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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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202073070分にYAHOOニュース(ブックバン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

労働災害・交通事故・医療事故など、ヒューマンエラーの最前線を研究し続けてきたからこそ見えてきた、「事故ゼロ」「失敗ゼロ」を目指す安全対策の弊害と限界とは。

 

『失敗ゼロからの脱却』著者の芳賀繁先生にお話を伺いました。

 

【事故原因は「不注意」、安全対策は「注意喚起」!?

 

Q:

芳賀先生は、ヒューマンエラー、ヒューマンファクター研究の第一線で長く活躍されてきました。

つまり、ずっと「失敗ゼロ」を目指してきたのではなかったのでしょうか? 

 

芳賀:

私は1977年(昭和52)に国鉄(日本国有鉄道、現・JR)に就職したのですが、当時は国鉄だけで毎年100人以上の人が労働災害で死亡していました。

 

全産業では3千人くらい。

交通事故で死ぬ人は1万人近く。

 

世界に目を向けると、大型ジェット旅客機はあちこちで落ちるし、化学プラントでの爆発や有毒物質の漏洩も後を絶ちませんでした。

 

Q:

それほど多かったのですか。

 

芳賀:

そんななか、社会や産業界ではヒューマンエラーやヒューマンファクターズに対する関心が高まっていきました。

 

大学で認知心理学を勉強して国鉄の研究所(鉄道労働科学研究所)に就職した私は、注意やヒューマンエラーの研究で事故防止に貢献したいと考えたのです。

 

鉄道でも、信号を見間違えて事故が起きたり、停まるべき駅を通過してしまったりするトラブルがちょくちょく起きていました。

 

当時は,ヒューマンエラーで事故が起きると、原因は「不注意」、「漫然作業」、対策は「注意喚起」「確認の励行」などと報告書に堂々と書かれていました。

 

だから,まず、ヒューマンエラーを科学的に理解して背景要因を解明すること、それに基づく効果的な対策をうつことの重要性を、多くの人に理解してもらう必要があったのです。

 

 

【過剰な安全対策が現場を疲弊させる】

 

Q:

実際、先生のご著書『失敗のメカニズム 忘れ物から巨大事故まで』(角川ソフィア文庫)はロングセラーになっています。

 

つまり、先生がおっしゃったような状況やヒューマンエラーに対する関心は、現在も少なからず続いているのでは、と感じます。

 

にもかかわらず、なぜいま『失敗ゼロからの脱却』という逆説的なタイトルの本を書こうと思われたのでしょうか? 

 

芳賀:

『失敗のメカニズム』の初版から約20年の間に、ヒューマンエラー対策はずいぶん進みました。

日本の安全水準もずいぶん上がりました

 

そんな状況で、ぐりぐりと安全対策を進めて「事故ゼロ」を目指すだけでは、却って弊害が目立つようになったのです。

 

労災関係の国のある会議では「小さな事故でも報告書に必ず再発防止対策を書いてください」と安全担当者に呼びかけています。

 

先日、ある大きな工場の安全大会に出席したのですが、工場長が1年間に起きた労災事例を紹介していました。

カッターで指を切ったとか、階段で足を踏み外して捻挫したとか、そんな話ばかりです。

それでも、労災をゼロにするため「みんなで頑張ろう」と檄を飛ばしていました。

 

結果としてどういうことが起こるか。

カッターで手を切るのを防ぐ対策としてカッターナイフの使用を禁止するとか、階段で足を踏み外さないために階段昇降時に必ず手すりを持つルールを決めるとか、そういう対策が大真面目に行われるのです。

現場は仕事がやりにくくて仕方がない。

 

Q:つまり、安全対策をやりすぎている、ということですね。

 

芳賀:

ええ。小さな事故を防ぐために過剰な対策が行われ、仕事がやりにくくなっています。

 

本来、仕事をする目的は、よい製品を作ること、よいサービスを提供することです。

事故を起こさないことやトラブルを起こさないことではありません。

 

現場第一線はよい仕事をしようと頑張っているのに、失敗を避けることだけを考えている安全マネジメントが足を引っ張っている。

 

安全マネジメントだけではありません。

経営も、教育も、行政も――日本社会はあらゆる側面で「失敗を避けること」に汲々として、しなやかさを失っていると思います。

 

 

【現場の仕事は99.9パーセント以上うまくいっている】

 

Q:「しなやかさ」とはどういう意味ですか? 

 

芳賀:

本書の副題を「レジリエンスエンジニアリングのすすめ」としました。

レジリエンスとは、「弾力性」「復元力」といった意味です。

 

ダイナミックに変動する環境の中で果たすべき機能を維持する力、機能が損なわれたときには素早く回復する力がレジリエンスです。

 

システムのレジリエンスを高めるにはどうすればよいか

それを考えるのがレジリエンスエンジニアリングですが、システムがレジリエントであるためには、現場第一線もレジリエントである必要があります。

 

現場第一線のレジリエンスを、私は「しなやかな現場力」と呼んでいるのです。

 

Q:

現場では、つねに想定外の事態も起こり得ます。個人も組織もガチガチでは、対応しきれなくなりますね。

 

芳賀:

これまで、安全はリスクの少なさや、事故の数の少なさで評価されていました。

 

たとえて言えば、これは料理の美味しさを表現するときに「不味くない程度」を使うようなものですね(笑)。

 

レジリエンスエンジニアリングでは、安全を「うまくいくことが可能な限り多いこと」と定義します。

 

この新しい安全の定義が、本書のなかで述べている「セーフティII」という概念です(本書59P以降)。

 

Q:

なるほど!

「事故が半減して安全になった」と言うのは「不味さが半減して料理が美味しくなった」と言っているに等しいとすれば、かなり違和感がありますね。

 

芳賀:

安全管理者は失敗ばかり調べています。

そして、安全マネジメントは事故や事故のもとになるエラーの数を減らすことを目標にしています。

 

でも、現場の仕事は99.9パーセント以上うまくいっています。

どのようにして現場はうまくやっているのか、よく見て、そこからもっと学ぶべきです。

 

そうすれば、現場第一線が変化する状況に柔軟に対応して成功を続けていることが分かるでしょう。

 

そして、それをもっと続けもっと増やすにはどうすればよいかも見えてくるはずです。

 

 

(2/2へ続く)

 

 

 

 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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