2019年11月9日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事が図解と写真付きでネット配信されていた。
台風19号で川が氾濫して甚大な被害が出た宮城県丸森町で、住宅地や農地からあふれた水が堤防の外側から河川に入って堤防の決壊を引き起こしていたことが県の調査で判明した。
同町で決壊した18カ所のうち16カ所がこれにあたるとみられている。
通常、堤防は水の流れていない外側からの越水を考慮しておらず、想定外の水の流れが被害を大きくした可能性がある。
専門家は「今回の被害実態を踏まえた堤防の整備方法を考える必要がある」と指摘する。
町内の堤防の決壊メカニズムや復旧工法について有識者が話し合う技術検討会で県担当者が8日、報告した。
同町では大雨により県が管理する阿武隈川水系の新川、内川、五福谷川の3河川で計18カ所が決壊し、流域の244ヘクタールが浸水。
水害や土砂崩れなどで10人が死亡し、1人が行方不明となっている。
今回の台風では、10月13日に町の山間部にある筆甫(ひっぽ)地区で24時間降水量が観測史上最大となる588ミリを記録。
県の調査によると、3河川の上流であふれた水が低地にある住宅地や農地に流れ込んでたまり、越水してのり面を削ったことで決壊した可能性が高いという。
東北大の調査などでは、役場庁舎がある中心市街地でも山から下ってきた雨水が排水されずにあふれる内水氾濫が起きていた。
こうした現象は山に囲まれて、水がたまりやすい丸森町の地形が影響しているとみられる。
通常、堤防は河川側からの越水でダメージを受けやすい堤防外側ののり面が崩れないようにコンクリートで補強するなどの対策を取る。
堤防の外から越水して河川側ののり面を削った今回のようなケースは想定されていない。
県担当者は「これまでにないほどの雨量だった。外からの越水は県内でも例がなく、想定した河川整備もしてこなかった」と明かす。
堤防が壊れた18カ所の応急復旧は国が工事を代行し、今月5日までに完了した。
本格復旧はこれからで、技術検討会で出た意見を参考に今後の整備方針を決めるという。
今回の台風では福島県須賀川市の阿武隈川堤防も同様のメカニズムで決壊したとみられ、技術検討会座長の田中仁・東北大大学院教授は「極めて珍しい事象だ。今回の被害を踏まえた堤防の復旧方法を考える必要がある」と強調した。
https://mainichi.jp/articles/20191109/ddm/041/040/058000c
11月9日付で河北新報からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号豪雨で堤防が決壊した宮城県丸森町の内川、五福谷川、新川の復旧工法を考える技術検討会の初会合が8日、県庁であった。
3河川を管理する県は決壊18カ所のうち16カ所の原因について、宅地側から河川側に越水し、堤防が削り取られたとの見方を示した。
県は現地調査を踏まえて決壊のメカニズムを解析。
草木の倒伏方向やのり面の崩落具合から、宅地側に流れ込んだ水が堤防を越えて河川側に入り、崩壊を引き起こしたと判断した。
決壊箇所の多くは2河川の合流点に集中していた。
内川と五福谷川の合流点付近にある水位計のデータと降雨量、安全に流せる水量を示す「流下能力」の値を基に決壊時刻も推定。
12日午後3時ごろには内川の上流域で能力を超え、堤防がない箇所から水があふれ始めたとみられる。
同6時ごろには降雨量の増加により、合流点で堤防が決壊して氾濫が起きたと指摘。
県の担当者は「堤防の能力をはるかに超える降雨量だった」と説明した。
県は来年1月までに工法を決め、復旧に着手する。
決壊箇所が多く技術的な難易度が高いため、国に工事の代行を求める。
座長の田中仁東北大大学院教授は「水の流れや堤防が破壊された過程の検討を進め、本格的な復旧を図る必要がある」と話した。
内川流域の応急対策として、東北地方整備局は8日、渓流や斜面に残る土砂が家屋に流れ込む二次被害を防止するため、県に代わってコンクリートブロックを敷設すると発表した。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201911/20191109_11009.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。