2017年12月22日5時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新千歳空港で昨年2月、日本航空機のエンジンから発煙し、緊急脱出した乗客3人が重軽傷を負った事故で、国交省運輸安全委員会が21日公表した事故調査報告書は、多くの客が乗務員の指示に反し、手荷物を持ち出そうとしたことが妨げとなり、脱出に時間を要したと指摘した。
航空各社は、脱出時に荷物を持たないよう呼び掛けを強めるなどしているが、乗客の中には「離陸前のアナウンスは聞き流してしまう」との声も。
周知徹底が大きな課題だ。
報告書が示した事故後の機内の写真では、乗客159人の満席状態だったにもかかわらず、棚の手荷物がほとんど残っていない。
機体から外に出る非常脱出シューターは空気で膨らませた布製で、かばんの金属部分やハイヒールなど、とがったものが当たると破れる恐れがある。
客室乗務員は左右と前後計4カ所の脱出口で、手荷物を持たないよう大声で呼び掛けたが、持ち出す客が多かった。
前方の脱出口では、乗務員が乗客から取り上げた手荷物で操縦室前のドアがふさがれ、機長と副操縦士は乗客が脱出をほぼ終えるまで客室に出られず、マニュアルが定める避難指揮を取れなかった。
機長は、「無理にドアを開けると荷物が散乱し、避難の妨げになると思った」と説明した。
同機は、暗闇で左右のうち片側の脱出口だけを使っても、全乗客が1分半以内に避難できる設計だが、今回の事故では6倍の9分かかったという。
運輸安全委は、「乗客の順守すべき指示が効果的には伝わらなかった可能性がある」と結論づけた。
重傷を負った乗客は、脱出シューターを滑り降りて着地の際に地面に腰を打った。
1998年に成田空港で米ユナイテッド航空機から脱出した乗客乗員24人がけがをした火災でも、着地でのけがが相次いだが、教訓は生かされなかった。
日本航空は、事故後の昨年4月、乗務員が行う救難訓練に、乗客が手荷物を持ち出さないよう指示する教官の実演を追加。
昨年11月には機内で流す安全ビデオを変更し、脱出時は手荷物を持たないよう強調した。
AIRDO(エア・ドゥ)も、昨年4月から乗務員の訓練で、手荷物を持ち出した客に具体的な置き場所を指示する内容を加えた。
運輸安全委も今回の調査報告書で、乗客に安全に関する事項を守るよう改めて呼び掛けたが、周知が浸透しているとは言い難い。
出典
『避難完了まで想定の6倍/手荷物が操縦室ドアふさぐ 新千歳の日航機発煙』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/152862
12月21日10時11分に時事通信からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
成田空港で1998年に起きたユナイテッド航空機からの緊急脱出では、60代の女性がスライド滑降中に他の客のスーツケースと接触。人さし指を骨折した。
3512便では、離陸時に加え、脱出前にも客室乗務員が大声で指示したが、159人の客の多くが従わず、座席上の棚から荷物を取り出した。
脱出時に負傷した客3人のうち、骨折の重傷を負った女性はスライドから飛び出し、腰から着地していた。
滑った姿勢は本人の記憶がなく解明できなかったが、上体を起こして滑れば、通常は飛び出さないという。
出典
『多くの客、荷物持ち出し=新千歳・日航機の緊急脱出-運輸安全委「確実な
周知を」』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017122100457&g=soc
12月21日付で毎日新聞東京版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、昨年2月23日午後3時ごろ、誘導路に停止中の日航機の機内で異臭がし、煙が立ちこめた。
右エンジンからは炎が目撃された。
機長の決断により、高さ約2.5mから滑り降りるシューター4本で、乗務員が乗客を脱出させた。
多くの乗客は指示に従わず、手荷物を持って逃げようとしたことから、乗務員は荷物を取り上げて操縦室のドアの前に積み上げた。
機長らは、ドアを開けると通路側に荷物を押しやり、逃げ遅れにつながると考え、脱出がほぼ終わるまで操縦室から出なかった。
このため、機長らは社内規定で定められた脱出の指揮や援助ができなかった。
乗客の高齢女性はシューターを滑り降りる際に援助が受けられず、着地に失敗して胸の骨を折った。
出典
『日航機発煙 新千歳空港トラブル報告書 手荷物持ち避難、原因 乗務員が取り上げ→操縦室前に山積み→機長が誘導できず』
https://mainichi.jp/articles/20171221/dde/041/040/036000c
12月21日18時10分に北海道新聞からは、トラブルは着氷によるものだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
煙の原因は、激しい降雪でエンジン前部のファン付近に氷が付き、吸気量が減った結果、空気の圧力で押さえ込んでいた潤滑油が漏れ出し、霧状となって機内に流入した可能性が高いと指摘した。
エンジン内では、動力を生み出すためにシャフト(軸)が回転する。
シャフトの両端は、潤滑油を満たした容器(図の《1》)で覆われているが、シャフトと容器の接する部分(図の《2》)は、摩擦を小さくするため隙間がある。
ここから潤滑油が漏れないよう、通常は空気圧をかけているが、事故当時はエンジン前部のファン付近に着氷があり、十分に空気を送り込むことができなかった。
このため潤滑油がエンジン内に漏れ広がり、霧状となって機内に流入したほか、エンジン排気管付近の高温部に触れて発火した。
出典
『着氷で吸気減り機内に潤滑油 昨年の新千歳日航機発煙』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/152707
※以下は、事故当時の状況を伝える記事。(本文転記省略)
(2016年2月23日23時29分 毎日新聞)
『新千歳空港 離陸前、日航機から煙…緊急脱出、4人搬送』
https://mainichi.jp/articles/20160224/k00/00m/040/056000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。