2017年12月27日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7896/
(2018年1月4日 修正2;追記)
2017年12月27日22時44分に毎日新聞から、保守担当と指令の間にコミュニケーションギャップがあったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午後1時35分。異常事態は博多を出発した直後に始まっていた。
台車の亀裂が判明する13号車デッキで「甲高い音」を聞いたのは客室乗務員(25)。
だが、確認しにいった車掌長(56)は異常なしと判断する。
小倉駅を出た同50分ごろから、7、8号車付近で車内販売員らが次々と「鉄を焼いたような臭い」などに気付く。
同様の臭いは11号車でも確認された。
広島駅到着前の午後2時半ごろ、報告を受けた指令員は保守担当者を乗せるよう指示。
担当者3人の乗車は3駅先の岡山駅だったが、異変は広がっていた。
福山~岡山駅間の15分間には、13号車の乗客3人が、臭いに加え「もやがかかっている」と申告。
臭いは4、10号車にも及んでいた。
保守担当者3人は、そんな状況の中、乗り込んだ。
13号車で「ビリビリ伝わる」振動や異音を感じ取り、「床下を点検したい」と打診。
「走行に支障があるのか」。指令員(34)が問うと、保守担当者の一人(60)は「そこまでいかない。見ていないので現象が分からない」。
曖昧とも取れる返事だが、指令員は支障なしと受け取った。
この担当者はさらに「安全をとって新大阪で床下をやろうか」と提案したが、指令員は隣に座る指令長から報告を求められ、耳から受話器を離したことで聞き逃していた。
指令員が点検実施を調整してくれている・・・。
保守担当者は専門家なので危険なら伝えてくる・・・。
互いに思い込みを抱えたまま判断を人任せにし、のぞみは名古屋駅まで走り続けた。
出典
『新幹線台車亀裂 「安全をとって」指令員の耳に提案届かず』
https://mainichi.jp/articles/20171228/k00/00m/040/088000c
12月28日6時3分にNHK関西からは、今後は保守経験ある社員を指令所に配置するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本は、脱線にいたるおそれがあった今回の問題の課題として、社員どうしの認識のズレなどを挙げている。
これを受けJR西日本は、指令体制の強化策として、保守担当の経験がある車両の仕組みに詳しい社員を今後指令所に配置するほか、社員間の連携の強化策として、来年2月をめどに映像を見ながら会話ができる新たなシステムを導入することを決めた。
さらに、列車停止の判断基準を明確にするため、今回のように複数の異常が確認された際の基準も、今後、定めていくとしている。
出典
『新幹線台車亀裂で対策強化』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20171228/3982501.html
2017年12月29日8時6分に毎日新聞から、新型車両は台車の異常振動を運転席で覚知できるが、トラブルがあったのは旧型車両だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
異常な振動を検知する最新型車両「N700A」であれば、早期に点検できた可能性の高いことが関係者への取材で判明した。
今回の車両は1世代前で、JR西日本の車掌らが振動を感じながら台車の異常と明確には認識せず、点検が遅れた。
JR西は再発防止策として、N700Aと同様の機能を他の車両にも導入する方針だ。
新幹線を共同運行するJR西と東海は、2013年にN700Aを投入。
西は全83編成のうち11編成、東海は全133編成のうち38編成を占める。
JR東海と車両メーカーが開発した台車振動検知システムが搭載され、各車両の台車の振動を常時監視。
異常があれば運転台に表示され、運転士がブレーキを掛けることになっている。
亀裂が見つかった車両は、N700Aの前に開発されたN700系。
JR西、東海の両社は、N700Aで採用した新型ブレーキなどの最新技術を搭載する改造を行ったが、振動検知システムは見送った。
両社は、「台車の構造が異なり、検知システム搭載は難しかった」と説明している。
JR西は、N700Aなら今回の台車の異常を検知できたかについて、「今後の調査で把握していく。現時点では分からない」とし、検討する新たなセンサーの仕組みも具体的には明らかにしていない。
出典
『のぞみ車両 旧型、亀裂検知できず 新型はシステム搭載』
https://mainichi.jp/articles/20171229/k00/00m/040/152000c
(2018年1月28日 修正3 ;追記)
2018年1月26日11時28分に朝日新聞から、契約社員の乗務員が異常に気付き正社員の車掌長に報告したが車掌長は問題なしと判断したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
山陽新幹線(新大阪―博多)では、多くの区間で車掌は3人。
そのうち1人は「客室乗務員」と呼ばれ、車内巡回など、乗客への対応を専門としている。
役割は東海道新幹線のパーサーと似ており、ドアの開閉や床下点検などの業務はできない。
身分は契約社員(1年、更新あり)で、正社員の車掌とは立場が異なる。
昨年12月の「のぞみ34号」のトラブルでは、最初に異常を察知したのは、客室乗務員(当時25)だった。
JR西日本が公表した資料によると、博多駅を出た直後、13号車のデッキで甲高い異音を聞いたため、すぐに車掌長(当時56)に報告。
確認してもらったところ、「通常と変わらない」と判断されたという。
その後も同じ場所で再び異音を感じ、「さらに大きく高い音になっている」と報告。
焦げたような臭いがしていることや客室内のもや、振動などについてもすべて伝えていた。
社内調査によると、車掌長は「気にならなかった」、「消えていると感じた」などと答えたといい、結局、車掌長が指令と話し合った結果、「運行に支障なし」と判断されていた。
客室乗務員の訴えを、車掌長が受け流していなかったか。
このやり取りについて、JR西の森川・新幹線管理本部長は、「車掌長は申告を受けて『大丈夫』と確認し、車両の状況について責任を持って判断した。(客室乗務員が)車掌長に言いにくい雰囲気はなかったと思う」と話している。
【鉄道総合技術研究所の元主任研究員の芳賀繁・立教大教授(交通心理学)の話】
パーサーが、乗客対応だけでなく、保安の一翼を担っているという自覚を持つことが大事になる。
航空機の客室乗務員のイメージで、異常時の対応訓練を定期的に受けることも必要だ。
子会社の社員という立場で、車掌に申し出にくいこともあるだろうが、立場を超えて協力するように意識を変えなければいけない。
JR各社は、指令にお伺いを立てる傾向が強いが、現場で判断することがトラブルを未然に防ぐことにつながる。
出典
『のぞみ亀裂、契約社員の車掌察知 新幹線車掌減に懸念も』
https://digital.asahi.com/articles/ASL1S6D8PL1SPTIL02W.html?rm=205
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。