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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2019719日付で日経ナショナル ジオグラフィックから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

殺虫剤は蚊を減らすのに失敗しているどころか、天敵を殺してしまうことによって、むしろ蚊を繁栄させているかもしれない。

少なくとも、ある1つの地域については、そのようだ。

 

2019年5月16日付けで学術誌「Oecologia」に掲載された論文は、殺虫剤が生態系に与える影響について、新たな問題点を明らかにしている。

 

調査はコスタリカで実施された。

そこに生息する蚊は、害虫駆除を目的とする一般的な薬剤に対して耐性を進化させていた。

一方、蚊の天敵はそうした進化を遂げておらず、結果的に蚊の個体数を急増させてしまった。

 

米国ユタ州立大学の生態学者で論文の著者であるエド・ハミル氏は、コスタリカ北部のオレンジ農園で調査をしていたとき、殺虫剤が必ずしも狙い通りの効果を発揮していないのではないかと感じたという。

 

「人間の手が入っていないエリアよりも、農園にいるときのほうが蚊に刺されることが多い気がして、なぜなんだろうと疑問に思ったのです」とハミル氏は話す。

 

そこで、ハミル氏らの調査チームは、まずブロメリアと呼ばれるグループの植物を調べた。

 

ブロメリアは米大陸の温暖な地域に見られる植物で、樹木や岩壁などに着生するものがある。

バラの花のようにぎっちりと重なり合った葉の中心に水がたまり、そこにはWyeomyia abebelaという種の蚊を含む、たくさんの昆虫の幼虫がすんでいる。

つまり、蚊の発生場所だ。

 

チームは、殺虫剤が使用されていない森の中のブロメリアと、中には20年以上にわたって殺虫剤が散布されているという農園内のブロメリアを調べた。

 

コスタリカのオレンジ農園では、アブラムシを駆除するためにジメトエートという殺虫剤を使用しているが、この薬剤は他にも多くの種の昆虫を殺す。

米国では、柑橘類やトウモロコシなどの農作物に広く使用されている。

 

調査によってわかったのは、殺虫剤が使用されているにもかかわらず、オレンジ農園には手つかずの森に比べて2倍もの蚊がいるということだった。

 

しかし、蚊の幼虫の天敵であるMecistogaster modestaという種のイトトンボの幼虫は、農園内では著しく少なかった。

 

調査チームは、これらの蚊とイトトンボの幼虫を実験室に持ち帰り、様々な濃度のジメトエートにさらしてみた。

 

すると、農園の蚊は、森の蚊に比べて10倍の濃度のジメトエートに耐えられることがわかった。

一方で、農園のイトトンボの幼虫には、そうした耐性はなかった。

 

耐性を進化させた蚊は、小さな楽園を見つけたと言える。

天敵であるイトトンボがいない環境で、幼虫がのびのびと育つことができるのだ。

 

 

【蚊の抑制は世界的に難しくなっている】

 

米国サザンミシシッピ大学の昆虫生態学者ドン・イー氏に言わせれば、この研究結果は、さらに大きな図式の一部だということになる。


それは、蚊の抑制が世界的に困難になっているという現実だ。

 

すでに世界各地で、多くの一般的な殺虫剤に対して蚊が耐性を持つようになっている。

特に、危険な病気を媒介する種については懸念が大きい。

 

なお、氏は今回の研究に関わっていない。

 

耐性の進化は殺虫剤がもたらした不都合な結果の1つに過ぎない、とイー氏は言う。

 

他にも、「競合解放」と呼ばれる現象がある。

これは、殺虫剤を耐え抜いた数少ない生き残りが、たった1世代で個体数を回復させるというものだ。

 

「(蚊の)幼虫の密度が下がるので、(残った)幼虫たちは資源をたっぷり利用でき、より大きく成長するのです」とイー氏は説明する。


大きな幼虫は、その後、より多くの卵を産み、次の世代を繁栄させることになる。

 

耐性を進化させた蚊が、耐性を進化させられなかった天敵を逃れるという、今回ハミル氏らによって明らかにされた現象は、蚊が媒介する病気の阻止をより困難にする。

 

ハミル氏によれば、Wyeomyia属の蚊が、近年、中南米で蔓延したデング熱のような致死性の病気のウイルスを媒介するかどうかは分かっていない。

 

しかし、イー氏が指摘するように、そうした病気を媒介する他の種類の蚊にも、やはり、イトトンボのような天敵がいる。

 

殺虫剤がそれらの蚊に逆説的な繁栄をもたらしているのかについては、今後の研究が待たれる。

 

出典

『殺虫剤で蚊が繁栄 予期せぬ副作用、不都合な真実』

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO47145980Z00C19A7000000?channel=DF130120166020&style=1&n_cid=NMAIL007 

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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