2016年8月18日付で伊勢新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
伊勢市立の小中学校でつくる校長会と教頭会は、17日、愛知県立大学看護学部の清水宣明教授(感染制御学)を講師に招き、防災研修を開いた。
清水教授は、「『とにかく逃げろ』と叫び、負傷者や幼児らに遠くへの避難を強要するのは虐待」と指摘。
地震、津波対策では、校舎内への避難が有効と強調した。
津波が来た際は必ず建物内にいなければならないと考える清水教授は、市の指定避難所について、「遠すぎて、逃げ切れない人が必ず出てくる」と述べた。
その上で、東日本大震災では、避難中に津波にのまれそうになり、民家の2階へ逃げて助かった事例がたくさんあることを紹介した。
一方、「無理に指定避難所を目指し、途中で津波にのまれるのが一番危険」と語った。
東日本大震災で、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では、いったん公民館に避難した人たちが別の避難所である中学校を目指し、津波にのまれて亡くなったことを紹介。
間違った避難誘導の危険性を強調した。
清水教授は、「幼い子は災害時に泣き出したり、けがで動けなくなったりする」と語り、校舎外への避難誘導は「難しい」と説明。
県で被害が予想されるトラフ型の地震では、揺れの時間が長く、余震も頻発するため、家屋などが倒壊し、「道路もまともな状態ではなくなる」と指摘した。
その上で、「学校は地域で一番、耐震強度が高い建物」と話した。
文部科学省が避難施設としての有効性を保証していることも紹介。
「今の災害対策は人間の視点が欠けている。『とにかく逃げろ』と避難を強要するのは虐待。それで本当に子どもら全員の命を守れるのか」と語った。
出典
『「とにかく逃げろ」は虐待 伊勢市の校長会、教頭会で防災研修』
http://www.isenp.co.jp/news/20160818/news05.htm
(ブログ者コメント)
上記記事は、長い講演の一部をダイジェストしているせいか、あるいは講演対象が学校関係者だったせいか、清水氏の言わんとしていることが全ては伝わっていないような気がする。
そこで、氏の主張がいかなるものか調べたところ、2016年4月4日付の毎日新聞三重版に、以下のような記事が掲載されていた。
氏の主張は、『避難対象者には健常者もいるし災害弱者もいる。全員が同じような方法で一律に避難するのではなく、個々人の置かれた状況に応じた避難方法を今から考えておくべき』ということかもしれない。
明和町沿岸部に住む清水宣明・愛知県立大教授が、災害弱者の視点で地震や津波への対策をまとめた書籍「津波避難学」を出版し、1日、伊勢市役所を訪れ、鈴木健一市長に贈った。
清水教授は、「自分の目線に置き換えながら読んで、各自の避難対策を考えるきっかけにしてほしい」と話している。
清水教授は、東日本大震災を群馬大で経験し、その後、愛知県立大に赴任した。
明和町など南勢地方の沿岸部は、南海トラフ型の大地震や津波が想定され、「どうしたら地震や津波から命を守ることができるか」を考え始めたという。
以来、伊勢志摩地区を中心に100回を超える講演会を開催。
伊勢市東大淀、大湊両町、志摩市志摩町などの各自治会や小学校などとともに、災害対策に取り組んでいる。
本は、これまでの活動や講演会での内容を基に、地震や津波の仕組み、従来の津波対策の問題点、津波避難の大原則や考え方などを、10章224ページに分かりやすくまとめた。
どこに何があるかを知り、自分が逃げられる場所を把握することや、得た情報を地域で共有し、各自が最良の避難対策を立てることなどの重要性を説いている。
鈴木市長は、「行政レベルの対策だけでは限度がある。そういう中で、地域、個人を対象にした活動をしていただきありがたい」と話した。
出典
『出版 災害弱者視点の「津波避難学」 明和在住、清水・愛知県立大学教授 各自が最良の対策を /三重』
http://mainichi.jp/articles/20160404/ddl/k24/040/128000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。