2017年7月6日付で毎日新聞愛媛版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月5日17時38分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
今治市大下島(おおげしま)の大下港で、2015年4月、市選管が県議選開票のためにチャーターした海上タクシー(19トン)が炎上し、海に飛び込んだ市職員(当時53)と投票管理者(同66)の男性2人が水死した事故で、今治海保は5日、当時船長だった男(90)を業務上過失致死などの疑いで書類送検した。
送検容疑は、大下港を出港直後に客室で煙が出ているのを見つけ、船が爆発すると思い込んで自分の避難を優先し、亡くなった2人を含む4人の客には救命胴衣の場所を示したり着用の指示をしたりしなかったとしている。
また、船員法、海上運送法に定められた出港前の検査や点検などを怠ったとしている。
船長の認否を明らかにしていない。
当時、船は投票箱を今治港に運んだ後、職員らを送るため岡村港に向かおうとしていた。
海保によると、元船長は救命胴衣の場所も教えず、甲板に避難した乗客4人は混乱した状況で、火災から逃れるため海に飛び込んだという。
この事故で四国運輸局は、立ち入り検査後の昨年8月、海上タクシーを個人営業していたこの船長に
(1)出発前にエンジン点検をしていなかった
(2)客に救命胴衣を着用させていなかった
(3)事故時に緊急通報を行わなかった
として、安全確保命令を出している。
出典
『今治の船舶火災 2人水死 船長、業過致死容疑で書類送検 海保 /愛媛』
https://mainichi.jp/articles/20170706/ddl/k38/040/427000c
『2人死亡で元船長書類送検、愛媛 海上タクシー火災、今治海保』
https://this.kiji.is/255251548803956744?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇以下は、事故発生当時の報道。
(2015年4月14日 愛媛新聞)
12日夜に愛媛県今治市関前地区の大下島の港内で、県議選の投票用紙を開票所に運搬後の市職員らを乗せた海上タクシーが炎上し、1人が死亡、1人が行方不明となっている事故から一夜明けた13日、救助された市関前支所職員のKさん(男性、57歳)は、「エンジンルームから出た真っ赤な炎が迫ってきて怖かった。5分救助が遅かったら…」と、当時の様子を生々しく証言した。
Kさんによると、大下島で2人が下船し、岡村島へ向かおうとした午後9時半ごろ、船室の畳の隙間から黒煙が上がり、船長(88)がエンジンを止めた。
床の点検口からエンジンルームをのぞくと炎が見え、皆で出入り口のある船首へ移動していると、窓の外に炎が広がったという。
Kさんは、亡くなった同僚のMさん(男性、53歳)と手分けして118番し、大下島で下船したばかりの投票管理者の男性(71)にも助けを求めた。
火が迫る中、Kさん以外の4人は救命胴衣を着ける間もなく、冷たい漆黒の海へ飛び込んだ。
Kさんは船のへさきの鎖にしがみつき、爆発の恐怖に耐え、待つこと数分、助けに来た船を見つけた。
「距離は10mほどだったと思うが、100mに感じるほど必死に泳いだ」と振り返る。
救出された後は、懐中電灯で海面を照らし、船長と立会人の男性(64)に発泡スチロールの浮きを渡して救出。
約2時間後にMさんを発見したが、手遅れだった。
出典
『エンジン室、真っ赤な炎」 今治・大下島船舶火災で救助者証言』
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20150414/news20150414020.html
○船長が真っ先に避難したという件、韓国セウォル号事例(本ブログ掲載スミ)を思い出した。
まさか、日本では・・・と思っていたのだが・・・。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。