある程度、公にしないと、公平感が担保されているのか疑念を生む」と述べた。
出典
『九電出力制御 大分県内の事業者戸惑い』
http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2018/10/13/JD0057407735
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。