2024年6月6日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正3として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13911/
(2024年10月24日 修正3 ;追記)
2024年10月16日8時2分にYAHOOニュース(東洋経済オンライン:軍事ジャーナリストの寄稿文)からは、ヘルメットの頭頂部を爆発方向に向けるよう指導していなかったのではないか、今もって旧式の手榴弾を使っていることも問題だなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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7月に出た報告書では、2曹が手榴弾の破片が飛び散る際の軌道や防護の体勢を正しく認識しておらず、指揮官も指導していなかったことが原因と結論づけた。
だが、述べられている対策ではさらなる事故が起こる可能性がある。
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報告書には触れていない事実が存在する。
掩体壕に隠れても、破片は放物線を描いて飛んでくるので被弾する。
このため他国の軍隊では手榴弾の投擲訓練では掩体壕に隠れるだけではなく、退避壕の中でもヘルメットの頭頂部を手榴弾の爆発する方向に向けることによって頭部、顔面、頸部を保護する。
これを行っていれば、件の2曹の被弾は顔面と頸部だったので防げたはずだ。
これは必ずしも遮蔽物がない実戦でも有用な防御方法だ。
だが、このような指導を陸自では行ってこなかった。
陸自では教範を見直すといっているが、現状どうなるは不明だ。
この事故で使用されたのは、米軍でも使用されていたM26破片型手榴弾だ。
M26は50年代に開発され米軍で採用された。
陸自では昭和62年度から豊和工業が製造したものを調達しているが、現在では調達されていない。
米軍はすでに、その後継のM67手榴弾を採用して、M26は現在では使用されていない。
M26は全方位に、一定範囲で均一に軽量な破片が飛び散るように設計されている。
軽量な破片は空気抵抗で急速に速度低下するので、投擲者は爆発から充分な距離を保つことができて安全が確保されるように設計されている。
これは、その前に使用されていたMk2に問題があったから改良された結果だ。
だが陸自ではそのもっと旧式なMk2を大量に保有し、訓練でも使用している。
これは極めて危険だ。
Mk2手榴弾は陸自では「MK2破片手榴弾」の名称で採用され、その形状から通常パイナップルと呼ばれている。
一般の人間がイメージする手榴弾だ。
アメリカ軍では第1次世界大戦の直後に採用されて、第2次世界大戦でも使用された。
1950年代にM26手榴弾が開発された後もベトナム戦争でも使用されたが、危険であるために米軍ではベトナム戦争後に使用を停止した。
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ところが先述のように、陸自ではその危険な手榴弾を大量に保有し、現役に留めている。
しかも製造は60年以上は前であり、炸薬や信管も劣化している可能性がある。
その意味でも危険であり、本来処分すべき代物だ。
今後、手榴弾投擲訓練でこれを使用し続けるならば、さらなる被害者が出る可能性がある。
また掩体壕がない実戦において隊員が死傷する可能性も高くなる。
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しかも面妖なのは、陸幕広報によるとMk2は米国製だけでなく国内でも製造されたが、ライセンス生産かどうか、わからず、M26もライセンス生産ではないという。
ライセンス生産とはメーカーの同意を得て、設計図や仕様書を得、使用料を払って生産するものだ。
陸自のMk2やM26は単にコピーしたものである可能性がある。
そうであればオリジナルより劣っている可能性がある。
それが今回の事故の原因に影響している可能性も否定できない。
Mk2は全部廃棄処分にして、新型の手榴弾を導入し、米軍や諸外国の教範を研究して安全対策を抜本的に見直す必要がある。
同様にM26も廃棄し、相互運用互換性の面からは米軍と同じM67破片手榴弾、あるいは同等のものの採用が求められる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/aa22b9fd8e9a4c9b57164ebd3d405cade658e5ee
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。