(ブログ者コメント)
〇画面右のほうに見えるのが衝突した壁かもしれない。
〇この事故では、空港立地&管理上の問題、航空機自体の問題、運航会社の経営姿勢の問題など、様々な要因がメディアの俎上に上っている。
原因究明はこれからの話になるが、大事故というもの、複数の原因が絡み合って起きるもの。
その典型的な事故のように思えた。
以下は、主だった報道を抜粋したもの。
【事故の概要】
(2024年12月30日8時9分 YAHOOニュース;ハンギョレ新聞)
務安(ムアン)国際空港で乗客181人を乗せたチェジュ航空の旅客機が着陸中に滑走路「ローカライザー」(着陸誘導安全施設)と外壁に衝突、火災が発生し、乗務員2人を除いた179人が死亡する大惨事が発生した。
今回の惨事は、韓国国内で発生した航空機事故のうち最も多くの人命被害を出した事故として記録されることになった。
29日の国土交通部と消防庁などの説明を総合すると、この日の事故は午前9時3分頃、務安空港に着陸途中、チェジュ航空7C2216便の航空機が滑走路を離脱した後、ローカライザーと衝突して火災が発生。
この旅客機はタイのバンコクから出発して務安に入国した旅客機で、乗客175人と乗務員6人の計181人が乗っていた。
今回の事故は航空機のエンジンや胴体に鳥の群れが衝突する「バードストライク」で発生した可能性が提起されている。
務安空港の管制塔がチェジュ航空の旅客機に着陸直前の午前8時57分頃、バードストライクに注意するよう警告信号を送り、そのわずか2分後に機長が緊急遭難信号の「メーデー」を要請をしたと国土交通部は明らかにした。
事故機は当初着陸予定だった1番滑走路から方向を逆に変え、19番滑走路の方向で着陸を試み、わずか3分後の9時3分頃にランディングギアなしで着陸途中に衝突した。
務安空港は、滑走路を拡張する工事の環境アセスメント(環境影響評価)の協議過程で、バードストライクの懸念が提起されていた。
全羅南道は大型旅客機も離着陸できるよう、従来の滑走路2800メートルをさらに360メートル増設し、3160メートルに拡張する工事を2023年1月に着工、来年12月末の完工を目標に進めている。
滑走路の拡張工事に関する環境部の環境アセスメントの協議で「絶滅危惧種(ヒシクイ・コウノトリ)など多様な鳥類が確認されており、航空機のバードストライクおよび鳥類の棲息地低減への対策を樹立、履行しなければならない」と摘示されている。
しかし、ランディングギアがまともに作動しなかったという点で、機器の故障と運行の不備などの可能性も排除できない。
国土交通部傘下の航空鉄道事故調査委員会(航鉄委)は、飛行記録装置を回収して分析するなど、正確な事故原因を把握している。
胴体着陸をした事故機は機尾を除いて全焼した。
搭乗者181人のうち、30代の男性乗務員と20代の女性乗務員の2人を除いた179人が死亡。
生存した乗務員は「(飛行機の機尾にある)片方のエンジンから煙が出て爆発した」と政府当局に供述した。
チェジュ航空は、8日に務安空港からタイのバンコクを行き来する定期国際線の運航を開始してから21日で大型事故が起きた。
2007年に開港した務安空港には17年ぶりに定期国際線が復活し、今月に入って格安航空会社のジンエアーとチェジュ航空の2社が9カ国に18本の国際線を運航している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbbf22bd54b7d46baaafb546114883cc7bd35ec3
【生存者2人は衝突時に切り離された胴体後部にいた】
(12月30日14時5分 中央日報日本語版)
後方で乗客サービスを行っていた2人は旅客機衝突過程で胴体後部が切り離されて奇跡的に助かった。
2015年米国週刊誌「ザ・ウィーク(The Week)」は2007年科学専門誌「Popular Mechanics」の研究結果を引用して「統計的に最も安全な座席は通常は飛行機後方」と伝えた。
ザ・ウィークによると、飛行機事故の約80%は離陸後3分、着陸前8分の間に発生する。
https://japanese.joins.com/JArticle/328015
【ブラックボックスも衝撃時のダメージが少ない後部にある】
(12月29日18時35分 産経新聞)
旅行事業を展開するエアトリは、「機体の前方や胴体部分は、不時着の衝撃を先に受けやすく、その分、後方のダメージが低くなるため」と説明している。
事故調査で重要となるフライトデータや操縦席での音声データの記録装置を内蔵したブラックボックスは、「念を入れて後部に収められている」という。
https://www.sankei.com/article/20241229-24G46UFWUJDVJCKIMZSFTZKUNU/
【バードストライク警報が出た2分後に遭難信号】
(12月29日17時58分 YAHOOニュース;TBS NEWS )
務安空港の管制室は午前8時57分、旅客機に対し、鳥類への注意をよびかける「衝突警報」を出したということです。
その2分後に旅客機は遭難信号を意味する「メーデー」を宣言し、午前9時3分ごろに滑走路への着陸を試みたものの、失敗し、炎上したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/018f33cabfffa981a44cffdbace7ae62a8ae9d6a
【鳥の群れと正面衝突した後、右エンジンから炎、左エンジンからも微細な煙】
(12月30日6時50分 YAHOOニュース;中央日報)
務安空港近くの海辺で釣りをしていたチョンさん(50)は、聯合ニュースとのインタビューで、「旅客機が下降する途中、反対側から飛んできた鳥の群れと正面衝突した」とし、「(その後)ごう音とともに右側のエンジンから炎が見えた」と話した。
務安国際空港の付近には113.34平方キロメートルの大規模な務安干潟湿地保護区域が位置している。
この干潟には渡り鳥の餌が多く、休息するところも多く、長距離を移動する渡り鳥の中間寄着地の役割を果たす。
元機長のAさんは「事故当時の映像を見ると、航空機の右側のエンジンだけでなく、左側のエンジンにも微細な煙が出ており、二つのエンジンともに異常が発生したものとみられる」と述べた。
さらに「ボーイング社の航空機の場合、エンジン二つがいずれも故障すればAPU(補助動力装置)が作動するまですべての電子機器が作動しない」と説明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/223979bdfcbfb4ad5a93977c6f8ee0a1652e74d3
【巨大規模の鳥の群れに遭遇し相当数を吸い込んだか?】
(1月5日9時22分 YAHOOニュース;中央日報)
事故直前に、機体の10倍ほどの規模の鳥の群れが旅客機と衝突したと推定される場面がとらえられた。
チェジュ航空の事故機は先月29日午前8時57分ごろ、務安(ムアン)空港管制塔から鳥類衝突(バードストライク)の警告を受けた。
続けて2分後に事故機の操縦士は1度目の着陸を試みていたところをバードストライクにともない遭難信号の「メーデー」を宣言した後に復行を試みた。
その後2度目の着陸で胴体着陸し、ローカライザーを設置したコンクリート製構造物にぶつかり爆発した。
韓国SBSテレビは4日、当時の状況を示す防犯カメラの映像を公開した。
映像をみると、事故機周辺に黒い雲状の物体が写っている。
映像を見た法映像分析研究所のファン・ミング所長は「ひとまず雲や煙ではない可能性がとても高い。これが自由飛行をしながら形態を変え続けて飛び回るのがみられるため鳥の群れである可能性がとても高い」と推定した。
事故当時、旅客機は鳥類との衝突後に両側のエンジンともに異常が生じたものと推定される。
これに伴い、鳥1~2羽がエンジンに吸い込まれたのではなく、巨大な規模の鳥の群れのうち相当数が吸い込まれた可能性が大きいとSBSは伝えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f396dde2da0b7769d6797a4642533f943e0a13e8
【2つのエンジンともほぼ停止した可能性あり】
(1月5日13時6分 YAHOOニュース;TBS NEWS )
航空評論家・小林宏之さん :
「着陸をやり直した直後に、2つのエンジンがほぼ停止状態になったと考えられる。
着陸装置(車輪など)が出ない場合は、上空で旋回しながら車輪を下ろすことを試したり、胴体着陸のときは燃料が少ない方がいいので、旋回しながら燃料を消費することを通常は行うが、それもしないで即着陸したということは、非常に差し迫った緊急事態」
両方のエンジンが鳥を吸い込み停止した可能性があるというのです。
エンジンが全て停止すると、油圧システムで動かす装置も使えません。
自動で車輪が出せないうえ、着陸前に減速して飛び続けるための「フラップ」や「スラット」などの装置も操作できないといいます。
小林さん :
「フラップとスラットが出てないのが分かる。
出てないので、接地した速度が300キロぐらいだと思う。
操縦系統あるいは着陸(の装置)については、油圧がないと何も(操作)できない」
通常は時速約200キロで着陸するところ、今回は約300キロで着陸したとみられる旅客機。
減速機能が正常に作動しないまま、滑走路を滑り続けたのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8abf968c58e0daeaba99638b93f631badc1a94d6
【翼に挟まった鳥もいた】
(12月29日14時3分 YAHOOニュース;KOREA WAVE)
搭乗者の家族は「(機内にいた)家族から午前9時ごろ、『航空機に問題が生じた。鳥が翼に挟まり、着陸ができない』とのメッセージを受け取った。その後、連絡が途絶えた」という。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c06536dfbd4ef2424469ff9291901f2084b25c5
【務安空港は韓国で最もバードストライクの発生率が高い】
(12月30日5時22分 YAHOOニュース;共同通信)
韓国メディアは鳥がエンジンに衝突するバードストライクの発生率が全国14空港のうち務安空港が最大だと報じた。
報道によると、現在空港で進められている滑走路拡張工事に先立って環境調査が行われ、担当業者は20年にまとめた報告書でバードストライクの危険性が大きいと指摘していた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d8efc1d441158a057fcf2152c1fc5c391e69ddf
【韓国の国内空港には鳥探知レーダーがない、熱探知機も3空港のみ】
(12月30日9時16分 YAHOOニュース;中央日報)
国内空港には鳥探知レーダーがない。
韓国空港公社が運営する14空港のうち、熱画像探知機が設置されたのは金浦(キンポ)・金海(キムへ)・済州(チェジュ)だけだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/01dfaa5430b2242bff85320da4c00a20c5edd223
【日本の空港では年間1000件超のバードストライクが発生】
(12月29日15時59分 産経新聞)
国土交通省によると国内の空港では年間1千件超のバードストライクが発生。
新型コロナウイルスの影響で令和2年の発生件数は972件だったが、3年は1075件、4年は1421件、5年は1499件となっている。
事故が起きるタイミングとしては着陸滑走中の事故が最も多く全体の約27%、次いで、離陸滑走中の事故が約21%となっている。
関西エアポートでは、今年3月から高周波の音波を使った装置の試験運用を始めた。
https://www.sankei.com/article/20241229-XYOUHR7K6JOOBLNSFMIQVQVUTM/
【ランディングギアが作動していなかった】
(12月30日7時6分 YAHOOニュース;時事通信)
韓国メディアは、「バードストライク」の影響で着陸時にブレーキの役割を果たす車輪(ランディングギア)が故障し、減速できなかったとの見方を伝えた。
片方のエンジンが壊れても、残る1基が無事ならランディングギアを動かすことはできる。
油圧システムもバックアップ用の補助装置を備えており、作動しなかった理由は不明だ。
韓国航空大学のキム・インギュ飛行教育院長は聯合に「(機首と左右主翼下の)3カ所のランディングギアが全て出なかったのは非常に珍しい。鳥類衝突だけで起きたと考えるのは難しい」と分析した。
27日に事故機を利用した乗客は韓国メディアに「(離陸時のエンジン)始動に数回失敗して不安になり、乗務員に話したが、特に問題ないという反応だった」と証言した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/38604245fea39d9f4ba56d43af4b35f79e806066
【ノルウェーでも同種事故、滑走路外で停止した】
(12月30日7時53分 YAHOOニュース;中央日報)
ノルウエーでも同じ機種の旅客機が最近、油圧装置またはランディングギア故障問題を起こしていたことが分かった。
旅客機は非常着陸には成功したが、滑走路を外れて芝生地帯で停止した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b56c20d80283c018d400de4cc0beacb7c6c0e861
【事故機のB737には燃料放出機能がなかった】
(12月30日10時5分 YAHOOニュース;中央日報)
事故旅客機が燃料を捨てないまま胴体着陸後、速度を落とすことができず、空港の外壁にぶつかり大きな火災が発生し、人命被害をさらに増大させたという分析が出ている。
事故旅客機のようなボーイング737機種は製作の時から、上空で燃料を任意に捨てられる「燃料放出(Fuel Dumping)」機能がないことが分かった。
このため、非常時には引き続き同じ区間を回転しながら燃料を自然に消耗しなければならない。
しかし、今回の事故のようにエンジンの異常など、様々な非常状況が重なった場合には、燃料を消耗するほどの時間的余裕がなかったものとみられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/878d50ad98a92f26706d42e35aacc8543f62a76c
【務安空港では着陸直前に空港との交信周波数を変更する】
(12月30日7時49分 YAHOOニュース;中央日報)
事故当時、空港管制塔が事故の可能性を認知したが、空港消防隊の出動を遅れて指示した情況がある。
管制塔は航空機が午前9時3分に滑走路の外壁に衝突した直後の9時4分に空港消防隊に出張を指示した
消防隊は出動受け付け後の午前9時5分、現場に出動した。
操縦士のメーデー(遭難信号)の通信時刻は、消防隊の出動時点より6分前の午前8時59分だ。
カトリック関東(クァンドン)大学航空運航学科のチョン・ユンシク教授は「務安空港の場合、操縦士が光州(クァンジュ)空港と交信し、着陸直前に務安空港に周波数を変更する空港なので、突発状況に対処する時間が足りなかった可能性もある」と話した。
一般に、航空機の機体欠陥で胴体着陸を試みれば、該当空港では特殊製作された泡を滑走路に撒き、着陸時に衝撃を減らす。
しかし、今回の事故にはこのような手続きがなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4a220825044e9d19805ac44e4a6dc60fb1d7f235
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。