1.総括
産業安全とは関係ないので記事化は割愛したが、2024年で特筆すべきはなんといっても1月1日に起きた能登半島最大震度7の大地震だ。
また翌1月2日には羽田空港で地震救援に向かおうとした海保機とJAL機の衝突事故が発生。
暗いスタートを切った1年だった。
能登半島では、地震に追い打ちをかけるように豪雨災害まで発生し、地震には辛うじて耐えた建物も損壊するなど、被害が大きく拡大してしまった。
そして3月には紅麹サプリを摂取していた複数の人が死亡、大勢の人が健康被害を訴えるという事案も発覚。
国民生活という観点からは、不安と心配が絶えない1年だった。
2.2022年の事故・トラブルの傾向
※以降、カッコ内は記事掲載日
特段の傾向はなかったものの、作業中の感電事故が例年より目立った感がある。
・大宮駅付近で架線トラブル対応中、垂れ下がった電線に触れて死亡(1月31日)
・広島市でビル解体のため足場設置中、近くの電線に触れて死亡(5月5日)
・平取町で電気設備定期点検中に負傷、左腕や太腿などに感電痕(5月15日)
・JR鹿部駅構内で街路灯電線交換中、高圧電線に触れて死亡(6月2日)
・栗原市で送電線近くの竹を遠ざける作業中、3人が負傷(6月9日)
・広島市で電柱工事中にクレーンが電線に触れ、電柱上の作業員が死亡(7月26日)
・今治市の造船所で濡れた鉄板上で電動工具を使いパイプ研磨中、意識不明(8月25日)
・広島市のビルで台風に備え足場など確認中、高圧線に触れて死亡(9月5日)
・新居浜市で銅の精製作業中、電解槽のアルミバーに触れて?意識不明(9月9日)
・沖縄市で電柱上の電気設備を点検中、送電部分に触れて負傷(9月11日)
3.ブログ者の印象に残った『狭義』の産業事故
・オレゴン州でボーイング機のドアプラグが吹き飛ぶ(1月13日)
・伊勢原市の農業トンネルで塗装中に6人がシンナー中毒、6台あった換気装置が基準不適合?(3月13日)
・神戸市で会社から出たトラックコンテナの上に置き忘れていた鉄カゴが落下し通行人が右目失明(4月18日)
・関西万博(元は廃棄物埋め立て地)のトイレ建設現場で溶接中、床ピットに溜まっていたメタンガスが爆発、けが人なし(4月5日)
・石巻港で前日に続き船にヤシ殻を積み込むため船倉に降りた2人が酸欠で死傷、ヤシ殻は酸素を吸収する(5月28日)
・石狩市のバイオマス発電所で燃料ペレットをダンプから槽に搬入中、搬入口で爆発、1人負傷(7月27日)
・苅田市のセメント工場で原料の土を運んできた船のハッチを開けようとガシャガシャしていた時に爆発、3人重傷(7月18日)
・名護市辺野古で移設工事反対女性を制止しようとした警備員が出ようとしたダンプに轢かれて死亡(7月7日)
・韓国のリチウム電池製造工場で連鎖的に火災爆発、28人死亡(7月3日)
・大津市の消防署で救助訓練中、転落して安全マットの上に落ち、そのはずみでマット外に落ちて頭を打って死亡(8月9日)
・相模原市の雨水下水管の中で工事中、にわか大雨で逃げ遅れた2人が死亡、無線故障などの不備あり(9月26日)
・四国で36万戸の大規模停電、送電作業中に四国側と本州側で作業内容の認識に齟齬があった(11月17日)
4.ブログ者の印象に残った『広義』の産業事故
・羽田空港で着陸JAL機が地震救援に向かおうとして滑走路上にいた海保機に衝突。海保機長は復唱を簡素化(マニュアルどおり)していた。(1月2日)
・一昨年に2回大規模火災が起きた小倉駅近くの木造店舗密集地でまた大規模火災(1月11日)
・川西市のホールで修繕工事中に赤外火災検知器の前に20秒以上立っていたためスプリンクラー作動(3月8日)
・みやま市の小学校で給食に出たうずらの卵を喉に詰まらせて死亡、需要激減で卵生産者に大打撃(3月3日)
→その後、全国生産の6割を占める愛知県では県や市の職員が積極的に購買して支援する動きが広がっている。(個別記事紹介は割愛)
・高崎市の第4種踏切で犬を追いかけていた女児が列車に轢かれて死亡、4種踏切廃止の動きが加速されつつある(4月24日)
・市原市の国道16号で4車線道路がすべて陥没し地域の大動脈が一時不通(9月12日)
・広島市の中心地で道路陥没、建物8棟に被害、地下30mでトンネルを掘っていた(10月4日)
・瀬戸大橋の上で立ち往生した列車の救援用渡り板が置き場所を変え訓練時も使っていなかったため見つからず救援遅れ(11月28日)
5.これまでさほど聞いたことがない事故トラブル
・シドニー発の旅客機でCAが座席スイッチを押したためパイロットが操縦桿に押し付けられ機体急降下(3月25日)
・福山市のメッキ工場で六価クロム槽に落ちたネコが走り去り死亡(3月19日)
・宮崎市の高校でサッカー練習中、予兆なく雷が落ち18人が被雷(4月10日)
・紅麹サプリを摂取した5人が死亡、多数の健康被害者、原因は青カビ由来のプペルル酸(4月3日)
・北富士演習場で自衛隊員が手榴弾の投擲訓練中、身を守る姿勢をとりきれず破片が当たって死亡(6月6日)
・天草市の滝で水遊びした大勢の人がノロウイルス中毒、水量不足で水が滞留していた(8月28日)
・高速回転させて遊ぶコマが破損して目にケガ、販売停止に(8月10日)
・根室市の高校で校舎全体をシートで覆っていたところお盆休み中にカビが大発生(9月6日)
・宮崎空港の滑走路近くでJAL機が通った数分後に不発弾が爆発(10月10日)
・ブラジルでサッカー試合中断直後にピッチに落雷、1人死亡、帰りかけた選手7人も倒れる(11月11日)
6.ブログ者の印象に残った、その他の情報&トピックス
・ボパールの有毒ガス流出事故から40年。関連記事を2回紹介した。
*事故の概要や安全上の問題点など(3月27日)
*いまだ後遺症に苦しむ人や先天性疾患をもって生まれた子どももいる(12月9日)
・自動車事故で女性の死傷率が高いのは衝突実験に男性体格のダミー人形が使われていたからかも(3月16日)
・最近の車のヘッドライトが眩しすぎるのはLED化されたため(4月11日)
・液体窒素容器を運搬するエレベータには人が同乗しないなどの酸欠防止対策がとられている(5月10日)
・水害時に冠水道路を走ってはダメ、沿線の住宅に二次被害を与える(8月16日)
・博多~釜山間の高速旅客船が亀裂浸水を隠し運航、アルミ船ゆえ補修困難、同路線は廃止された。(8月18日)
7.読者の方とのコミュニケーション
なし。
8.ブログ作成上の特記事項(変化点、工夫点、配慮点など)
なし。
以上
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。