『福祉避難所、機能せず 災害弱者、利用104人 周知なし、人も足りず』
(2016年4月25日 毎日新聞東京版朝刊 ;趣旨・要約)
熊本地震で4万人近くが避難する熊本市で、高齢者や障害者ら「災害弱者」を受け入れる福祉避難所の利用者が、24日現在で、わずか104人にとどまっている。
市は、国の方針に従って176施設を福祉避難所に指定し、災害時には約1700人を受け入れられるとしていたが、実際は、施設側の準備や要支援者への周知はほとんどされなかった。
多くの災害弱者が、設備やサポートのない場所で過酷な生活を余儀なくされている可能性がある。
福祉避難所の必要性は1995年の阪神大震災でクローズアップされ、厚生省(当時)が、97年、全国の自治体に指定を推奨。
2007年3月の能登半島地震で、初めて設置された。
国によると、13年6月現在で福祉避難所を指定している市区町村数は1167で、全体の約67%に達する。
熊本市は、災害時に自力での避難が難しい市民が約3万5000人いると想定し、福祉施設を受け入れ先として活用できるよう、14年度までに社会福祉法人など8団体と協定を締結。約1700人の受け入れ枠を確保したとしていた。
だが、16日の本震を受けて市が福祉避難所を開設できたのは、受け入れ先とされていた176施設のうち、34施設。
市は、「施設に問い合わせが殺到し、現場が混乱する」として市民に広く開設を知らせず、避難所を巡回する市の保健師が聞き取り調査で介護などが必要と判断した場合のみ、施設ごとに交渉していた。
それでも、「対応する人も足りず、入所者がいるので場所もない」(市内の福祉施設)などの理由で断られることも多かったという。
20日段階で36人しか受け入れていないことが判明し、市は21日になって指定していなかった県身体障がい者福祉センター(同市東区)を福祉避難所として開設。
有料で貸し出していた個室を、災害弱者は無料で利用できるようにした。
市は、「協定を結んでいる施設の受け入れ態勢が整わなかった」と説明する。
【福祉避難所】
高齢者や障害者、妊産婦ら、配慮が必要な被災者向けに、災害時に開設される避難所。自治体が災害救助法に基づき、福祉施設や公共施設などを指定する。
国の指針によると、紙おむつや医薬品、車椅子などを備蓄し、対応にあたる「生活相談職員」を置くことが望ましいとされる。
http://mainichi.jp/articles/20160425/ddm/041/040/164000c
『「福祉避難所」ようやく機能 熊本市』
(2016年4月28日 熊本日日新聞 ;趣旨・要約)
熊本市で、「福祉避難所」がようやく機能し始めた。
27日現在で、41施設が207人を収容。
だが、避難が必要な人の数はまだ見通せず、「これ以上は無理」と訴える施設もあり、先行きは不透明だ。
福祉避難所は、災害時に高齢者や障害者、妊婦らを受け入れる施設で、熊本市は176施設と協定を結んでいる。
しかし、建物が被害を受けたり、スタッフが確保できなかったりしたため、本震発生直後の16日の受け入れは、わずか5施設で5人だった。
ライフラインの復旧などとともに受け入れが増えて、27日は、41施設で207人になった。
中央区の社会福祉法人リデルライトホームでも、25日から受け入れを開始。
発生後およそ1週間は、関連施設の利用者や住民の避難対応に追われて、福祉避難所は開設できなかった。
「福祉施設として地域のつながりも大切。スタッフ自身も被災しており、市の要請に対応するのは難しかった」と小笠原理事長。
一般の避難者がほぼ帰宅して、やっと受け入れ態勢が整ったという。
市は、各避難所に保健師を派遣して支援が必要な人の情報を集め、各施設に受け入れを要請している。
27日現在では21人が待機中で、まだ増える見込みだ。
ただし、今後も受け入れがスムーズに進むかは不透明だ。
福祉避難所として3人を受け入れたケアタウンかわしりには、市の要請以外にも、病院や高齢者の家族から入所申し込みが相次いでいるという。
中村施設長は、「通常でも満床に近く、スタッフも疲弊している。これ以上の受け入れは難しい」と話す。
ある施設からは、「福祉避難所は、台風や水害など、一部の地域が被害を受けると想定していた。これほど大きな災害のイメージはなかった」との声が漏れた。
http://kumanichi.com/news/local/main/20160428007.xhtml
『高齢者続々、もう限界 熊本地震、入居断る福祉施設も』
(2016年4月29日5時0分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
28日夕、熊本市の複合型老人福祉施設「ケアタウンかわしり」は、約130のベッドがすべて埋まっていた。さらに、会議室などに300人余りが、段ボールや毛布を敷いて避難していた。
「困った人を助けたいが、能力的に限界。共倒れになりかねない」。中村施設長は、訴えた。
「今はまだ頑張れているが、長期になったら心が折れてしまう」。
益城町で最大規模の特別養護老人ホーム「ひろやす荘」の永田施設長も、悲鳴をあげる。
周辺施設はどこも人であふれ、移転先を探すのは至難の業だ。
デイサービスなどを手がける熊本市の小規模多機能施設「健軍くらしささえ愛工房」は益城町に近く、職員約20人には、被災した人も多い。
宮川施設長は、「復旧に伴い、利用者が増えれば、人手が不足しそう」。
すでに、同種施設の連絡協議会を通じて、2日間、新潟県と千葉県から2人の介護職が支援に入ったという。
一方、同じグループの特別養護老人ホームは、地域の高齢者ら、約60人の避難を受け入れた。
小笠原理事長は、「職員と利用者の配置など関係なくとにかく受け入れた。パニックになった利用者を家に帰すわけにはいかない」と話す。
小笠原さんは、さらに利用者の増加が続くことを予想し、被災した職員の疲労が蓄積して適切なサービスを提供できなくなる恐れを指摘した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12334116.html?rm=150
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。