2020年2月5日19時57分にNHK神奈川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午前8時ごろ、神奈川県逗子市池子で道路脇の斜面が崩れ、歩道を歩いていた市内に住む18歳の女子高校生が土砂に巻き込まれました。
警察によりますと、女子生徒は救助されて病院に運ばれましたが、死亡しました。
ほかに巻き込まれた人はいませんでした。
逗子市によりますと、この斜面では5メートルほどの高さまで補強がしてありましたが、その上の斜面が崩れ落ち、土砂が下を通る歩道を幅およそ10メートルにわたって覆ったということです。
これまでの調べで当時、現場を通りかかったバスのドライブレコーダーに、女子生徒が南から北に向かって1人で歩く姿が映っていたということです。
現場は、マンションの土台部分となっている急傾斜地で、「土砂災害警戒区域」に指定されていたということで、警察は関係者から話を聞くなどして、斜面が崩れた原因などを詳しく調べています。
神奈川県や逗子市によりますと、崩れた斜面は、斜面の上に建つマンションの管理組合が所有する土地とみられるということです。
神奈川県によりますと、県内では、去年の年末の時点で「土砂災害警戒区域」として1万0466カ所が指定されていて、現場は9年前の平成23年11月に県が「土砂災害警戒区域」に指定した地域ということです。
県によりますと、現場の斜面は高さが16メートルで、崩れた部分の傾斜は最大で60度あったということです。
また市によりますと、このうち、崩落した斜面は、長さ13メートル、幅2.5メートルにわたっていたということです。
土砂が崩れ落ちた場所は市が管理する市道にあたりますが、斜面の安全管理については所有者が行う場所だということで、これまでに斜面が崩れるなどの危険性についての情報は市では把握していませんでした。
市は安全の確認が出来ていないとして、市道を通行止めとし、斜面の所有者や事故の状況などの確認を進めています。
目の前で土砂崩れが起きた瞬間を目撃した53歳の男性は、当時の状況について、「後ろから女性が私を早足で追い抜いていき、その瞬間、頭に砂がぱらぱら落ちてきた。『おやっ』と思った瞬間、土砂崩れが起き、女性は巻き込まれていた。気が動転してしまって通報できなかったが、人が出てきたので通報を依頼した」と話しました。
男性によりますと、崩れた土砂は乾いた質感で、大きな石と砂粒が混じっていたように見えたということで、「土砂崩れが起きた場所はむき出しの斜面だったが、危険な場所だという認識はなかった」と話していました。
そのうえで、女性が亡くなったことについて、「痛恨の極みで、気の毒としか言いようがない。自分と女性の距離は1メートルほどしか離れておらず、生死の境目は紙一重なんだと改めて感じています」と、話していました。
神奈川県によりますと、崖などの近くに建物を建設する場合は、国の建築基準法に基づく県の建築基準条例で、斜面の防災対策をとるよう定めています。
神奈川県の建築基準条例では、近くに勾配が30度を超え、高さが3メートルを超える傾斜地があり、崖の端からの水平距離が崖の高さの2倍以内の場所に建物を建設する場合、斜面に擁壁を設けるなど、防災対策をとるよう定めているということです。
今回の逗子市のケースも、建物の場所を考えると、対策をとるべき対象になるということですが、基礎のくいの打ち方を工夫するなど、建物の重みががけに影響を及ぼさないような方法をとっている場合などは適用されないということです。
さらに、この条例のもとになっている建築基準法は、建物の安全性を守ることを目的としているため、建物に被害がない場合、今の段階では条例違反にはあたらないとしています。
逗子市によりますと、市が消防署に設置している雨量計では、先月28日に20ミリ、29日に10ミリの雨量が観測されましたが、先月30日以降、降水は観測されていません。
また横浜地方気象台によりますと、レーダーによる解析雨量でも、逗子市では今月1日以降、観測されていません。
斜面災害が専門の京都大学防災研究所の釜井俊孝教授は、NHKの取材に対し、「今回の土砂崩れは、過去の雨や地震などをきっかけにして斜面全体にひずみが徐々に蓄積され、それがきょう限界になったのではないかと見ている」と分析しています。
そのうえで釜井教授は、「こういった斜面で土砂が崩れるという現象自体は珍しいものではないが、大雨や地震などがないときに土砂崩れが起きるという例は、数が少ない」と指摘しました。
また、釜井教授は現場の状況について、「現場は下の部分に石積みの擁壁があり、上の部分はむきだしになっているようだが、この場合、上の部分が相対的に緩くなるのは確かで、同じような場所は多くある。頂上付近にひび割れが起こっていた可能性はあるが、緑に覆われていると気づくのは難しいと思う」と話していました。
そのうえで、「現場の斜面が民有地であれば、斜面が崩れる可能性や対策をとる必要性などに関するリスクを住民が把握していないことが多い。自分が住む土地の斜面のリスクを正確に把握し、行政と連携して対策を進めることが重要だ」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20200205/1050008929.html
2月5日20時34分に朝日新聞からは、石積み上部の土ののり面が崩れたなど、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
逗子署などによると、現場はマンション下の市道に面した斜面。
市道から高さ約10メートルの石積みの部分があり、上部には鉄製フェンスを設けていたが、その上の土ののり面が高さ7~8メートルにわたって崩れた。
建物への被害はないという。
現場はJR逗子駅の北東約2キロの住宅街。
市によると、現場は民有地で土砂災害警戒区域に指定されていた。
近所に住む男性(76)の話では、市道は近くの中学、高校の通学路になっており、特に斜面側の歩道を歩いて通う中学生が多いという。
https://www.asahi.com/articles/ASN253GV2N25UTIL00G.html
2月6日16時26分にNHK神奈川からは、過去に崩れたことはなく崩落の前触れもなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
逗子市によりますと、補強のための石積みの上の斜面が崩れ、土砂が下を通る歩道を幅およそ10メートルにわたって覆い、土砂の総量はおよそ68トンと推定されるということです。
また、現場はマンションの土台部分となっている急傾斜地で、崖崩れなどによって災害が起きるおそれがあるとして「土砂災害警戒区域」に指定されていますが、これまでに大雨などで崩れた記録はなく、今回の崩落の前触れのような情報も寄せられていなかったことが、市への取材でわかりました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20200206/1050008949.html
2月6日付けで毎日新聞からは、民有地のため市は地権者らに危険性を知らせるぐらいしか対応できなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
崩れた斜面の上部にはマンションが建ち、斜面の下の部分は土砂の流出を防ぐため補強されていた。
しかし、その上部の斜面が幅13メートル前後にわたって崩れ落ち、幅約8メートルの市道を土砂が覆った。
県は、この斜面を「急傾斜地の崩壊」の恐れがあるとして、2011年に土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定している。
イエローゾーンとは「土砂災害が発生した場合、住民等の生命・身体に危害が生ずるおそれのあると認められた土地の区域」を指し、市町村は警戒避難体制の整備を義務付けられている。
逗子市都市整備課によると、地権者らに危険性を知らせるなどの対応を取ってきたが、民有地のため、斜面の管理に市が直接携わることはないという。
https://mainichi.jp/articles/20200206/ddm/041/040/065000c
2020年2月7日17時40分にNHK神奈川からは、数10㎝の深さにある岩の層が激しく風化していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故について神奈川県から依頼を受けた土砂災害を研究している専門家2人が7日現場を訪れ、崩れた原因などを調査しました。
その結果、崩れた斜面には水分がほとんど含まれていなかった一方で、数十センチの深さにある岩の層が激しく風化していたことがわかったということです。
調査を行った国土交通省国土技術政策総合研究所の中谷室長は、「現場の斜面は風の影響も受けやすいなど、岩の風化が進みやすい悪条件が重なって崩壊した可能性がある」と指摘していました。
また、専門家はこのあと逗子市役所を訪れ、市に調査結果を報告し、現場で2次災害を起こさないために、不安定な状態で残る土砂を撤去して、表面をコンクリートで覆うなどの対策をとるよう提案したということです。
事故を受けて逗子市は、市内の土砂災害警戒区域にある斜面のうち、人通りが多い市道に面した場所について、危険性がないか今月13日に目視による一斉点検を行うことを決めました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20200207/1050008968.html
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。